Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~

【ニュース】シーズン移行の検討状況について「当該クラブだけの話ではなく、Jリーグ全体にとってアジアで勝つ・世界で戦うことが非常に重要であるという話をさせていただいています(Jリーグ・樋口氏)」

5月30日、Jリーグの2023年度第5回の理事会が行われ、理事会後記者会見が行われた。
シーズン移行の検討についての先週の実行委員会での議論や本日の理事会での議論のの現状について、Jリーグ・樋口順也フットボール本部長が説明を行った。
また参考資料として、現在のシーズンにおける困難な部分についても説明が行われた。
1~3については前回の内容と同じなので割愛しています。

〇樋口順也フットボール本部長

■4.今後の検討において整理が必要な項目の確認

4月にお話をした時にも賛否を問うような議論はまだしていないという話をさせていただきましたが、今後判断をするためにどういった材料が必要なのかの項目を現在出している状態です。クラブ向けのアンケートなども行いながら整理を行っています。全部の項目では数十個になりますが、大きく分けて以下の大項目として分類しています。

まずシーズン移行するメリットを大きく6点挙げています。

まず、暑い中(6-9月)での試合数の減少。それからシーズン中のチーム編成の変動の回避です。これは主にJ1のトップクラブ層で中心選手が移籍してしまう事への懸念を差しています。それから移籍関連、これもシーズンが一致することのメリットです。当然日本人選手が移籍した場合もフィットしやすくなる面もありますし、逆にヨーロッパから選手や指導者も獲得しやすくなる事が考えられます。
それからACLシーズンとの一致、試合日程関連と書いてあるのは、この後説明しますが、シーズン終盤にIW(インターナショナルウィンドウ=国際Aマッチデー)があることによって、日程の連続性が保てなくなる点。それから移行した場合のスケジュールでは開幕を7月の第4週目や8月頭に置いていますが、現状の2月から開幕して夏を迎える暑さとキャンプをした上で8月に開幕を迎えた場合での選手にかかる負担の比較など、そのあたりを検証していこうという話です。

その他大きなメリットではないものの、付随したメリットについて。例えば6月はオフになるので梅雨の時期での開催が減って(別の時期に開催される事で)お客さんが増えるのではないかとか、その他の事項を整理しております。

今項目が揃っておりますので、これを6月~7月で様々な情報を整理しながら、7月~9月でクラブや各ステークホルダーの皆様が判断できるような材料を集めていきたいと思っています。

逆に懸念事項です。

暑い中での試合が減る分、寒い中での試合数の増えるので、お客様の観戦環境に影響が出る可能性があります。
それから降雪地域の対応です。1月は(現在の日程でも)試合をしていませんが、12月と2月でそれぞれ1~2周程度試合を伸びる想定なので、その期間ホームでどのくらいのチームが試合をできるのか。今のシーズンでも2月に開幕していますので10数クラブが開幕を連続してアウェイで戦っていますが、リーグ全体でどのくらいの影響があるのか。あとは練習環境、冬のキャンプも増えるので、クラブの練習環境をどう構築していくのか。このあたりが降雪地域の対応となります。

移籍関連では、ヨーロッパのリーグと日程一致する一方で、逆にブラジルなどとずれている事や、移籍金の収益は現状(ヨーロッパと)ずれているからこそ移籍金が発生するという意見もいただいています。それから試合開催できる期間がオフの2か月に加えてウインターブレイクを含めて現状よりも約1か月短縮されるので、選手の強化の観点、お客様の観戦環境への観点で懸念があるのではないか。そしてパートナー企業の皆様や自治体など様々なステークホルダーとの年度の異なることで、スタジアム確保の観点からも懸念があるのではないか。それから移行期の対応。
最短で26年~27年に移行するとすれば、25年のシーズンが1.5年(もしくは0.5年)になるので、その時にどうしていくのか。

こういったメリット・デメリット両面を整理し項目の確認をしています。

■5.フットボール観点でのメリットの確認

 

現状のシーズンから変えることを検討する場合、何かメリットが明確に無ければ検討する必要がないわけで、フットボール観点でメリットがあるのであればその上で様々な懸念事項をある中で、今後議論していきたいと思います。

まずフットボール関連でのメリットを考える上で、Jリーグや日本サッカーの現状認識について確認をしています。

まず目指すべき状態は「アジアで圧倒的なリーグ」になることや、現在日本代表はW杯ベスト8以上になることを目標にしていますが、欧州リーグで戦う選手とJリーグで戦う選手の混合の状態が目指すべき状態だと考えています。
当然、さらなる高みとしてイングランドのプレミアリーグを超えるような世界一のリーグになり、Jリーグの選手で構成される日本代表で世界に勝つことが当然望まれますが、ここ数年で目指すべき状態をしっかりと目指していこうと確認しています。

2つ目はJリーグも競争環境によりシフトしていこうと話をしています。

30年前、今のプレミアリーグとJリーグはそれほど経営規模が違わなかった中で、この30年でプレミアリーグやヨーロッパのトップリーグは大きな成長を遂げています。これは多くの歴史があった中で飛躍的な競争で成長を遂げています。Jリーグもこの30年間の成長を土台としながら、より競争にシフトしていくような環境が必要なのではないかという話をさせていただいています。実行委員会の中では、現時点でのJ1のトップ層のクラブからは「今のままでは閉塞感があって、世界で戦っていくためにはリーグがより競争環境を作っていく必要がある」というご意見いただきました。

