【連載 大嶽直人監督インタビュー㊤「勝ち点差“1”は、届かない“1”差だった」】
【連載 大嶽直人監督インタビュー㊤「勝ち点差“1”は、届かない“1”差だった」】
今季、大嶽直人監督を新監督に迎え、優勝、昇格を目指した鹿児島ユナイテッドFC。
常に上位で昇格争いを繰り広げたものの、3位で目標達成はかなわなかった。
カゴサカは11月28日、大嶽監督のロングインタビューを実施した。
サポーターやスポンサー、選手に対する想いを語ってくれた大嶽監督の目には、時折涙も。
常に先頭に立ってチームをけん引した監督の悔しさや新たな決意を、3回の連載で届ける。
初回は、今シーズンの振り返りを中心に話を聞いた。
−シーズンが終わり、スポンサーやサポーターと実際に交流してどんなことを感じましたか?
率直に、申し訳ないという気持ちです。有言実行できなかったことにとても悔いが残っています。しっかり謝りました。
選手たちは、目標に向かって日々トレーニングから100%の力を出してくれました。クラブスタッフやトレーナーも支えてくれて、感謝しています。
コロナ渦で様々なアクシデントがあったなか、サポーターもポジティブに後押ししてくれました。熱のこもった声援のおかげで、パワーが伝わって最後の最後まで昇格争いに絡めたのだと思います。悔しさもありますが、このチームの監督をやって良かったな、と感じたシーズンでした。
−どんな言葉が印象に残っていますか?
「共に戦っているんだよ」というメッセージです。サポーターの皆さんが諦めずに全力で応援してくれている姿が心に残っています。「鹿児島のサッカーを応援して本当に楽しかった」「面白いサッカーだった」と言ってくれた方もいて、ほんとに嬉しくて震えましたね。感動です。(昇格を逃したので)まさか、そういう声が聞けるとは思っていませんでした。
−昇格を勝ち点差「1」で逃した要因をどう分析されていますか?
勝ち点差は「1」ですが、届かない1差だったな、と感じています。引き分けの大切さ、勝ち点1の重みが最後の1に届かなかった要因です。苦しい中で、最後に連敗したことは、自分たちの足りない部分であり、弱さが見えたかな。それは、34試合を通して、右肩上がりで行かなければいけないということです。
チームの体力だったり、粘りだったり、忍耐や我慢が足りず、「1」差の重みが出てしまいました。その中でも良かった点は、順位に大きな変動がなかったことかなと思います。
−届かない「1」差を埋めるために必要だったこととは、どのような事でしょうか。
鳥取に0−6で負けたり、ホームで逆転負けをしたりしたことが響いていると思います。戦略的にも、思い切った策で、メンバーを変えるとか、守り抜くとか、違った案を出せていればな、という反省もありますね。
鹿児島はどうしても攻撃的なサッカーになるので、逆に裏をかいて守る戦術にすることや、大幅なメンバー変更をしても良かったのかな、と。
−得点面ではセットプレーでの得点が光りましたね。
本当によくやってくれたし、(セットプレーで)流れを変えるゲームも多かったですね。ただ、終盤になってくると相手も対策をして、入らなかったときにどうするか、という課題が残りました。自分たちにとって大きなストロングとなったので、来シーズンもパワーアップしなければなりません。
セットプレーの守備もゼロに抑えるくらい強化が必要です。もう一段階ギアを上げて考えなければ、最後まで戦い抜けないということを実感しました。スタッフが相手のウィークを研究して、対策を練ってくれたことに感謝しています。
−大嶽監督にとって、自身初のJリーグ采配でした。難しさややりがいは感じられましたか?
最初からやりがいを感じていました。鹿児島のサッカーが自分も好きだな、と。クラブのために、文化、歴史あるサッカーに対して、好感を持てました。J3だけでなく、J2、J1でも戦えるサッカーに進化、変化させていけると思っています。
次回は、「大嶽監督が選ぶベストゲーム、MVPは?」
12月10日(土)に配信予定です。お楽しみに。
(取材・文 平田美優)