中野吉之伴フッスバルラボ

【指導論】気弱そうな子供が伝えてくれた「楽しかったです」という言葉。大人の思い込みで子供を線引きするのはNG!

▼ リアルとリモートそれぞれのメリット

7月31日から8月28日まで、実に1カ月弱の日本滞在を終えて、無事にフライブルクへ戻ってきた。時差ボケもそこまでなく、元気にドイツでの日常に戻りつつある。

2年半ぶりの日本となれば、それなりの感慨深さが一気に押し寄せてくるかと思っていたが、コロナ禍前に比較的頻繁に一時帰国していたためか、そしてZOOMなどのビデオ通話の普及で普段から日本とのコンタクトが取りやすくなっていたためか、何もかもが懐かしくてというわけではなく、思っていたよりもすんなりと日本での毎日に順応していた自分がいた。

気持ちが冷めているとかそういうことではなく、コミュニケーションの取り方の変化がこれまで以上に日本とドイツを近くしてくれたということなのかもしれない。

だからといって、ZOOMでのやり取りさえあれば大丈夫なんてことはなくて、やっぱりリアルに対面して、その反応を体感できて、言葉だけではなく、その場の空気を共有しながら過ごすことができる時間というのは何ともかけがえのないものだというのを改めて感じることができた。

どれだけWEB講習会で詳細にわかりやすく伝えようとしても僕の熱量すべてを感じてもらうことはやっぱり難しい。トレーニングにおける言葉がけのアドバイスや立ち振る舞いに関するヒントを言語化する努力はし続けているけど、実際に自分の指導実践を見てもらって感じてもらって、それをもとにできるディスカッションのほうが具体的な絵が描きやすいのは確かにある。

とはいえ、WEB講習会に可能性がないわけではない。ドイツにいながら日本の人とつながり合えることは間違いなくプラスのことであるし、映像を共有しながら頭の中の整理につなげる工夫をもたらすことで、新しい可能性を見出せるのではないかと考えている。

モニターを見ながら作業ができるような仕掛けを考えたり、チャット機能を有効活用したり、アンケート機能を使ったり。リアルでの講習会とWEB講習会におけるパワーポイントは用途が違うのだから、作り方も、見せ方も変える必要がありそうだ。

ツールは使い方次第でいくらでも新しい世界につなげることができる。

久しぶりに現地における活動を行えたことで、WEBによる活動へのヒントもいろいろ見つかったので、ぜひ今後に生かしていきたい。

▼ 印象に残った言葉たち

さて、今回のコラムでは各地でのクリニックや講習会だけではなく、何気ない日常の一コマや旅行中にあった印象的な出来事や言葉のやり取りをまとめながら振り返ってみたいと思う。

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