ACLEでの山東問題について「まずこのルール設計をもう一度考え直してほしい(野々村チェアマン)」/オンラインカジノ問題へのセミナーを来月開催予定。
2月25日、Jリーグの理事会が行われ、理事会後に記者会見が行われた。
会見の冒頭、野々村チェアマンがAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)における山東泰山の棄権による神戸の最終順位の変動について23日にJFAから意見書を提出したことを説明。「まずこのルール設計をもう一度考え直してほしい」としたうえで「チームにとって勝利給やプレミアの問題とか、選手の個人的な記録の問題、そしてACLEは各クラブが勝つことでリーグへのポイントが付くので、そのポイントの扱いについても当然ながらやった試合に関してはしっかり残るようにという事は伝えています」とコメントした。
〇野々村芳和チェアマン
開幕節で過去最高のお客様に来ていただいたことはお伝えしましたが、2節までの入場者数についても去年が最高でしたがそれを上回って691,766人(昨対比101%)となり、かつJ3の方でまだやれていない2試合があることも考えるとすごくいい滑り出しだったんじゃないかと思います。試合も全て見ているわけではありませんが、僕が見に行った試合やTVで見た試合に関してはすごくいいゲームをしてくれたんじゃないかと思います。
それからACLEで神戸のグループステージの最終順位が(山東が試合当日に棄権し、山東と対戦したチームの勝点がないものとなり)5位になった件について。あの件に関しては、試合当日~翌日の早朝からリーグとクラブが連絡を取ったりしながら、まずもってあのルールはありえないという事は当然ながらお伝えしています。とはいえ次の試合(ラウンド16が)が3月の頭にあるので、これは神戸さんとも連絡を取り合いながら、どんなことを今早く決定していくかという準備のためにもすごく大事にはなるので、そのへんは現場同士でコミュニケーションをとっていました。
リーグからすると、まずこのルール設計をもう一度考え直してほしいと。スイス方式になったから混乱した部分もありますが、一方でヨーロッパの方でこういったことが起こった場合にはそれまでやった試合の成績は残して後の試合は0-3で対応することになっています。僕が考えるにそれが一番公平なルール設計だと思いますし、その辺のことは当然言うと。なおかつ、チームにとって勝利給やプレミアの問題とか、選手の個人的な記録の問題、そしてACLEは各クラブが勝つことでリーグへのポイントが付くので、そのポイントの扱いについても当然ながらやった試合に関してはしっかり残るようにという事は伝えています。一応正式なルートとしてはJFAを通してAFC(アジアサッカー協会)に対して伝えることになっています(※補足:23日にJFAからAFCに対して文章として提出しているとのこと)。当然正式なルートでもやっていますし、その他にも当日から関係各所に問いかけを続けている状況です。
それから『タフに戦いながらアクチュアルプレーイングタイムをみんなで伸ばしていく努力を現場のみんなでやっていこう』という点に関して。プラスの効果としては、セルフジャッジをしなくなり続けていく姿勢は僕が見た試合ではありました。一方でファウルの基準が変わったわけではないので、悪質性を持ったプレーと激しいプレーは全く別物ですよねと。そこは審判にどうコントロールしてもらうのかというのは簡単なことではないのかもしれないけれど、ジャッジをする審判もしっかり学びながら現場で選手とコミュニケーションを取りながらやっていく必要があると思います。
またこれは皆さんにお伝えしたかどうかわかりませんが、サッカーはすごくシンプルなルールで、ファウルの基準にも一定の幅があります。ヨーロッパのトップレベルと比べるとJリーグの標準はまだまだ高いところに設定されていないと。トップレベルのチームと外で戦う時にはその高い標準でもやれるようにやっていこうという話でもあるので、ファウルの一定の幅を超えたものは当然ファウルという事は改めて意識してほしいなと思います。
もう一つ、これは似たような話のようで全く別の次元の話をすると、この一定の基準を超えてファウルがあったとしても、すぐに笛を吹いて止めるよりもその先にチャンスがあることが結構あって、何で止めちゃうのというシーンは日本の中では散見されていました。開幕戦のG大阪vsC大阪戦でも、香川選手が倒されてPKの笛を吹きそうなところで止めずに次の選手がゴールを決めたり、同じく試合のG大阪の1-1に追いついたシーンの宇佐美選手の対してのファウルも審判がゆとりを持つことによってその後に素晴らしいゴールを決めてくれました。ファウルであっても続けていくことは、サッカーを作ったり見せていくためにも、選手はセルフジャッジせずに審判もゆとりを持ってやれるようになれれば、上手くバランスよくできてくるとすごくいいものができてくるんじゃないかと思っています。その辺をみんなでもう一回協力しながらやっていこうよということはお伝えしたいところです」
また質疑応答では、昨今話題になっているオンラインカジノ問題について、プロ野球(NPB)の対応(やったことがある選手は名乗り出るようにと呼び掛けている)に対して、Jリーグとして選手やクラブに実態調査や注意喚起についてやるかという質問について、野々村チェアマンや担当者が答えた。
(野々村チェアマンが回答)
「Jリーグとしてのインテグリティについて、今回のようなオンラインカジノに関するようなことは、昨年メジャーリーグで大きな案件があった時にもリーグから各クラブへの注意喚起を含めてレターを出したりしながらコミュニケーションをとっていますし、今回も2月13日に各クラブに対して今一度注意喚起を促すようなレターを出しています。それと合わせて3月11日にはオンラインカジノ(問題)に特化したセミナーを設定しているので、それに参加するように促しています」
(セミナーの対象者について、司会を務める広報の萩原氏が説明)
「Jリーグのコンプライアンス部門から各クラブにコンプライアンスオフィサーに就いている社長や取締役に対してまずはその方に一報を入れていて、その人たちを対象にセミナーを(3月11日に)やる予定です。講師の方はJリーグの顧問弁護士でもあり警察庁出身の方なのでその辺にも詳しいので、その方と今やり取りをしています。またコンプライアンスオフィサーやフロントスタッフに啓発するだけでなく、選手たちにも直接聞いてもらいたいので選手の参加もOKにしています。クラブ側でも参加したいと手を挙げているクラブもあるので、そこまで突っ込んでやっていきたいと考えています」
またオンラインカジノの温床になっている無料のオンラインゲームについてはクラブの中にはパートナーに入っているクラブもあることについて、野々村チェアマンは次のように答えた。
(※野々村チェアマンが説明)
「どのくらいあるのかは把握していませんが、まず違法なことをしているところはパートナーにはなれません。一方で違法ではないところは認めているという流れがあります。また今回のように、そこはリーグで規制することができそうでできない部分でもありますし、それぞれの実態が正直分かっていない部分もあります。クラブでレピュテーション(評判)も含めてどう判断していくのか今まではたぶんやってきていますし、これからある一部分だけをこれはダメですよと決めることもできますが、やはり規制を厳しくするよりも自分たちの判断をどうするのか、そこにクラブの『これは大丈夫ですか?』というところに関してはリーグが寄り添っていくのが最もいいんじゃないかと、今日の理事会でもそんな話をしていました」
※萩原氏が補足説明
「最後の部分については、理事会でも話が出ました。やっぱりクラブでも判断に困るようなことが多々あるんじゃないかと現場感覚ではあると思います。その際にはJリーグが相談に乗りながら最善の対策を取っていく事を個別にやっていく必要があると思います」
また、オンラインカジノの全数調査については「どこまでやる必然性とかどこまでやるのかについては、やる・やらないも含めて検討している(萩原氏)」とのことだった。
その他、本日Jリーグから決議事項・報告事項がリリースされています。
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