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【ニュース】Jリーグの2020年度決算は33.5億円の黒字も、20年の緊急避難的なコスト削減(約40億円)によって、一時的な黒字が出ただけ。今後も継続するコロナ禍の悪影響に備えて、クラブ支援やコロナ禍により発生する追加経費、最低限のリーグ規模の維持などに充当される見込み。

3月8日、第1回社員総会後と第3回実行委員会が開かれ、終了後会見が行われた。

社員総会で承認されたJリーグの2020年度決算について、組織開発本部の青影氏が説明を行った。


○Jリーグ経営本部 青影宜典氏
「私の方からは、2020年公益社団法人日本プロサッカーリーグの決算についてご説明させていただきます。
まず決算の内容に入る前に、昨年12月に予算策定の際に説明させていただいた資料を少しおさらいとしてご覧いただきます。

予算を策定して皆様にご説明する際に、2020年は30億程度の黒字となる見通しですと。これは一時的な黒字で翌年以降の赤字予算に相殺されるとお伝えしました。20年の黒字を前提として、ほぼ30億円以上の黒字の見通しが立っていましたので、こちらをベースに21年以降どう過ごしていくべきか。クラブの支援やリーグ運営費の緊縮継続であったり、その中でもリーグ価値の維持・向上していくためにはどういった予算措置がいいのか。そういったことを前提に、2021年の予算を策定させていただきました。

その予算が結果的にどうなったのか皆さんにお伝えしたいことです。

Jリーグ公式サイトより

結果的には、当期一般正味財産増減額、一般事業会社の利益にあたりますが、今回2020年度決算では33億5800万円の黒字を計上することができました。この数字を計上することによってに、正味財産期末残高(一般法人の純資産)は、2020年度末の純資産は62億5800万円で着地しています。こちらの内容について本日の社員総会でお諮りしてご承認いただきました。

内容については、もう少しかみ砕いて説明させていただきます。

こちらは、予算対比で見た時の決算についてコンパクトにまとめたものです。


当初は12億赤字予算を計上していました。これはDAZNとの契約に応じた増減もありますが、経常収益の増加にともない経常費用も増やして攻めに転じる年でしたが、新型コロナウイルスの発生があり、事業活動の大規模な縮小がありました。

これは昨年のGWから6月、7月にかけて、クラブの皆様、それからJリーグの理事会の皆様と協議して上で決定させていただきました。
この当時は試合再開もできておらず、果たして2020年度中にどれだけの公式試合が実施できるのか不透明な状態でした。よってリーグとしては、リーグ経営においてリスクヘッジのために、まずはコスト削減を実施し、リスク削減を超える収入の減少があった場合は経営危機に陥るので、それを担保するために金融機関とコミットラインと締結して、いつでも200億円の借り入れができるように、リスク対応を行ってきました。

結果的にその後、試合えお再開することができ、またスポンサー様や様々なステークホルダーの皆様のご理解とご協力がありまして、最終的には試合もほぼ100%に近い公式試合を実施することができましたし、結果的に収益自体は当初の予算を上回る形で着地することができました。これは個別のスポンサー様からの追加支援もありましたし、スポーツ庁やJSC(日本スポーツ振興センター)様から様々な団体から助成をいただいたた結果です。リスクヘッジする形で先行する形で先行して費用を削減しましたが、結果的に皆様やクラブの努力によって収益を維持することができ、黒字を達成できたのが、今シーズンでした。
ただこの黒字は決して読み違えてほしくないのは、ビジネス上我々が努力してお客様をたくさん呼び込むことができて大幅な黒字を達成できたわけではありません。

ですので、今回の決算において、私たちが一番お伝えしたい内容は以下の通りです。

当該黒字(経常増減)は20年の緊急避難的なコスト削減(約40億円)によって、一時的な黒字が出ただけであって、21年以降も継続するコロナ禍の悪影響に備えて、クラブ支援やコロナ禍により発生する追加経費、最低限のリーグ規模の維持などに充当される見込みである。

これが皆さんにお伝えしたい内容です。
昨年の12月にお伝えした通り、クラブへの支援、コロナ対策、リーグ価値の維持向上、そういった施策に合わせて、2021年の予算上は17.8億円の赤字が見込まれています。この数字は2022年もコロナ禍が継続していれば、同様の赤字予算が計上される見込みで、この黒字はほぼ2年間で消費される見込みが前提としてあります。

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