【きちログ】C級ライセンス講習会でサッカーの基本の前に、指導者としての基本を叩き込まれた。そして大切な出会いもあった
きちログ~渡独後の歩みを思い出しながら徒然につづる回顧録~
前回のきちログ「3年目で最初のライセンス講習会へ。協会が実際に現地に足を運んで活動していることを実感したあの日」
▼ 多岐にわたっていたC級ライセンスの内容
今回はC級ライセンス(現在のB級ライセンス相当)における内容についてお話していこうと思う。
取り上げられていたテーマはスポーツ生理学、心理学、栄養学、コーチング方法など多岐に渡っていた。サッカーの指導者だからサッカーを学ぶことは大事なんだけど、そもそものところをまず学ぶことが大切なわけだ。
・スポーツって何のためにあるの?
・僕達人間てどういう構造をしているの?
・子どもたちにとってのサッカーって何だろう?
・どれだけのトレーニングをしたら、どんな効果が、どのように出るの?
こういった知識は《指導者として誰もが知っておかなければならない超基礎》となる部分。ドイツではその後のライセンスへ進むために受けなければならない最初のライセンスであるC級ライセンスで大切に取り扱われていた。
当時はまさにドイツサッカーが育成改革へと向かって進みだそうとしている時期。だからだろう。子どもたちのトレーニングにおける注意点、最適な練習メニューの作り方やシーズンを通した計画の立て方などについて、特に強調されていたのを思い出す。
僕的にすごい衝撃を受けたのはトレーニングプランに関する講義だった。正直僕は戸惑いさえ感じていたんだ。
ドイツをはじめとする欧州各国で年間スケジュールはリーグ戦を中心に組まれ、一般的にリーグ戦が始まるまでの準備期間、リーグの前半戦、冬休み、リーグ後半戦までの準備期間、リーグ後半戦そして夏休みと分けて考えられる。
・一般的に年間スケジュールを作る際に注意すべきは、最初に基礎体力を中心にしたメニューを組み込み、徐々にスピード系、パワー系のトレーニングも組み入れていくべきということ。
・選手のコンディションをケアしたプランをすること。
・技術練習はアップをしながら行うことでトレーニングの効率化を図り、メインとなる戦術練習へとつなげていけるようにオーガナイズをすることが大切ということ。
・シーズンが始まったら、前の試合で目に付いた弱点を修正しながら、自分たちのサッカーの熟成を目指していくこと。
講師の指導者は資料を配りながら、そんな指摘をしながら、参加者に問いかけながら、進めていく。参加者は自分の意見を口にしたり、疑問を投げ込んだりして、ディスカッションを深めていく。
でも僕にはそこに入っていけるだけの経験が全くなかったのだ。
僕が携わってきた日本のサッカーにはこうしたシーズンスケジュールは何一つ存在していなかった。高校時代の部活に準備期や試合のシーズンというものは存在していなかった。
トーナメントという公式戦が年間何回かあるだけで、後は練習試合が不定期に組まれるだけ。一応新入生は4月に走り中心のメニューになっていたが、それ以外はいつでも変らずに基礎練習、シュート練習、ミニゲームの繰り返し。
これは別に僕の通っていた高校に限った話ではないと思う。そしてサッカーに限った話ではないと思う。いや、ひょっとしたら当時の日本にも、丁寧な年間スケジュールがたてられて、意図がはっきりしたトレーニングが行われていた部活やクラブもあったのだろう。でも絶対数はそうは多くなかったのではないだろうか。
ドイツをはじめとする欧州では違う。なんでもない地方の小さなチームであっても、ブンデスリーガと全く同じようなスケジュールでシーズンが過ぎていく。どんなチームであっても準備期間を活用してコンディション調整をして、練習試合を組み、シーズンに向けて準備をする。どんなに弱いチームであっても年間20試合以上のリーグ戦がある。
それはきっと本来、とても大切なことで、とても当たり前のことであるはずなのだ。
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