中野吉之伴フッスバルラボ

【インタビュー】盟友ヤン・ジーベルトにインタビュー「《やれる!》という自信と《ハードに取り組まなきゃ》という覚悟が大切なんだ」

▼ 盟友ジーベルトとの出会い

ドイツに来て22年、いろんな場所でいろんな指導者と知り合ってきた。本当に数多くの互いにリスペクトし合える指導者と関係性を築いてこれているのは僕のかけがえのない財産。

そんななかヤン・ジーベルトは僕にとって盟友と呼べる存在かもしれない。A級ライセンス講習会の同期。2009年だから、僕が32歳でヤンはまだ27歳(‼)。30人ほどいた参加者で最年少だったヤンだけど、最初の授業から彼は注目を集める存在だった。

インストラクターの話に対して鋭い質問をしたり、ディスカッションになったら中心に立って話をまとめたりする。指導実践でも積極的に前に出て自分から取り組めば、自分のプレー実践で紅白戦をするときでも全力プレーでチームを盛り上げる。

それでいて夜にみんなでスポーツシューレにあるバーでビールを飲んでいると、とてもリラックスした様子で参加者みんなとコミュニケーションを取っていく。好奇心が旺盛で、僕にずっと日本のことを質問してくるんだ。

筆記、口頭、実技、指導実践4部門で行われる試験に無事合格した僕らは、最終日に近くにあるボンの町中に繰り出して、夜通し飲み明かしていた。僕は途中で力尽きて先にタクシーで戻ったけど(苦笑)。でもすごく仲間という感じがして、いろんな話をして、笑って、はしゃいで。ヤンとも肩を組んで飲んで歌って笑い合っていた。

最終日の飲み屋でヤンと。二人とも若い

あれからもう13年。お互いに活躍するフィールドは違うけど、今でもコンタクトが取れて、何かあったら合える関係が続いているのがとにかくうれしい。僕がフライブルガーFCから不義理な別れを宣告されたときもヤンは僕の話を真剣に聞いてくれたし、心に響くメッセージをくれたりした。

僕がプロの世界ではなく、グラスルーツの育成の世界で生きている価値を認めてくれて、僕がやろうとしている日本での活動を応援してくれて、そして互いに本質的なテーマでディスカッションができる。

素敵なことだなっていつも思うのだ。

いずれまたプロクラブで指導者をしたいといっていたヤン。指導者としても、人間としても素晴らしいそんな彼とのインタビュー記事を前・後編、そして新しくまとめた第3弾をフッスバルラボでお届けしたい。

▼ 育成アカデミーの指導者チーフとしての役割って?

(フットボリスタより転載)
—まず、ヤンのマインツにおける役割を教えてもらってもいい? 育成アカデミーの指導者チーフという肩書だよね。

「大きく分けると5つの役割を担っているんだ。1つ目はマインツのプレー哲学をチェック。プレー面での指針と育成チーム全体の成長に寄り添うこと。2つ目は指導者のサポート。定期的にフィードバックをして、マインツのプレーアイディアをどのように解釈し、どのように取り組んでいるかを話し合う。

3つ目は選手の成長過程のチェック。それぞれの選手がどのように成長しているか、成長曲線はどうなのか、どこに長所があって、どこにまだ課題があって、どこに成長が見られるのか。

4つ目はU-17、U-19、U-23のチーム編成。

5つ目はスペシャルトレーニング。U-17からU-23までのトップレベルの選手を僕が指導している。そうすることで、トップチームへの確かな橋渡しができるようにするのが僕の役割だ。だからトップチームの監督とSDとは頻繁に意見交換を交わしているよ」

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