「全員出場」「出場時間の平等」という言葉でごまかさない。選手起用で配慮すべきポイントを考える
▼ 指導者の指導者としての挑戦 Vol.4
フライブルガーFC-U13チームは12月1日に今年のリーグ最終戦を行い、前半戦のスケジュールを無事に消化し終えた。12チームで構成されているU13-1部リーグで11試合6勝1分4敗の5位。上位2チームが実力的に頭一つ抜けているなか、しっかりとコンセプトを持って、選手の成長を優先して、各選手の出場時間にも気を配りながら、固定ポジションだけでプレーしないようにもチャレンジしての成績だけに、十分満足できるだけのものだと思っている。
リーグ戦でのフィールドプレーヤー出場時間トップの選手が全660分のうち532分。400分台が4選手、半分のラインとなる330分以上が6選手。残る3選手のうち2人が325分でもう一人が280分。一番少ない選手は試合日に病欠という事態が2度あったことも含め、リーグ戦で4度メンバー入りできなかったことを考えると、許容範囲内といえるのではないだろうか。
選手それぞれが十分に試合に出場できているという感触を持ちながら、試合の中でしっかりと成長できるような起用法や課題の提示をしながら、試合に対する熱い思いを損なうことなく、結果に対しても本気で立ち向かう。考えすぎて頭が痛くなることもあるが、そのための時間をアシスタントコーチのマヌと一緒に過ごすのはお互いにとって非常に充実したものだ。
悩みすぎると優先順位がぶれてしまうことがある。正直、出場時間のことばかりを考えてしまったりもした。特にマヌは神経質にこの点を気にしている時期があった。シーズン中、私は仕事の都合で試合に帯同できないこともある。一応”比較的”計算できる試合を選んでスケジューリングをするが、私が不在の機会を生かしてマヌにすべてを自分で決断する機会を持ってもらおうという思いもある。真面目で熱心なだけに、試合への準備は入念にしてくれる。でもその思いが強くなりすぎてしまう時がある。
「誰がどのくらい出たから、そろそろ交代しないといけない」
「彼はこの前の試合でフル出場したから、今回は早めに下げないと」
時計を見ながら交代をプラン通りに行おうとうする。とはいえ、サッカーはすべて額面通りに進んでいくわけではない。そして出場時間で区切って試合出場時間を分け合うことが全員出場のあるべき姿というわけでもないのだ。
試合には流れというものがある。そして選手にはリズムというものがある。試合開始からすごく調子がいいのに、「今日は開始15分で交代して、後半また起用というプランだから」という理由で一度ベンチに下げられたら、後半再度出場できても、試合にうまく入れなくてミスを連発、ということになってしまう。その辺りへのさじ加減を指導者は持つことが求められる。ドイツ語でFingerspitzgefühl(指先の感覚)といわれるが、これがないと選手との信頼関係を築くことはできない。
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