【「これがスタートライン」ー霊長類最速の男が魅せたJ初ゴール 木出雄斗】
【「これがスタートライン」ー霊長類最速の男が魅せたJ初ゴール 木出雄斗】
背番号16ー“霊長類最速の男”がJリーグ初ゴールを決めた。
昨シーズン怪我に苦しんだルーキーイヤーを乗り越えて、今ピッチで輝きを放つ。
鹿児島ユナイテッドFC公式Twitterで夏休みに掲載されている「ユナイテッド時報」では“霊長類最速でしりとりを終わらせられる”ネタでも話題となり、今最も注目される選手の1人だ。
怪我を乗り越え掴んだJ初ゴール。どんな気持ちでその瞬間を迎えたのかー。
J初ゴールの瞬間
リーグ戦の行方を占う大一番、松本山雅戦。ホーム白波スタジアムは熱気に包まれていた。
木出選手の名前がコールされたのは70分、2−2同点の場面でピッチに立つ。
ー87分、その瞬間は訪れる。右サイドウィングのポジションを担っていた木出選手がサイドからカットインすると、利き足とは逆の左足を振り抜いた。「自分が1番ビックリしていたんですけど、頭真っ白で。でもベンチのところに行こう!と決めていたので一直線に走っていきました。」
決まった瞬間白波スタジアムが沸いた。仲間の祝福の中心に笑顔の木出雄斗の姿があった。
怪我に苦しんだ昨シーズン
大阪体育大学から大卒ルーキーとして鹿児島ユナイテッドFCに加入した昨シーズン。
スピードを活かした駆け上がりやゴールに向かう意識を評価されサイドバックのポジションを掴みかけた2021年6月、天皇杯アビスパ福岡戦で左ハムストリングスの肉離れで離脱を余儀なくされた。
「最初なかなか出番がなくて、やっと試合に出られたと思ったら怪我してしまって。復帰したと思ったらすぐに再発して。
半年くらいサッカーできていなかったので、もう2回目やってしまった時には「どうやったらサッカーできるのかな」という不安の方が大きかったんですけど、ちょうど一緒にリハビリしていた牛之濵選手と色々なことを話して、牛之濵選手にパワーもらえて・・・。一緒にピッチに立って活躍しよう、と話していたので、それがこの間の松本戦で実現できたので良かったです。」
牛之濵拓との絆
時を同じくしてリハビリに励んでいた牛之濵拓選手の存在が大きかったという
「何回も心が折れそうになったんですけど、横で牛之濵選手が100%以上でリハビリに取り組んでいる姿を見て、自分も落ち込んでいる場合じゃないなと感じていたので、お互い切磋琢磨してできたので良かったです。」
共に怪我に苦しんだ昨シーズンを乗り越え、同じピッチに立つ。木出選手のJ初ゴールは牛之濵選手にとっても嬉しい瞬間だったに違いない。
「点とった後、牛之濵選手のところに行ったら頭クシャクシャってしてくれて!“おめでとう”と言ってくれました。やっぱり嬉しかったです。」
話題の“霊長類最速でしりとりを終わらせる”ープロデューサーの存在
木出選手といえば今話題となっている“霊長類最速でしりとりを終わらせる”特技だ。実はこのしりとりにはプロデューサーの存在があるという。
「チームの公式ツイッターでユナイテッド時報をやる時に、自分一発芸とか持っていないタイプなのでプロデューサーの方に手伝ってもらって決まりました。そしたらバズってビックリしました。自分の素が出たかなと思います。プロデューサーですか?牛之濵選手です(笑)」
一緒に過ごす時間が長かったからこそ、木出選手のことを良く理解している。ピッチでもそれ以外の場所でも2人の絆は深い。
「これがスタートライン」
怪我に苦しんだルーキーイヤー。そしてそれを乗り越え掴んだJ初ゴール。
木出雄斗選手の歴史はまたここから始まる。
「怪我もあって色々苦労したんですけど、Jリーグ初ゴールを決めることができました。自分の中でこれがスタートラインだと思っているのでもっともっと活躍して、チームの優勝、昇格に貢献できるように頑張ります。これからも応援よろしくお願いします」
木出雄斗ー霊長類“最強”の選手へ。背番号16と共にJ2昇格へ走り続ける。
(取材・文 有賀真姫)