それからACLの大会構造やFCWCが32チームに拡大することで、アジアで勝つことや世界で戦うJリーグを示すことが、60分の4とか3の話ではなく、アジアで勝てないJリーグなのか、アジアで勝てるJリーグなのかで60クラブを支える価値の根源が大きく変わってくると思います。当該クラブだけの話ではなく、Jリーグ全体にとってアジアで勝つ・世界で戦うことが非常に重要であるという話をさせていただいています。

その上で確認させていただいているフットボール観点でのメリットを大きく3点挙げています。

1つ目は暑い中(6-9月)の試合数の減少です。
現状のシーズンは暑い中での試合が多く、インテンシティの連続性がある魅力的なサッカーで競争力を高める事を阻害している可能性があるのではないかという意見をいただいています。
2つ目がACLシーズンとの一致。3つ目が欧州シーズンとの一致ということで、海外に出ていく日本人選手が成功できる環境や、逆に海外選手や指導者をスムーズに獲得できるのではないかとという意見がありました。

この議論ですが、下に小さく書いてありますが、JFAで競技会カレンダーワーキンググループが21年11月から22年3月まで開催されていました。ここではシーズン移行には様々な観点がありますが、選手や監督などサッカーの現場目線でのどういったカレンダーが最もいいのかというワーキンググループがありました。林副会長がリーダーで、10数名のメンバーがいました。現役のJリーガーが4名、海外の選手が1名、J1の現役監督が2名ご参加いただいていました。その中では上記に書かれているようなメリットがあると確認いただき、シーズン移行を積極的に検討すべきではないかというご提言をいただきました。

ですのでいろいろな事を考えていかなければいけませんが、いい作品を作る上で非常に重要なピッチ上の選手や監督の意見を聞きながら、そこのメリットを確認しているという段階です。

ここまで実行委員会・理事会でも話をさせていただきましたが、このフットボール観点についてのメリットについては大多数のクラブが賛成いただいておりますし、本日の理事会でもご賛同いただいています。

繰り返しになりますが、シーズン移行への賛成ではなく、まずフットボール観点ではメリットがあるよねという確認です。先ほど出したいろいろな項目を整理しながら、どちらが上回るのか検証するステージに入っていきたいと思っています。

6.【参考】現在のシーズンにおける困難な部分の紹介

参考として、今のシーズンにおいて、IWどのように阻害しているのか説明させていただきます。
こちらが2024年のシーズンカレンダーのイメージ図になります。こちらはたたきの叩きの段階ですので、赤の部分がJ1の日程を示しております。ACLやクラブワールドカップの日程もまだ固まっていないのであくまでイメージになりますが、ACLの大会構造が変化したことで非常に難しい局面に陥っております。

今のスケジュールであれば、大体12月1週目に最終節を置いております。現状のスケジュールでは最終節を置くことができません。なぜかと言えば最終節は(公平性の観点から)全試合同日同時刻に置くことを原則にしていますが、同じ週に(Jクラブが参加する)AFCのティア2の大会が水・木で分散される事となります。そうなると土曜日に試合ができず日曜日に開催しなくてはいけません。逆に日曜日に置いた場合は翌週にAFC最上位の大会であるティア1の大会(ACL)が入っていますので開催できません。
後ろ倒しにした場合は、同じように同じ週にティア2の大会挟まれるので土曜日に置けず日曜日に置く事になります。ただそうなると今度はクラブワールドカップが後ろに待っている可能性があるので、日曜日に試合をしたチームが11日に試合がある可能性があるので非常に難しい局面に陥っている可能性があります。逆に最終節を前倒しした場合は、11月でシーズンを終えるクラブや、IWで日程分断される前にシーズンを終わりにするとサッカーができるシーズンがどんどん短くなっていきます。まだAFCやFIFAのカレンダーが固まっていないのでこの日程を考えているわけではなりませんが、こういう難しい局面が想定されます。

最後の3か月を表しています。現在の10~12月のスケジュールになります。


何が起きているかと言うと、最終節は12月第1週に仮に置くと、10月にIWで分断されます。また11月もIWで分断されます。さらにACLのグループステージが火・水・木に入っていくので、リーグ戦の最終盤に非常にインテンシティが高くお客様が盛り上がる中で、多くの試合をやる事になります。

シーズン移行した場合、6月の頭に置くとすると、IWが3月で終わることになりますので、4~5月の国内でスケジュールが組みやすくなります。当然ACLもノックアウトステージがありますが限られた範囲での試合となります。ティア1の大会のQF以上はセントラル開催になりますので、2試合は飛ばすことになりますが今のシーズンに比べると終盤はJリーグの強化の観点や、毎週試合がある観点やお客様の盛り上がりの観点から言えば、日程を組みやすくなるのかなと思います。

過去の事例で言えば10月あるクラブはルヴァンカップも勝ってACLも勝って月に7試合あるクラブがある一方で、両方とも負けているクラブは月に2試合しかないクラブがあります。リーグの強度が非常に高い中で一か月に2試合しかできない環境がお客様・選手の観点から見てもなかなか難しいという現状となっています。

最後の情報については参考のご紹介となりますが、本日の議論や先週の実行委員会での議論を説明させていただきました。

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