中野吉之伴フッスバルラボ

【ドイツ便り】超難関スケジュールでコンディション調整とチーム作りが史上最も難しいのがカタールW杯。そこでのドイツ代表と日本代表の差は?

▼ 過密日程に苦しむ選手たち

ふと思ったことがある。

6月のこの時期は本来だったらW杯が開催される季節だということを。22年W杯がカタールで開催されることが決定し、暑さ対策として11月に延期されるという特例が認められたわけだが、そのために世界各国のサッカースケジュールは無茶苦茶なものになっている。

FIFAが言う《プレーヤーズファースト》とは結局口からだけのものなのだろうか?

そう思わざるを得ないほどの変則+過密日程の連続だ。

6月には各国4試合もの国際マッチが行われたわけだが、選手たちは長いシーズンを戦った後で心身ともに消耗している時にさらに代表戦で負担を重ねなければならなかった。

ベルギー代表MFケビン・デブルイネははっきりと否定していた。

「ネーションズリーグは僕の目からしたら重要ではない。親善試合よりちょっと上くらいのものだ。楽しみなものではない」

オランダ代表DFフィルジル・ファンダイクも言葉を重ねる。

「ネーションズリーグのスケジュールは珍しいもの」

ドイツ代表監督ハンシィ・フリックも真っ向から批判した。

「長いシーズンの後に4試合というのはシンプルに多すぎる。どうやって選手を休ませればいい?」

本来であれば、6月のこの時期は休養期。それがごっそりと奪われてしまった。それどころか、新シーズンのスタートは例年以上に早い。ブンデスリーガでいえば1部リーグが8月第1週から、2部リーグにいたってはなんと7月15日に開幕だ。準備期間を考えたら始動日はどんなに遅くても1か月前。

例えば日本代表MF田中碧が日本代表として6月14日にチュニジア戦のピッチに立っている一方で、所属クラブであるデュッセルドルフは6月12日にスタートしているのだ。当然のように田中は代表後に特別休暇をもらっているが、それは今年もまた合流時期が遅れるということでもある。昨シーズンはオリンピック参加で出遅れ、勝負の2年目もスタートからチームでプレーできないというのは喜ばしいことのわけがない。

もう本当に、いろんなところにひずみが出てしまっている。カタールW杯秋開催のために尋常ではないスケジュール変更を余儀なくされた各国リーグに加え、W杯直前に準備期間を持つこともほとんどできないという異色の大会となるために、大会に向けての準備の仕方も異例なものになっている。

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