【質問】「ドイツでは育成年代で移籍期間に選手が移籍した場合、金銭 or 選手のトレードが発生していますか?」
▼ 読者の質問にお答えします Vol.16
TwitterのDMで質問をいただきました。ちょっと掘り下げて考えてみたいテーマです。
「ドイツの育成の形式について質問です。
育成年代で移籍期間に選手が移籍した場合、金銭 or 選手のトレードが発生していますか?
日本では長年のシステムでほぼボランティアの少年団が街クラブ・プロクラブに吸い上げられるのみで、そのチームから還元がありません(金銭や選手の補填など)。
日本ではまだまだ民間施設が整備されておらず、学校施設を中心としたチームが多いです。 そのため、少年団は普及・選手発掘するために重要だと思っています。 少年団にメリットがあるシステムをどのようにしたらいいか悩んでる日々です」
答え:ドイツの育成年代で選手移籍に伴う金銭補填、選手トレードはないです。U10でも、U15でも、U19でもない。移籍に関して金銭が関わってくるのは成人チームになってからですね。
例えば、Aというクラブの育成で育った選手が同クラブのトップチームにではなく、Bというクラブのトップチームに移籍をすることになった場合、それまでクラブに在籍していた年数、そしてBが所属するリーグに応じて育成金が必要にはなります。
トップチームが5部リーグのAクラブU19から、8部リーグに所属するBクラブのトップチームへ移籍した選手にかかった移籍金はおよそ10万円でした。逆の場合は係数が変わるのでもっと高額の移籍金が必要になります。
基本、成人サッカーではアマチュアでも普通に移籍金はかかります。僕も現役時代9部リーグの下位クラブから8部リーグに昇格したクラブへ移籍した際には、300ユーロ(4万円相当)かかったと後で聞きました。ただクラブ間交渉で移籍金を調整しているために、リーグ開幕戦には出れず。
最終的に監督がポケットマネーから半分をねん出することで晴れて移籍が成立しました。アマチュアサッカーであっても、こうした図式はプロのそれと変わりがないんだなぁと感動したことを覚えています。
ただこうしたやり取りは育成では行われないです。プロクラブの育成機関に移る際もそこで金銭的な何かというのはうまれない。選手がプロとなり、移籍をした時に移籍金の何パーセントかが育成時に所属していたクラブに振り込まれるという制度はありますが、それはまた別の話なのでここでは割愛します。
ドイツは学校スポーツがほぼなく、ほぼすべてのスポーツ活動は地元のスポーツクラブで行われます。そしてほぼすべての活動はボランティアベースになります。指導者として、スタッフとしてお金をもらいながらやれている人はごくごくわずか。
日本だと街クラブの指導者がそれ専任で生計を立てていることがありますが、そうした形式はドイツをはじめとするヨーロッパではほぼないです。ブンデスリーガクラブの育成アカデミーの主任ポストとなると話は別です。プロ指導者として十分な給与をもらえるようになります。
でもグラスルーツにおいては、基本的に指導者はみなボランティアで関わるし、そのことに文句を言う人、あるいはボランティアでやっていることを表に出して、「無償でやってるんだから自分がやりたいようにやる」という人もほとんどいない。
なぜでしょう?
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