中野吉之伴フッスバルラボ

【ゆきラボ】夏休み、休んでばかりでいいの?ドイツの親だって悩んでる

こんにちは!今週のゆきラボは、日本に到着した日に子どもたちにぶつけられた質問からスタートします。

「日本の学校も今は夏休みなんだよね?なんで制服とか学校のジャージ着てる子がいっぱいいるの?」

成田に到着して京成線で上野に移動したのですが、駅の構内にも周辺にも制服姿の学生さんがいっぱい。あとでわかったのですが、この日は上野で吹奏楽の大会が行われていたようです。確かに日本の夏休み期間は、体育系でも文化系でも、いろいろなイベントや大会が開催されるシーズンですよね。

日本の夏休みは学校の登校日があったり、予備校や塾だったり、部活やクラブチームの練習や大会があったりするからだよ、と子どもに伝えると「それだと夏休みなのに休みにならなくない?」というごもっともな感想。

イメージ https://www.photo-ac.com/

思い起こせば私自身、夏休みといえば家で宿題をやるか、部活に行くか、大学受験の年には予備校か図書館通いで、家族旅行に行くのはお盆の数日間だけと決まっていました。今回の帰国で久しぶりに再会した息子たちの同年代の友人も、「夏季講習があるから」「大会があるから」「登校日だから」と予定を合わせるのが難しかった子たちが何人もいました。

都合をやりくりして会うことができた子たちの親御さんからは「夏休み、学校はぜんぜんないの?サッカーとか野球とかやってるんでしょ?練習ないの?」と逆に聞かれました。えーと、登校日も練習も大会もない、ですねえ……。ついでに学校からの夏休みの宿題も全くありません。

イメージ https://www.photo-ac.com/

次男はドイツに戻ってから新学期が始まるまでの2週間、学校が提供する英語の補習コースに通いましたが、参加は任意ですし、平日午前に90分だけだったので、息子と相談して「英語が苦手なんだったらお休み最後2週間の補習くらいは行っとこうよ」と送り出しました。追加で、教科書対応の自宅学習用ワークブックと、オンラインの教材も少し利用して、平日の午前中に少しだけ家で自習もしました。

結果、運よく教え方の良い先生に出会えたことと、「同じクラスで今まであんまり接点がなかったけど、実はけっこう気が合う」というイイ感じの友達と仲良くなれたこと、そして、彼なりの苦手科目をなんとかせねば、というモチベーションもあったので、2週間楽しく通えたようです。この補習だけで英語の成績が急に伸びたりはしないでしょうが、親としても彼の苦手ポイントが少し把握できた気がして有意義な2週間だったと思います。

サマーキャンプから戻ってくる子どもたち

学校以外だと、スポーツや音楽をやっている子どもに向けた合宿や講習会、地域コミュニティの主催するサマーキャンプなどは開催されていて、うちの息子たちも参加したことが何度かあります。期間的には短いところで1~2日、長くても10日~2週間程度。6週間ある夏休みの3分の1程度なので、のんびりできる時間はまだ残っています。

それと、私の知る限り、こうした夏季講習や合宿は「夏休みでなければできない体験をする」ということに主眼が置かれていて、朝から晩までみっちり練習しかしない、という話は聞いたことがありません。

参加者同士でゲームをしたり、開催地を観光したり、屋外で遊んだり、自分たちで食事の支度や掃除をしたりという、普段の生活の中だけではできないような多彩なプログラムが組まれていることがほとんどです。親元を離れて、同じ目的を持つ仲間と旅行に行くような感覚なので、うちの子たちを含め、参加した子の話を聞いていると純粋にとても楽しそうです。

【育成論】「夏休みは休み」と言い続けてはや何十年。《仕組みや考え方を変えられない》なんて言い訳はもうやめよう

8月の終わり、日本からドイツの自宅に戻って、1か月分の郵便物や新聞を片付けていると8月の初めに掲載されたこんな記事が目に留まりました。

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