Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~

【ニュース】「外部環境の変化がある中で、最適なカレンダーは何なのか、抜本的に議論していきたい(Jリーグ・樋口氏)」

4月25日、Jリーグの2023年度第4回の理事会が行われ、理事会後記者会見が行われた。

今回の記者会見では、シーズン移行の検討についてJリーグ・樋口順也フットボール本部長が説明を行った。

※内容が重複している個所は省いております。

○樋口順也フットボール本部長
本日、シーズン移行の議論は非常に複雑で様々な細かい情報があります。ここで一度に説明してしまうと時間が足らなくなるので、初期的な情報をお伝えさせていただきたいと思います。

1.なぜシーズン移行の検討をするのか。
2.移行した場合、どういったシーズンをイメージしているのか。
3.どのように検討していくのか。

この3点について、ご説明させていただきます。

1なぜシーズン移行の検討を今行うのか。
外部環境の変化をきっかけに、日本のサッカーにおいて最適なカレンダーを考えるタイミングだと思っています。

外部環境について説明させていただきます。

Jリーグ配布資料より

ご存じの通り、ACLがシーズン移行しています。ACLがシーズン移行しましたので、Jリーグにとっては2シーズンにまたがる大会になってしまっています。
具体的にはグループステージは2023シーズンのチームで戦うことになりますが、ラウンド16以降は2024シーズンの新しいチーム編成で戦う事となります。そしてこれが今後もずっと続いていく事になってしまいます。

この他にもまたクラブワールドカップが4年に1回32チームの大会となります。この出場権は過去4年間のACL王者が出場しますので、クラブワールドカップに出場するためにはACLで優勝する必要があります。また現行のクラブワールドカップと似た大陸王者によるトーナメントも毎年開催されます。

またACLは24~25シーズン大会から構造が変化します。ACLとAFCカップという2構造だったものが3構造の大会となり、一番上のACLの出場クラブは40から24クラブに絞られます。
Jクラブはこのままいくと3クラブがティア1の大会に出場、1クラブがティア2の24クラブの大会に出場します。おそらくACLが24クラブに絞られ賞金も多くの金額になることが予想されていまして、こういった大会でしっかり勝ち抜いていく事が、Jリーグが掲げている2つの成長テーマである、ナショナルコンテンツやグローバルコンテンツを作り上げる1つのきっかけになると考えています。

また別のレイヤーですが、インターナショナルウィンドゥが、現状で3月、6月、9月、10月、11月で代表活動が優先されています。26年から9-10月の期間が統合されて4試合行うことができるようになります。Jリーグの現行日程では、優勝争いや残留争いなどが盛り上がる中1週末だったのが2週末中断することになりますので、これも大きな観点になります。

外部環境の変化がある中で、最適なカレンダーは何なのか、抜本的に議論していきたいと思っています。

Jリーグ配布資料より

・プレーする選手やスタッフにとっての最適
・応援しているファン・サポーターにとっての最適
・ご支援いただくスポンサー・パートナー、自治体、メディアといったステークホルダーにとっての最適
・クラブ経営にとっての最適

様々な視点があって全部違った目線になると思いますが、最終的にどういうカレンダーが日本サッカーの発展にもっとも良いのか、こういった観点から議論していきたいと思っています。

では、具体的にこれからシーズン移行を検討するにあたって、今どういったカレンダ―を考えているのか、初期の案をご説明させていただきます。
まだ素案なので、これから変更になる可能性もあります。

開幕は7月最終週もしくは8月の1週目を想定しています。シーズンの閉幕は5月の最終週もしくは6月1週を想定しています。
冬の期間ですが、12月の3週~4週ごろまで試合を開催し、そこから1月はウインターブレイクを取って、2月の1週目~2週目から試合を行う事となります。

Jリーグ配布資料より

それぞれの開幕と閉幕を比較したものです。

上が従来の開幕で下がシーズン移行した場合です。

シーズン移行と言うと、秋春制みたいな言葉があってサッカーをやるシーズンが全く変わるイメージがあるかもしれませんが、実際にサッカーをやるシーズンはそれほど変わらないと思っています。

今のシーズンだと12月1週目~2週目まで行っていたところを、移行した場合は12月3週目~4周目までやるので(今の日程から)1~2週間伸びます。1月は(ウインターブレイクで)やりません。1~2週前倒しして長くやると。その分6月と7月に休むというカレンダーになっています。

6月・7月を休むという点について、今お見せしているものはシンプルなものにしていますが、4年に1回ワールドカップがありますが、6月~7月に休んでいますし、もしクラブワールドカップが入ってきた場合は当然そのクラブはその期間に試合をすることになります。ですので今のシーズンでも6月は常に使えるわけではありません。またアジアカップが6月~7月にある場合は(昨今は1月にやることもありますが)リーグ戦を休むことになるので、今のカレンダーでも(6月~7月はリーグ戦で)十分に使えているわけではありません。

今度は現在のシーズンからの比較ですが、説明した内容は先ほどと変わりません。

Jリーグ配布資料より

こちらは移行した場合のシーズンからの比較となりますが、内容としては同じです。

Jリーグ配布資料より

サッカーがやるシーズンが抜本的に変わるというよりは、これまでよりも冬に1~2週長くやり、6月~7月はワールドカップがあろうがなかろうがシーズンオフになるというカレンダーが、これから議論していくための叩きのカレンダーになります。

今後の検討の進め方です。

Jリーグ配布資料より

2月にJFAの田嶋会長からJリーグの全クラブが出席している実行委員会にご参加いただき、シーズン移行の議論をしようとご提案をいただいています。
これから時間をかけて議論を始めていく段階ですので、現時点で賛成か反対かというような議論を行っている状況ではありません。

ますそれぞれのクラブ、様々なステークホルダー、メディアの皆様なども情報が断片的になっていると思いますので、今後判断をしていく上でどんな情報が必要なのか。

例えば『フットボール視点でシーズン移行した場合にフットボールが良くなると』いう話があったとすれば、何がどういうふうに良くなって、ファン・サポーターにとってはどういうメリットがあって、どう発展していくのか、これをしっかり可視化していきたいと思います。どういう項目が必要なのか洗い出しを5月くらいのタイミングで行っています。

その後、5~7月に必要な情報をしっかり集めた上で、どちらがいいのかという議論を7月~9月くらいまでにさせていただき、最終的な結論は2023年以内に出したいと思っています。

ですのでシーズン移行するとどういうメリットがあって、それを実施するためにはどういった懸念事項があって、その中には解決できるもの・できないものとして何があるのか。そしてお金やどういったものが解決できるのか、しっかりと明確化しながら時間をかけて議論していきたいと思います。
現時点で移行する場合の最速のタイミングを26~27シーズンと仮置きしています。
結論を出すのは23年内ですので24シーズンが目の前に迫っている状態です。24シーズンはいずれにせよ従来のシーズンのままやります。
移行する場合は、25シーズンを従来通り1年間やって、26年の前半を0.5シーズンとして何か違う大会を行う選択肢もあります。または25シーズンと26シーズンの前半を合体して1.5シーズンをかけて大会をやる可能性もあります。移行する場合はどういう大会が良くて、それがファン・サポーターの皆さんに楽しんでいただくのか、そういった観点も並行して考えていきたいと考えていきたいと思っています。

繰り返しになりますが、現時点で賛否を問うわけではなく、どういうふうに議論をしていくべきかどういう情報が必要なのか、クラブやステークホルダーの皆様と進めさせていただいていますので、ぜひメディアの皆様にも様々な観点からアドバイスをいただきながら議論していければと思います。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