中野吉之伴フッスバルラボ

【ブンデス】ブンデス2部の魅力を語ってみた。ドクロのザンクトパウリとハイデンハイムのアイデンティティ

▼ ブンデスリーガ2部の魅力に迫ってみる!

「ブンデスリーガ2部って
そこまでレベル高くないよね?」
「サッカーもそこまで面白くはないよね?」

そんなふうに言われちゃうことがある。うーん、プレミアリーグやリーガエスパニョーラのような華麗な感じはないし、ブンデスリーガと比べたらもちろんネームバリューだって全然違う。そりゃそうだ。

人によっては「Jリーグのほうがレベルが高いし、魅力的なんじゃない?」という意見だってあるだろう。そんな考えだってありだ。誰だって自分の中にものさしを持っているだろう。

でもリーグのレベルをそのまま対比して順位付けをすることって簡単ではないし、そもそも何を基準にリーグのレベルを図ればいいかは、それこそサッカーに対する考え方で変わってくる。それにレベル云々だけでサッカーの魅力というのは語り切れないではないか。

そもそものところでブンデスリーガ2部に所属してるから、ブンデスリーガ18クラブよりも弱いのかというとそういうわけでもない。抱えている選手のクオリティや経験値を数値化して、分析して、総合値を導き出したりすることもできると思うけど、それがそのままリーグ戦の順位に反映されるわけでもない。

それこそカップ戦ともなれば《下剋上》《ジャイアントキリング》は大事なキーワードになるでしょ?

事実、今年のドイツカップは波乱万丈の連続だ。絶対王者のバイエルンが2回戦でボルシアMGに0-5で完膚なきまでに完敗したかと思うと、そのボルシアMGは3回戦で2部リーグで12位のハノーファーに0-3で一蹴されている。

ボルシアMGはCL出場権獲得を目標にフランクフルトから7億5千万ユーロものお金を投資してアディ・ヒュッター監督を引っ張ってきたけど、いまのところ全く機能していない。ドイツ代表、スイス代表、フランス代表、アルジェリア代表、オーストリア代表などなど、選手の顔触れを見たら、どんなサッカーを見せてくれるんだろうってわくわくなのに、むしろこちらが心配になるほど、選手の動きがばらばらだ。

そうかと思うと2部リーグにはコンスタントに面白いサッカーを見せてくれているチームだってある。例えばザンクトパウリは2年目のティム・シュルツ監督が非常に優れた手腕を発揮しているんだ。

どくろのマークでおなじみのザンクトパウリだ。もう存在感が独特すぎる。ハードコアで、カルトっぽさがあって、規模的には大きなクラブではないけど、世界中に支持者がいたりする。今はコロナ禍だから無理だけど、フル観客詰まった時のここのスタジアムは、空気感が他と全く違う。ピリピリなんて言葉では言い表せない。こわもてのファンも少なくないスタジアムで、発煙筒がたかれ、野太い声でチームソングが奏でられる。

取材で来ているとはいえ、「大丈夫かな、俺」ってドキドキしちゃう。でも結構みんな優しかったりもする。困っていたら助けてくれる。スキンヘッド+サングラス+ビールのお兄さんが、至近距離でこちらの話を聞いて、入り口を教えてくれたりする。これってかなり癖になる感覚だ。

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