【2021年総集編】今年もいろんなことがありました。毎月の人気記事とともに振り返ってみました
2021年9月:保護者とのコミュニケーションは勝手にできるようになるものだろうか?
【育成論】保護者とのコミュニケーションは勝手にできるようになるものだろうか?親との関係性の築き方を学べる環境をぜひ整理したい – 中野吉之伴フッスバルラボ https://t.co/9DehL0sLfp
— 中野 吉之伴 フッスバルラボ 事務局 (@kichi_maga) September 6, 2021
親があれこれいってくるのは意地悪でもなければ、過保護だからでもない。そういう場合もあるけど、多くは不安だから、というのが大きいです。
本当にこれでいいのかわからない。本当にこれでいいと思えない。だから理由を知りたいし、安心したいんです。気になってしまうのはある意味当然のことといえるかもしれません。
それを認めたうえで、指導者としてどのようにコミュニケーションを取るべきか。そこを考えて行動するのってものすごく大事ですよね。
理論が先にきすぎてしまうのはよくないことをもっと実感してほしいと思っている。僕ら人間は理論的に正しいことだからとすべてを納得して受け入れられるわけではないのだから。
「親がなんで子どものことにあそこまで気を配ろうとするかがわからないんだ。あれくらいのことほっといたらいいじゃないか?」
ある若い監督が僕にちょっとした愚痴を言ってきたことがある。そうなんだ。外から見ていたらたいしたことではなかったりする。言ってることはこちらの方が正しいかもしれない。こちらが子どもたちが集中して成長するために何が大事かを考えてやっていることはいいことなんだよ。
でもね、親の気持ちをある程度は配慮・考慮することも大事なんだ。親ははたから見て小さなことも大事にしたいんだ。そこでの関わり合いが、子供への何より大切なことだと思っているから。
2021年10月:僕が幼稚園の全国大会に心から反対する理由
現場からの切実な訴え。期間限定で無料公開なので、より多くの大人に届いてほしい▶️【育成論】幼稚園の全国大会に心から反対する理由 – 中野吉之伴フッスバルラボ https://t.co/SM4bgbKpjq
— 徹壱@football (@tete_room) October 30, 2021
今年一番読まれた記事です。期間限定で無料公開したことも理由の一つですが、皆さんが気になって、知りたかった情報を好タイミングで出すことができたことも大きな要因かなと思います。
改めて書きますけど、幼稚園の試合を開催するのに反対しているわけではないんですよね。全国規模の大会が行われることで生じるデメリットや危険をもっと真剣に考慮しなければならないのではないですか?という指摘です。
僕達人間にはちゃんとした修復能力がある。心も、体も、思考も、負担がかかれば傷つく。でも時間をかけて休めばちゃんと回復する。だから子供たちは本来試合に勝っても負けても翌日か翌々日にはすっかり立ち直って笑顔になれる。
なのに全国大会や国際チャレンジみたいな大会は、そんな彼らが悲しみを引きずるような形式をあえて作り出すことになるのだ。勝っても負けてもだ。それどころかサッカーを辞めたいと思う要因にさえなってしまう。賛同しかねる。
幼稚園児対象の大会どころか、小学生対象の全国大会はドイツでも欧州の他国でも行われていない。小学生高学年くらいの年代であっても、強すぎる刺激は成長へデメリットしかないと断言する育成関係者が欧州には本当に多い。心が成熟するためにはじっくりと確かな時間をかけて成長することが必要なのだから。
2021年11月:サンフレッチェ広島新監督ミヒャエル・スキッベってどんな人?
【サンフレッチェ新監督ミヒャエル・スキッベ】
「ドイツ人指導者らしく厳格なディシプリンをベースに取り組むが、クリエイティブなプレーにもどんどんチャレンジさせる勇気もある。チームの土台を作り上げる手腕には定評がある。積極的に若手も採用する点にも注目」https://t.co/A6eM0q0zPK— 吉之伴@🇩🇪サッカー指導者/サッカーライター (@kichinosuken) November 29, 2021
こちらが年間人気記事第2位になりますね。ミヒャエル・スキッベは一昔前の指導者とくくられてしまうのかもしれませんが、いま台頭している若手指導者が生まれてくる下地を作り上げた存在でもあるわけです。
ブンデスリーガ育成年代の指導者、ドイツ代表アシスタントコーチ、ドイツサッカー協会で育成ダイレクターとU19監督、レバークーゼン、ドルトムント、フランクフルト、ヘルタというブンデスリーガクラブで監督、ギリシャ代表監督など、とにかく多種多様なキャリアを積んできています。
オミクロン株の問題でなかなか日本へ入国できないのは心配な点ですけど、これまでの経験をどのように日本へ還元してくれるのかは楽しみでしかないですね。
指導者歴は35年になる。ドイツを離れ、様々な国にわたりながら、様々な経験をし、様々な知見を習得してきた。いまもなお成長するために学び続けているスキッベ。そんな指導者としての魅力は何なのだろうか。
「ピッチでの毎日の活動だよ。選手との関わり、チームを形成し、試合に向けて戦術の準備をしていく。そのすべてが喜びだ」
新天地広島でどんなサッカーを展開してくれるのかについてもそうだが、育成も含めてこれまでのクラブビジョンをどのようにアップデートし、どのように整理していくかがとても興味深い。長期的なプロジェクトとして機能してくれたら素敵だ。
2021年12月:理想郷なんてない。ドイツサッカーにだっていろんなことが起こる
【9000字弱の大作】
解任騒動の真相をできるだけ冷静に整理してまとめてみました。当たり前のことですが、理想郷なんてないんです。どこへ行ってもつらいことは絶対にある。
その中で正しく戦っていくための覚悟と信念。
それと共にこれからも歩いていきたいと思います。https://t.co/Zolo6CZbuy
— 吉之伴@🇩🇪サッカー指導者/サッカーライター (@kichinosuken) December 24, 2021
フライブルガーFCのU12監督解任となった裏側をできるだけ冷静に振り返ってまとめてみたコラムです。冒頭のコラムに思いがつながっていますね。大変なことがあったとはいえです、今年もとても充実した一年だったのは間違いないです。いろんな出会いがあったし、いろんな喜びがありました。だから来年がくるのが楽しみです。
そういえば、デットマール・クラマーさんがいっていた言葉を思い出していた。「ドイツでも勝った時にはたくさん人が来るが、負けると来ない。負けた時に来てくれる人こそ真の友人(トゥルーフレンド)なのだ」って。
うれしいことに僕にもたくさんのトゥルーフレンドがいた。心配をして電話をしてきたり、一緒になって悲しんだり、憤ってくれたり。
コロナで大変だったりというのはわかる。社会全体が沈み込んでいる時代だ。いろんなことがねじ曲がっている時代だ。でも、いやだからこそ、正しい信念とともに取り組むことが大切なのだと僕は信じている。苦しい時だからこそ、勇気をもって勇敢に、今だけのためではなく、将来のために、我慢強く丁寧にじっくりとやっていくことが大事なんだ。
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どうぞ皆さんも、良い年をお迎えくださいませ。
笑う門には福来る、ですね!