中野吉之伴フッスバルラボ

【ゆきラボ】学校から謎のメール「食洗機が壊れました」。常態化する人手不足と滞る日常の話

こんにちは。ドイツの日常をお届けするコラム「ゆきラボ」です。

先週末、子どもたちの学校から「食洗機が壊れました」という件名でメールが届きました。状況が全く分かりません、というか学校という言葉と食洗機という言葉がすぐには結びつきません。学校?食洗機?一体何の話?学校を騙ったスパムメール?頭の片方がいろんなことを想像する一方で、もう片方が真っ白になる、あの感じをたぶん「脳がバグる」って呼ぶんだろうな……と思った次第です。

イメージ https://www.photo-ac.com/

壊れたのは学食の食洗機。業者の手配ができず、修理に時間がかかるので、1週間学食はお休みになります、とのお知らせでした。我が家の息子2人はほとんど毎日お昼で授業は終わり、午後のクラブ活動(AG)や宿題のサポートにも通っていないので、ひとまず直接の影響はありません。

ただ、ふと気になったのは「学食が生命線の子はどうするんだろう……」ということです。というのも、夏休みに日本に帰っていたとき、「貧困家庭の子どもは、学校の給食でギリギリ栄養状態を維持しているケースがあって、学校も給食も休みになる夏休み中はそうした子どもにとって危機的な時期」というニュースを耳にしたからです。

イメージ https://www.photo-ac.com/

子どもたちが通う学校の学食は1食5ユーロ前後。今は円安のせいで700円くらいの換算になってしまうので、日本の感覚だと安いと感じづらいかもしれませんが、今のドイツの物価からするとこれでもリーズナブルです。経済的な支援が必要な家庭はさらに少ない負担で学食が利用できることになっているので、それが1週間ストップするのはしんどい、というケースも出てきてしまいそうです。

もしそうなら心配だし、そもそもそういうご家庭は、日本同様に夏休みはどうしていたんだろう……と思いましたが、月曜日の午後になって「ラッキーなことに食洗機直りました!」というメールが届きました。昨日火曜日からは普通に学食が再開しているそうです。

さてお次はこんな写真です。これ、うちが住んでいる建物のエレベーター内です。今年の夏休み前からこの状態です。「故障中 管理会社には連絡済です」という貼り紙がドアに貼り付けられているのですが、修理業者が来る気配が一向にないまま、貼り紙だけがヨレヨレになりつつあります。エレベーターとしては普通に動くので、我が家を含めた住民は「まあ、しょうがないか」と思いつつ、特に苦情も出ずに毎日が過ぎています。

学食の食洗機がなかなか直らない件、照明の壊れたエレベーターが放置されている件。実は今ドイツでは人手不足が慢性的かつ深刻な問題となっており、生活の色々な場面で「時間がかかる」「予定通り進まない」「必要な人員が確保できない」ということが起こっています。昨日今日に始まったことではないので、悲しいかな、社会全体としてもそれが慣れっこになっているというか、それって普通だよねと思ってしまっているようなところも多分にあります。むしろ予定通りに物事が進んだり、予定より早く終わったりするとビックリするレベルです。

(残り 1576文字/全文: 2872文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

1 2
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