中野吉之伴フッスバルラボ

【ゆきラボ】「教育熱心」ってどういうこと?後編

こんにちは!秋分の日を過ぎて、ドイツではずいぶん寒くなってきました。本日の外気温は12℃。少し風があって雨も降っているので、余計に肌寒く感じます。

さて、前回のコラムでは、日本でイメージされる「教育熱心な親」とドイツでイメージされる「教育熱心な親」は方向性がだいぶ違うようだ、ということを書きました。

【ゆきラボ】「教育熱心」ってどういうこと?前編

なぜ違うのかと言えば、教育のシステムや、教育を受けた若者を社会に送り出すシステムが違い、子育てをしている親が目指すところが違うからです。究極的には、もしかすると「子どもの幸せって何だろう?」「この場所で幸せに生きられるようにするために、大人は子どもに何をしてあげられるのだろう?」という価値観が違うのかもしれません。

では、実際に「教育熱心」だと思われるドイツの家庭では、どんな価値観に基づいて、どんな子育てをしているのでしょうか。私が実際に周辺で具体的に見聞きした例をいくつか挙げてみます。あくまで私の目線から見たり感じたりして、良い意味で「熱心だなあ」という印象を受けた子育て例を挙げているだけなので、ドイツでの子どもの教育に関するきちんとしたデータではありません。その点はご了承ください。

イメージ https://www.photo-ac.com/

まず、子どもの教育に関心が高い家庭ほど、子どもが自分で自由に使い方を決められる時間、好きなことをして遊ぶ時間を大切にしている印象があります。赤ちゃんが生まれたときから子ども部屋を用意して、親とは別々の部屋で寝かせるドイツ。人にはそれぞれ「個」の時間があり、親が子どもの予定を全て決めてしてしまうのはよくない、と考えているのかもしれません。(子ども部屋については、昨今の住宅事情や子育ての考え方の変化で、最近は少しずつ変わってきているようです)

幼稚園から小学校くらいまでは、習い事は多くて週2~3回程度。「月~金のうち少なくとも2~3日くらいは、放課後に何も予定の入っていない日がないと、友達と放課後に遊ぶ約束もできない」といいます。それ以外にも、食事を取る時間、家族で過ごす時間、そして何より休息する時間を大切にしている印象があります。忙しくなりすぎないようにすること、子どもが自由に過ごせる時間を確保すること、きちんと食べてきちんと寝る生活リズムを作ること。このバランス作りがとても大事にされています。

自由に遊ぶ時間が大事、と書きましたが、遊ぶ内容に関しては戸外で体を動かすことや、友達と関われることが大事。子どもの自由を尊重するお国柄ではありますが、テレビゲームや携帯ゲーム、YouTube・TikTokなどの動画視聴に関してはできれば少なめがよく、遊んだり見たりするならきっちりルールを決めてほどほどに、そしてどんなゲームをしているのか、どんな動画を見ているのかに関しては、ある程度親が内容を把握したり、場合によっては制限をかけたりという方針のご家庭が多いです。

そして「教育熱心」な家庭では、自由にといいつつも、親が子どものことを本当によく見ているなあと感じます。手や口は出し過ぎないようにしつつ、お子さんの様子をよく把握しているので、保護者会や面談などで「お子さんの普段の家での様子は?」と聞かれるといくらでも話すことが出てきます。仲のいい友達は誰なのか、何をして遊ぶのが好きなのか、遊ぶときはどんな様子なのか、トラブルがあったらどうするのか。こんなことができる、こんなことが上手だ、という以外にも、お子さんを見る目線をいろいろな角度からたくさん持っているなあと感じます。

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