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【ニュース】JリーグとNPB合同の新型コロナウイルス対策連絡会議を開催。「(インフルエンザとの同時流行で)検査や治療を受ける時間が遅くなるのではないかということで、各チームでどういうふうに対応していくのか具体的に考えておく必要があるとお話させていただきました(賀来座長)」

10月17日(月)、JリーグとNPB合同の「第65回 新型コロナウイルス対策連絡会議」が行われ、会議後にWEB上で記者会見が行われた。

会見には感染症専門家の賀来満夫 座長(東北医科薬科大学医学部感染症学教室特任教授、東北大学名誉教授)、三鴨廣繁 氏(愛知医科大学大学院医学研究科臨床感染症学教授)、舘田一博 氏(東邦大学医学部微生物・感染症学講座教授)とNPB(日本プロ野球組織)斉藤惇コミッショナー、野々村芳和Jリーグ チェアマンが出席した。

会見での出席者のコメントをお届けしています。


○NPB(日本プロ野球組織)斉藤惇コミッショナー
秋になりまして、野球もサッカーもシーズンの終わりの方を迎えています。熱戦が続いていてお客様にもたくさん入っていただいております。
昨年のCS(クライマックスシリーズ)や日本シリーズでは2万人の制限を受けておりまして、見たいファンがいるのに見れない状況でしたが、今年は特にCSは平均で3万3千人くらい入り、立ち見の方もいらっしゃる中でもコロナの罹患者が出たという話は聞いておりません。今回の会議も3年目で通算65回となりましたが、おかげさまで今年も終わることができそうです。
今日の話題としては、後で話もあると思いますがインフルエンザとの同時流行を懸念していて、その対策がかなり話題になりました。また先生方からも話を承りたいと思います。
やる事としては、ワクチンを打って、手を洗って、マスクをする、あるいは換気をする。こういった対策しかないと思います。政府が緩和しようが規制しようが、それ以外には何かあるわけではないので、選手や球団にもしっかりやっていただくようにお願いしていこうと思っています。


○野々村芳和チェアマン
サッカーでは昨日、天皇杯の決勝が行われ3万8千人の来場者がありました。これまで3年間で積み上げてきたものも含めて、声出し応援のいい雰囲気も含めていい作品ができたのではないかと思います。今週末にはルヴァンカップの決勝もありますし、リーグ戦はJ1からJ3までで1試合~5試合を残していて、注目度の高い試合がこれから続きます。コロナ対策という側面から見ると、ここまで3年間で培ってきたものをしっかりと出せるように、かつスタジアムがいい作品になるようにやっていきたいですし、スポーツの価値をしっかりと表現できるようなゲームがたくさんできるようにしていきたいです。

あとは、今コミッショナーからもコメントがありましたが、この冬をどうやって乗り越えるのか。インフルエンザとコロナの同時流行も懸念されますし、サッカーの場合はシーズンオフの期間に当たりますが、そこの対策は各クラブと入念にやっていかないといけないなと思います」

○賀来満夫 座長(東北医科薬科大学医学部感染症学教室特任教授、東北大学名誉教授)
今日は私の方から世界と日本の感染状況について説明させていただきました。日本では先々週から先週を比べると若干増えている傾向があります。またヨーロッパではドイツ、フランス、イタリアで感染者が増えています。場面によっては再びマスクを着けていくような事が必要ではないかという事が、特にドイツではそういう動きが出てきていることを説明させていただきました。
今後はこの秋冬から来年にかけて、コロナに対してどんな事に対して注意しなくてはいけないのか3点お伝えしました。
1つは変異株です。これまでにもデルタ株からオミクロン株に変わって感染が流行しましたので、今後注意しなくてはいけない変異株について少しご説明させていただきました。
また、私たちが経験してこなかった新型コロナウイルスですので、免疫が無い中でワクチンによって免疫を付けていく事と、あとはマスクの着用や手洗いや換気といった感染対策を、両立させていく事が望まれるという事をお伝えしました。
最後に、今懸念されていますが、今年の夏に南半球でインフルエンザの感染流行が起こっています。これから海外からもいろいろな方がお越しになりますし、日本で感染するリスクが高まっています。そして一方で国立感染研究所の調べによると、過去2年間ほどインフルエンザの流行が無かったので、インフルエンザに対する免疫が落ちていることもあって、第8波とインフルエンザの同時流行が起こる可能性が高いと。
その際は、健康な方は自宅で抗原検査で陽性か陰性の判断をするわけですが、やはりインフルエンザが疑われる時にどこでどう検査するのかについて、検査や治療を受ける時間が遅くなるのではないかということで、各チームでどういうふうに対応していくのか具体的に考えておく必要があるとお話させていただきました。

