中野吉之伴フッスバルラボ

【指導論】「サッカーしようぜ!」の一言で目の色が変わった選手たち。指導者として譲れない線を明確に伝えることの大切さ

▼ 全会場で無事開催

7月31日からの今回の一時帰国では全部で10か所の講習会/講演会/クリニック/指導実践を実施。大雨予報があった地域もあったが、幸運にも恵まれ、全会場で無事開催することができた。

開催後、各地の皆さんからはポジティブなフィードバックをたくさんいただき、2年半ぶりとなるリアルでのイベントを実施することができて本当に良かったと感謝の思いでいっぱいだ。

今回はそんな各地の皆さんからのフィードバックの一部を引用させてもらいながら、実際にぼくがどんなことを考えて、どんなビジョンで挑んでいたのかを捕捉しながら、振り返ってみたいと思う。

▼ 茨城県古河市県立古河高校サッカー部 レクチャー+指導実践

サッカー部監督 米山雄大

今回、生徒・指導者にとって貴重なレクチャー、トレーニングを経験させていただき、本当に有意義な時間になった。リアルな現場特有の中野さんの熱い想いを感じることができた。選手たちのために本気で関わっていただいたことに唯々感謝しかない。

トレーニング後も中野さんと様々なディスカッションやシェアができて、その時間も指導者としては貴重な時間であった。

《レクチャー》
最初に上履きの色はなぜ3色に分かれるの?という問いかけがあった。

中野「1年生は何色、2年生は何色、3年生は何色というので区別がつくとされているけど、なんで区別をつける必要があるの?」

そういえばそうだ。生徒も指導者も、自分たちの当たり前が当たり前ではないことに気づかされた。ちょっとしたことだけど、世界を知ることで自分たちの善し悪しを実感することができる。

中野さんからはあいさつは素晴らしいが、質問に対する反応は薄いという指摘があったがまさにそうだ。

中野「学生のみんなは『おはようございます!』『よろしくお願いします!』という声はすごく出ている。でも、こちらから何かを問いかけると途端にシーンとなってしまう。声を出すってどういうことだろう?声を出して発言するために大切なことってなんだろう?そこに取り組まないと、意図がぼやけてしまう」

コミュニケーションの本質って何だろうというのを再認識させられた。

印象的だったのはベンゲルの言葉。

ジュニア年代で悪影響を与える指導者に教わるよりは、指導者がいない中でサッカーをした方がいい。

もしかしたら指導者の存在が子供たちにとってブレーキになっている可能性を認識しておくことは必要であるというのをとても感じた。

そのほかにも国際コーチ会議での映像から現代フットボールのスタンダードを学ぶことができた。守備の大切さ、守備の面白さを感じさせられることが指導者に求められるタスクの一つである。

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