中野吉之伴フッスバルラボ

【きちログ】人見知りだった僕が通信員としての仕事を通して身につけていったコミュニケーション能力

きちログ~渡独後の歩みを思い出しながら徒然につづる回顧録~

前回のきちログ「就労ビザを手にしたあの日。強制送還も覚悟した僕をたくさんの人が親身に助けてくれた

▼ 通信員としてW杯準備を取材

多くの方の助けを借りて、無事に就労ビザを手にした僕。ちょっとそんな僕がしていた通信員の仕事内容を振り返ってみたい。

基本的に新聞読み。今ほどインターネット上でなんでも情報が手に入った時代ではなく、当時の情報源はやっぱり新聞。全国紙を中心にスポーツ紙をチェックしてはブンデスリーガに関する興味深いトピックスとを取り上げては、日本語に訳してメールでまとめて送る。

朝一で近くのキヨスクやパン屋さんで新聞を買っては家に帰ってコーヒーを飲みながら、記事を読む。《ドイツ語を日本語に訳す》とは言っても、そのころはまだまだ僕のドイツ語力だってレベルもそこそこ。あいまいな単語をそのままにはできないから、辞書片手に丁寧に訳していく。だから時間もかかる。

それこそ最近でも辞書を引いて確認することは普通にある。

「ドイツに20年いるのにまだ辞書が必要なんですか?」

そんな風に驚かれることがあるが、「皆さんだって日本語すべてをしっかり理解してますか?」と言われたら、「いや、そりゃ無理だ」ってなるでしょ?いろんな言い回しや表現があるでしょ?標準語だけじゃなくて、その地方ならではの方言だってあるでしょ?古風な言い回しだってあるでしょ?だから国語辞典があるわけでしょ?

それを外国語としてやるんだから、そりゃいつまでたっても辞書は必要だ。

それに加えて、最初のころは何をどのようにどんな感じで訳したらいいかも四苦八苦。それだけに初めて自分の名前が入った記事を送ってもらったときにはすごく感動したのを覚えている。

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