○三鴨廣繁 氏(愛知医科大学大学院医学研究科臨床感染症学教授)
「私の方からは、感染者数が増えつつありますが、日本政府の緩和の方針は変わらないだろうと。それは新しい変異株が出てきて流行しても、基本的には日本政府としていわゆる行動規制を起こすようなことはしないことが原則になっています。そういった中で、NPBやJリーグがどのようにしていったらいいのかということですが、基本的に私はこれまでの積み重ねがあるので、たとえ新しい変異株が出てきても、これまでの対応を特に変える必要はないということを強調させていただきました。

そんな中で、やはり対応の1つはワクチンと基本的な感染対策の実施並びに励行だと思います。
特にワクチンに関しては、最近、ご存じの通り旅行支援も始まりましたが、原則として3回ワクチン接種を受けている事ということで、現在日本では3回目ワクチンまで受けている人は60%あまりですが、こういった旅行支援のおかげでおそらく割合が上がるんじゃないかと思っています。そういった中で既に4回目の接種が視野に入っていると思いますが、4回目の接種については、例えば私の周りの方では、『4回目はもう受けないよ』という方が6割近くおります。そういう中でNPBやJリーグの方々は、来シーズン以降も興行をしっかりやっていく上でワクチンが1つキーになるだろうと。打てるワクチンを速やかに打つことがよかろうという事が先ほどの会議の中でも出ました。またインフルエンザの対応も同じですが、インフルエンザワクチンに関しては、従来から国民の意識が高くて、コロナのワクチン接種の4回目は受けないという方でもインフルエンザワクチンは受けるという方も多いので、おそらくNPB・Jリーグでもインフルエンザワクチンの接種は確実に行われると聞いています。
その一方で、マスク問題というのがあります。マスコミの中には『マスクはいつ外せるんだ。いつまでするんだ』という声がありますが、基本的な対策としてマスクの有効性を否定する方はおりません。例えば来シーズン以降もスタジアム野球場に足を運んでいただく方には、原則マスク着用をお願いする方向が望ましいのではないかと私からは申し上げました」

○舘田一博 氏(東邦大学医学部微生物・感染症学講座教授)
「今日の会議の中で一番大きな話題はインフルエンザとの同時流行のリスクが高まっている中で、それに対してどう備えていくのかが重要な問題だと思いました。政府としても最悪の事態を考えた視点、一日でコロナで45万人、インフルエンザで35万人、合わせて75万人発熱患者さんが出た場合を想定してどういう備えができるのか考えていかないといけません。サッカーもNPBもここまでこれだけ皆様方の協力によっていい方向に向かっている状況ですが、油断をしてしまうと爆発的な感染、そしてインフルエンザとの同時流行を経験してしまうと、また一千万人を超える感染者が出て、そして1万人を超える方が亡くなるリスクがあることをもう一度認識して今年を終わらなければいけないです。そして来年のシーンに向けて準備していく事が大事だと思っています。
その時に私たちが備えとしてできることは、インフルエンザワクチンをしっかり接種することと同時に、抗原検査キットが薬局で買えるようになっていますので、早め早めに備えておいて、何かあった時にそれを使って、そして同時流行に備える、そういった考え方が大事です。一般市民の方もそうですし、これはチームとしてもどういうふうに応用していくのかも考えていかなければいけないと議論されました」

~質疑応答~

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