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【ニュース】リプランニング推進サポートチーム発足について(1)「今このしんどい状況でも変えられることは変えていこうと、長期にわたって検討できることがあれば検討していこうと進めてきました(木村専務理事)」

4月6日、Jリーグの臨時実行委員会が行われ、その後WEB上で記者会見が行われた。

会見では、4月1日付で発足したJリーグの長期ビジョンについてのリプランニング推進サポートチームについて、担当役員である木村正明専務理事から説明があった。

※会見中聞き取りにくい部分は、一部修正・補足しておりますので、あらかじめご了承ください。


○木村正明専務理事

「現在新型コロナウイルスの影響で大きなダメージを負っている中で、一昨年策定した、2030年ビジョンと中期計画の2022ビジョンついて凍結しています。

昨年11月くらいから一旦凍結したビジョンの見直しを開始しました。私と組織開発本部長の青影が中心になって、2022年末の中期計画の数字の見直しや2030ビジョンの見直しを社内でしてきました。あるいはフットボール本部、シャレン本部、ToCなど、それぞれの領域で見直しを進めてきました。結果としては、もう一度作り直しても2030年のビジョンについては変更がありませんでした。1点だけ変更があったのは、スタジアムに来るだけが楽しみ方ではないという考え方も大事になっています。コロナ禍がいつまで続くのかという恐怖感もありますが、リーグのなりたい状態として『場所を選ばない視聴体験』も大事だと入れ込みました。一つ言えることは、2030ビジョンになりたい状態を考えた時に、コロナ禍によって到達への困難さが増すことが間違いありません。よって今このしんどい状況でも変えられることは変えていこうと、長期にわたって検討できることがあれば検討していこうと進めてきました。

これまで、各月の実行委員会でもこの話をずっとしてきています。今回新たにリプランニングチームという事で組織の名称を変えただけなのですが、いい機会なので今回説明させていただきます。

主体となるものの考え方は3つあると思います。Jリーグのみなのか、Jリーグとクラブで達成するビジョンなのか、クラブのみなのか、この3つです。
クラブはそれぞれにビジョンや計画を持っていますし当然それは尊重すべきです。Jリーグのオーナーはクラブですし、我々がクラブの社長の人事権を持っているわけではないので、クラブで作られる計画は当然尊重していきます。その中で我々がテーマにしたいのは、リーグとクラブで達成すること、場合によってはリーグのみで考えること、そのあたりが中心となってきます。

コロナ前のJリーグのビジョンのイメージ図

打ち手として、まずその前に既存の各主要領域について、これはJリーグ25周年の時に経営の領域を改めてセットし直しました。社会連携、フットボール、人気(toC、ファンづくり)、事業強化、経営基盤、それぞれの主要領域があります。これについてまず頑張っていきたいと思っています。例えばフットボールにおいては、若年層をどう伸ばしていくのかという事が大事ですから、プロジェクトDNAということで原副理事長と黒田フットボール本部を中心にスキームを作って、現在クラブとサイクルを回し始めている段階です。

Jリーグの育成ビジョン「ProjectDNA」

現在の主要領域以外で何か打ち手がないかということで、この13の打ち手が出てきて、過去3カ月クラブと話をしてきました。

白、グレー、黒と3つの色分けています。
まず白に関しては、選択と集中の意識決定が必要だが、実現可能性を模索したいものです。今後、実現に向けて検討していくものになります。実現するかどうかは決まっていません。

グレーが、思想レベルの意識転換が必要で、前提となる研究分析を継続するものです。今までしてこなかったのは理由がはっきりして、もしこれを進めるのであれば検討するか否かを検討するフェーズです。
そして黒は事実上困難なものです。

少し説明を加えると、1番目は視聴拡大に向けた体制強化です。
これはスタジアムに来ることが困難になっている状況の中、コロナ禍でスタジアムに来ることが困難になってくる中で、家やあるいは移動中に多くの人に見てもらいたいということで、視聴拡大のための体制をどう強化できるか。これは主にリーグでのみ話していることです。
2番目は、クラブもそうですがリーグもコロナ対策本部ができてコロナに対峙するために、人材のリソースの最適化が非常に難しくなっていますし、私自身もアップアップになっている状況です。今後を考えると組織として何を優先すべきかを考えながら、リーグ内の組織体制について検討していくことになります。これもリーグのみでの話になります。

3番目は、見直し後のtoC戦略の確実な実行です。(伝える中身・伝える方法)です。
思い起こすと、J1の平均入場者数が2017年に1万8千人、2018年に1万9千人、2019年に20,000人と1年ずつ1000人平均で増えてきていました。これはクラブと同じ目線に立ってリーグとしていわゆるtoC戦略を歩んできましたが、これがコロナ禍によって非常に厳しい状況となっています。
ただ、やってきたことは正しくて、リーグとクラブが一緒に実際の人気施策を行ってきた経験値があります。J2も2019年末で平均7400人で世界第5位の数字です。平均9000人になると世界第3位となります。そういった成功体験が少しできたので、もう一回toC戦略をクラブと一緒にもう一度やっていきたいと考えています。
取材現場でご迷惑をおかけしているかもしれませんが、選手や監督の協力も不可欠になります。ピッチが一番大事になりますが、ピッチ以外のノンライブの魅力も伝えていく必要があると思うので、ノンライブコンテンツを頑張っていきたいと考えています」

(2)へ続く

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