中野吉之伴フッスバルラボ

ドイツの野球からスポーツや教育、子育てを考える(動画)

▼ ドイツで野球を始めようとしている長男

12月はクリスマスシーズン。イベントが目白押しで、週末のスケジュールは毎週忙しくなってくる。先日は長男が新しく始めた野球クラブのパーティが開催されたので私も一緒に行ってきた。夏休みにワンデーの体験スクールに何度か参加していた長男は、野球もどうしてもやりたくなり、10月ころから週に一回練習に通っている。11月からは冬シーズンということで週に一回体育館で室内練習を行うので、いまんところそこまでスケジュールでそこまで苦労はしていない。今後サッカーをやって、野球をやって、それでもちゃんと学校の勉強も無理なく取り組めるのかというところを大事にして調整しながらやっていってほしいなと願っている。こちらも適度なサポートをしながら、見守っていきたい。

野球の練習はいつも私がフライブルガーFCで練習をしている時間とかぶるので、まだ一度も見にいけたことがない。ちなみにグラウンドはすぐ近く。途中まで長男と一緒に自転車で行って、お互い「頑張ってね!」といって別れてそれぞれの練習に行く。加入を決意した時点でもうリーグが終わっていたのでまだ試合には出たことがなく、そのため他の子どもたちの親御さんと話をする機会もまだない。1人昔からよく知るドイツ人の娘さんが同チームでプレーしているので、そこが唯一の窓口。

ちょっとドキドキしてクリスマス会会場となる山小屋のドアを開けたが、アウェー感はまったくなかった。こじんまりとした山小屋の中で子どもたちも親御さんたちもすごく優しい雰囲気で談笑している。奥の方に席が空いていたので座ってしばらく様子をうかがっていると、長男チームの監督さんが近くに座って話しかけてくれた。

互いに自己紹介をして、私がサッカー指導者をしていると明かすと、指導者つながりで話がすぐに盛り上がる。

ドイツの野球人口は多いわけではない。むしろ少ない。かなり少ない。だからカテゴリーもそこまで細かく分かれていないし、チームを維持するのも簡単ではない。10歳から15歳が同じチーム。小5~中3で1チームを作るということだ。それでも現在チームの所属人数が14人。来季4人が16歳以上のトップチームに昇格し、新加入の子どもがうちの長男を合わせて3人。加えて野球だけをやっている子ばかりではなく、他にもスポーツをやっている子たちもいる。春先からまた外で週に2回の練習がスタートするとなっても、どの子も毎回週2回の練習に顔を出せるわけではない。試合スケジュールの調整にも気を配らなければならない。

そんな環境でもみんなが楽しく、野球を楽しみながら、いろんな技術や野球の奥深さを学べる状況を作るというのは、とても大変なことだ。押し付けたり、強制したり、強要したりなんてない。どうすれば子どもたちが野球の魅力をストレートに感じてくれるか。そこを大事にしながら、だからと子どもたちが楽しければそれでいいというふうにもしない。野球というスポーツにおける大切なこと、取り込むべきことをちゃんと伝えていく。

すごいなぁと思う。

ドイツにおいてサッカーはあらゆる意味で恵まれている。いろんなものがそろっている。いろんなものが積み重ねられてきている。その中で今のサッカー指導者は相当楽になっているのだ。そうなるまでに様々な取り組みをして、作り上げてくれた先人への感謝を忘れてはならない。土台を築くというのは非常に根気がいり、時間がかかり、でもだからこそとても大事な部分なのだ。

▼片山和総さんから学ぶドイツ野球事情

野球といえば夏に池上正さん主催のドイツ指導者研修のプログラムで、ドイツベースボールのブンデスリーガクラブであるカーディナルスケルンを訪問し、選手兼で監督をしている片山和総(かたやまかずさ)さんからレクチャーを受け、質疑応答の時間を持つことができた。サッカー指導者研修を銘打っているのに何で野球?という疑問が出てくる方が普通かもしれない。だが、私からするとここは一番といっていいほど皆さんに来てほしいと思った場所だった。

理由はドイツにおける野球の立ち位置と、日本におけるサッカーの立ち位置には相違点が多いという点、そして、ドイツでは間違いなくマイナースポーツである野球のトレーニング環境、試合システムの整理がどうなっているのかを知ってほしかったことの2点だ。

ドイツベースボールのブンデスリーガや片山さんの略歴などはリアルスポーツでインタビュー記事を執筆したので、まだ読んでいない方はこの機会にぜひ読んでいただきたい。

知られざるドイツ野球の世界で戦う日本人 無名選手が新天地でつかんだ「野球ができる希望

日本野球界に忍び寄る「消滅危機」はどうすれば止められる? スポーツ大国ドイツからの提言」

そして今回のWEBマガジンではその訪問時におこなった片山さんとのディスカッションの動画をお届けしたいと思う。野球そのものだけではなく、スポーツ全般について、子育てについて、トレーニングということについて、様々な視点で考えることができるのではないだろうか。

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