中野吉之伴フッスバルラボ

【グラスルーツ】サッカーと社会と人種差別問題。苦しんでいる人を助けることが当たり前に許容してもらえる社会でありますように。

▼ 人種差別問題に関する話題はタブーではない

※20年11月付フットボリスタWEB掲載コラムより転載

「育成年代における人種差別問題との向き合い方」というお題を今回編集部からもらった。「デリケートな話題だと思いますが」とメールにあったが、確かにものすごくデリケートだ。

でもデリケートだから避けられる話題かというとそんなことはない。むしろよくディスカッションされるテーマである。

ドイツの日常生活では周りにいろんな人たちがいる。ドイツ国民とひと言で言っても、いろんな種類があるわけだ。ドイツ人-ドイツ人というパパ・ママを持つ子供は今、果たしてどれくらいいるんだろうか。

それにそのパパ・ママのパパ・ママがいわゆるドイツ人かというパターンまで考えると、だいぶ割合は低くなるはず。

数値的にどうこう言う以前に、欧州では自分を含めてルーツも育ちも宗教も哲学も違う人たちが普通にいる中で暮らしている。だから基本的にみんな自分とは異なる人種に対する意識を意識的に、無意識的に日常から持っているはずだ。

だから「人種差別はしてもいいのか?」と尋ねたらほぼすべての人が「絶対にダメだ」と答えるのではないかと思う。少なくとも僕の周囲の様子を見る限りはそういう傾向があると感じている。

では人種差別発言がないのかというと、それは普通にあるのだ。どこでもある。小学校でもあるだろうし、グラスルーツのスポーツ現場でもよくある。

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