インテリジェンスのある選手とは? 年代別指導とは? ドイツで行われる「今」の育成からそれぞれのテーマを再考する
▼ 育成環境に求められる4つのポイントとは?
1月の帰国中の講習会等の活動で、日本の指導者や保護者が最も関心を示したのは次の4つだった。それは、僕が最も強く伝えたかったことでもある。
(1)「子どもがどんな大人になることが望ましいのか」という視点の持ち方
(2)「そのために育成における年代別の適切な環境とは何なのか」という整理の仕方
(3)「その中で子どもはどのように育つべきか」という関わり方
(4)「指導者に求められるものは何なのか」という取り組み方
この4つについては、2016年に出版した著書「世界王者ドイツに学ぶサッカー年代別トレーニングの教科書」でも提示させてもらったが、もう一歩踏み込んだ内容を求める声が多かった。そこで、その辺りをブラッシュアップして、よりわかりやすくまとめてみたい。
偶然にも、18年2月にあるJクラブのドイツ指導者研修にアテンドとして同行し、様々なクラブで育成の責任者や現場のコーチに話を聞く機会があったので、そこでの話も参考に取り入れてみようと思う。
▼「子どもがどんな大人になることが望ましいのか」という視点の持ち方
ドイツにおいて、育成の目標は「選手としても、人としても、将来自立した生活ができるようになるための基盤づくり」とされている。
サッカーだけでなく、人間的な成長がなければならない。ブンデスリーガ・クラブの育成機関でもそこは重要視しているし、アマチュアの町クラブでは指導者が、子どもたちに社会や地域との関わり方を伝えていくのも重要な役割とされている。
とはいえ、人間的な成長だけを求めて、サッカーの追及がおざなりになるのも避けたいところ。追及とは、誰もがみなプロ選手になるかのようにはやし立てることではなく、全国大会に出ることだけを唯一の成功ととらえずに、それぞれの子が持っている『サッカーをしたい』という気持ちを損なうことなく、それぞれが自立して挑戦していけるように促すことだと思う。それは各選手に合うように配慮されるべきだ。
では、選手に求められる要素とはなんだろうか。
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