中野吉之伴フッスバルラボ

【育成論】どんな理論やトレーニングもサッカーというスポーツから離れないように、ブツ切りにならないように取り組むことが絶対に大切だ

僕が執筆した「スカウティング」に関するこちらの記事に反応した末本亮太さんに反応した小澤一郎さんの発信から、《セレクションの是非》に加えて《SNS映えするテクニック動画》についての賛否がいろいろ飛び交っているようで。

以前ドリブル塾の是非についてはこちらで論じたことがあったが、今回は改めて《サッカーと向き合う》という点から考察してみたいと思う。

▼ リフティングばかりしてるとサッカーが下手になる?

リフティングはありかなしか。
ドリブルスクールはありかなしか。
ミニゲームだけをやっていたら大丈夫なのか。

論点は多種多様だと思われるが、ポイントは本来シンプルなはず。

つまり、それぞれの取り組みが《サッカーというゲームの中で適切にプレーに関われる頻度と効果を高め、チームの目標を達成するための貴重な武器となることができ、結果としてチームにとって価値のある存在となることにつながるのか否か》。

で、僕らがしている議論の多くはどうもそこから考えられていない。で、それぞれの存在意義についてのやり取りだと、答えは出ないし、出たところでそれは解決策にならない。

リフティングをしていたからといって、サッカー理解が進んだりはしない。それはそうだ。でもリフティングをしていたからといって、リフティングそのものが悪なわけもない。

リフティングをすることで全身のコーディネーション能力が上がり、他のプレークオリティの向上にもつながるというご意見もあるし、それも一理は間違いなくあるし、コーディネーション能力へのアプローチは子供たちにとってものすごく大事というのは確かだ。

ただここで大事なのは、何か一つの要素だけを取り上げてトレーニングすることとサッカーというスポーツの相互性はよくないということを知らないといけないということだ。

元ドイツ代表DFでデュッセルドルフのセカンドチームでコーチをしているルーカス・シンキビッツがこんなことを言っていた。サッカーってどんなスポーツ?

サッカーは技術だけでするものじゃない。サッカーには確かな目だったり、思いもよらぬアイデアだったり、それこそフィジカル能力も必要だし、いろんなメンタル要素も、インテリジェンスも欠かせない。

見た目が良かったり、派手なプレーだけがサッカーのすべてじゃない。相手の攻撃を食い止める泥臭いプレーができる選手だって必要だし、チームにとってすごく大切じゃないか。体を張って相手の攻撃を跳ね返し続ける選手がいなかったら、ゲームになるだろうか。足が速くてスペースを突くのに長けた選手がいたら、どれだけチームの助けになるだろうか。

さまざまな関わり方ができるから、サッカーは面白いんだよ。さまざまな勝ち方があるから、ドキドキワクワクするんじゃないか。技術に優れた選手は必要だけど、みんながみんな同じようなプレーをしたからって相手を上回れるということにはならないだろう?
リフティングできないと試合に出さないは愚策)より

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