【対談】池上「だって無理するように教えているもの。 日本は『耐える』というトレーニングになっちゃう」
▼ 池上正さんとの対談 Vol.2
中野 例えば、8人制サッカーで3ピリオド制があるじゃないですか。帯同メンバーを全員最低でも1ピリオドは出場させないといけないという。
でも、そういうところでの悪知恵は働くのか、『だったら、8人だけ試合に連れていこう』と考える指導者が出てきてしまうというのを親交ある指導者から聞いたことがあります。
だったら全部8人構成のチームにしようって。それ以外の子はそこにいたら試合に出られない。
池上 私がクリニックをしても『それで試合に勝てますか?』という風に聞いてこられる。『賢くなりますよ、サッカーをよく理解する子になりますよ』とは伝えますけどね。
中野 試合に出ることで選手はうまくなる。所属している選手がみんな試合に出れば、チームの練習におけるクオリティだってどんどん上がってくる。そうやってチーム全体のレベルが上がれば、これまでうまかった子がさらにうまくなれるチャンスをえることができる。
目の前の試合に勝つ負けるだけではなくて、そうした長期的な視野は絶対に必要です。
うちの息子が所属するチームは3月から7人制の公式戦がスタートしたんですけど、みんなすごく成長しているんです。試合を通してどんどんうまくなっていく。前半終わるころには、もうプレーが変わってきている。
交代自由なんで監督はどんどんメンバーを代えていく。うまい子らは長めにプレーするけど、フル出場ということはない。チーム全員で試合に勝つためにがんばる。そして、みんなで支え合おうとする。真剣に試合に臨もうとする。
もう一回言いますけど、全員うまくなってきています。
やっぱり、試合環境で自分がどういう状況でどんなプレーをしたらいいかを学んで把握してプレーできたら、どんどんサッカーがうまくなる。試合環境、子どもが無理なくプレーできることはとても大事だと思うんです。だって、日本の子無理してません? 試合の時。
池上 まあね、本当にね。だって、無理するように教えているもの(笑)。
この間、ミゲル・ロドリゴと話をしていて、彼のトレーニングでこんなことがあったんだ。ボールをキープするんだけど、止まらないで動きなさいってミゲルは言うんだ。
相手が来たら肩と腰で相手を押さえるんだけど、そこでジッとするんじゃない、動く。それって相手の圧力から逃げるってことでしょ。
でも、日本は『耐える』というトレーニングになっちゃうから、みんなそこで止まってしまう。そこでふっと逃げたらもっといいところに運ぶことができるのにね。でも、日本の子はそこで耐えようとしちゃう。耐えさせるようなトレーニングになっているから仕方がないね。
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