中野吉之伴フッスバルラボ

【無料コラム】ドイツの5年生は日本の大学生よりも休講が多い話

こんにちは!我が家の子どもたちが終業式を迎える本日、2021年最後の無料コラム「ゆきラボ」をお届けします。

今秋から冬にかけて、これまでとは桁違いの新規感染者が連日で続けていたここドイツ。子どもたちの通う学校でも「去年みたいにまたクリスマス休暇が前倒しになるのではないか」「そしてそのまま年明けも登校できなくなるのではないか」という噂が飛び交っていましたが、感染拡大傾向がいったん小康状態に入った、といえる状態で無事に終業式を迎えました。休暇は予定通り明日から始まり、おそらく予定通り1月9日で終わる予定です。

イメージ・ https://www.photo-ac.com/

秋休みが明けた11月上旬頃から、子どもたちの学校ではホームスクーリングや分散登校に向けた練習が少しずつ行われていました。学校のウェブサイトにログインする方法、課題のダウンロードやアップロードの方法、オンライン授業への参加方法などなど。もし自宅学習になった場合、長男には既に過去のロックダウン時の経験がありますが、次男にとっては、小学校時代に比べてオンラインで取り組まなくてはならない科目も課題量も増えています。

災害の避難訓練と一緒で、実際に訓練が役に立つ機会がないのならそれに越したことはありませんが、予行練習をやって、いざというときの心づもりができたのはとても助かりました。というか、2020年の最初のロックダウンの時には、長男はこれらの準備がほぼないままいきなり学校が閉鎖になったわけで、我が子ながら、我ながら、そして先生方も、よく乗り切れたなと改めて思います……

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全面的に学校が閉まる心配は、1~2か月前に比べれば少なくなりましたが、クラスターが発生して一部の学級が閉鎖になる可能性、子ども自身がコロナ感染者や濃厚接触者になってしばらく自宅隔離生活になってしまう可能性はまだまだありますし、何より冬は普通に風邪やその他感染症が流行る季節。冬休みも、年明けも、引き続きできる限りの健康管理をしつつ過ごしたいと思います。

ところで、そんなドイツの学校ですが、じつは小学校も、それより上の学校でも、ちょくちょく休講や代講があります。自分が日本にいたときの記憶をたどっても、担任の先生の病欠で授業が休みになる……などという経験は小中までほとんどありません。高校でも数えるほどだったでしょうか。大学に入ると時々休講があった記憶がありますが、それも年度に数回程度だったような。ちなみに2000年代初頭だった私の学生時代、休講やその他大学からの連絡を確認する手段は掲示板でした。ネットのではなく、壁に紙が貼られた文字通りの掲示板です。

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一方、長男と次男の通うギムナジウムでは、体感ではありますが平均すると月に数回、多いときはそれ以上のペースでかなり頻繁に休講や代講があります。時間割の変更を知らせてくれるアプリがあり、週に1回は何かしらの変更が発生しています。スマホがこれほど普及する前は一体どうやってこの頻繁な休講や代講に対応していたんだろう?今度、子育ての先輩にぜひ聞いてみたいものです。

休講の主な原因は、先生本人、もしくは先生の家族の体調不良による病欠。したがって、秋冬にはどうしても休講が増えます。具合が悪いのに無理して家を出るという発想はもともとドイツには薄いですし、コロナ以降はさらにその傾向が強まって、少しでも体調が悪いという自覚がある人はむしろ職場には来ないでくれ、という雰囲気です。無理は美徳ではありません。

調子の良くないときはきちんと休む。当たり前といえば当たり前のことではありますが、休んだら仕事に穴が開くことが明白な場合であっても堂々と休む人たちを目の当たりにすると、日本とは仕事の風土が全然違うんだな……と改めて思います。

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さて、休講になった子どもが朝家にいる、もしくは予定よりも1~2時間早く帰宅してしまう、となると困るのは当然親です。平日日中に仕事をしている親はいうまでもなく、専業主婦/夫のいる家だって、子どもの留守中には家事だって買い物だって通院だっていろいろ予定があるでしょう。小学校の頃は学校に併設されている学童で子どもを見てもらうことができましたが、ギムナジウムに入ってそれがなくなってしまいました。

我が家はコロナ前から在宅ワークの比重の多い家だったので、日中は私か夫のどちらかが在宅していることが多いのですが、先日はたまたま夫が出張、私も通院と外での仕事が入っていた日に急な休講が重なって慌てました。幸い、かかりつけ医はすぐ近所だったので、子どもの朝ご飯を準備してから朝一番で診察を済ませ、自転車でダッシュで帰宅し、子どもを送り出してから出勤する、というせわしない朝になったものの、なんとか対応。他の家でも、休講のお知らせがあるたびに、出勤や退勤の予定をやりくりしたりして対応しているのだろうと思います。

これだけ休講が多くても、なんだかんだで年間のカリキュラムは(コロナで遅れた分を除けば)きちんと帳尻が合って消化されている(らしい)のも不思議な感じです。そして、休講でちょくちょく1時間目が休みになり、朝少しだけ寝坊できる日が続くと、逆に休講がなくて時間通りに起きなくてはいけない日がつらかったりもします。冬の暗くて寒い朝はなおさらですが、ともあれそれも明日からはしばらくお休みです。

今年も「ゆきラボ」にお付き合いくださり、ありがとうございました!来年も、願わくばコロナの話題は少な目で、ドイツの日常の出来事をお伝えしていければと思います。みなさん、どうぞ良い年の瀬をお過ごしください。

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