【フッスバルコラム】38歳長谷部誠がチームメイト、監督、ファンに愛され、そしていまもピッチで輝き続けている理由
目次---
➟ フランクフルトの欧州行脚
➟ 信頼している=起用しても大丈夫ではない
➟ 長谷部のずば抜けた実行力とは?
➟ 監督、チームメイトからのこれ以上ない信頼
➟ ファンから贈られた最大の名誉
▼ フランクフルトの欧州行脚
2022年5月18日、スペインはセビリアの地でフランクフルトが歓喜の瞬間を迎えていた。
スコットランドのグラスゴー・レンジャースと激突したヨーロッパリーグの決勝戦は延長戦でも決着がつかず、PK戦まで突入。そして手に汗握るスリリングな一戦を制し、銀色に輝くトルフィーを南スペインの夜空に掲げたのはフランクフルトだった。
物語はどこからスタートしたのだろう。
ブンデスリーガの前身ドイツ選手権で優勝、DFBカップでは5度の優勝歴を誇るドイツにおける名門クラブの一つではあるとはいえ、2000年以降だけで3度2部降格。ほんの10年前ころは1部残留を最大の目標にしていたクラブだ。
ヨーロッパの舞台で戦うなんて、夢に描くこともできないところへいたフランクフルトが、この5年間でDFB杯で優勝したり、ブンデスリーガで上位フィニッシュをしてEL出場権を手にしたりと世間をポジティブに驚かせ続けている。
ヨーロッパを巡る旅路は間違いなくフランクフルトに新しい力をもたらした。そしてフランクフルトはELに新しい魅力を生み出した。
正直なところ普段CLに出場しているクラブ、CL出場を目標にしているクラブにとって、ELというのは是が非でも勝ち取りたいタイトルではない。
公にはみんな「絶対優勝したい!」と口にする。でも一心不乱に本気でそのために準備をするまではしない。トップクラスのクラブにとってあくまでも出場したい舞台はCLだから。
そんな空気感がある中、フランクフルトの熱量は半端なかった。どの試合でも本気だ。チームもファンも全身全霊でこの試合に挑む。アウェー戦に数万に駆けつけるクラブなんてフランクフルト以外ない。昨季の戴冠はまさにクラブに関わる全ての力を結集して勝ち取ったものだ。
彼らの欧州行脚は終わりを迎えるどころか、さらに次の舞台へと可能性を広げている。今季、クラブ史上初となるチャンピオンズリーグに参戦中だ。
フランスのマルセイユ、ポルトガルのスポルティング、そしてイングランドのトットナムと同組となったグループリーグはここまで3試合が消化され、フランクフルトの勝ち点は4。十分に決勝トーナメント進出の可能性を残している。
そんなフランクフルトでいま絶対的な評価を受けているのが長谷部誠だ。38歳というカレンダー上の年齢にどこまでの意味があるのだろうか。そのくらいピッチ上の長谷部は、心身ともに充実さを感じさせている。
CLグループリーグ3節のトットナム戦ではイングランド代表エースのハリー・ケインと対峙することが多かったが、仕事らしい仕事をほとんどさせず、ドイツメディアは驚嘆のまなざしでその一挙手一投足に釘付けとなっていた。
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