Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~

「もちろん安定経営してほしいですが、そうすると勝つ可能性が低くなっていく、その難しさが存在していると思っています。(木村専務理事)」~2021シーズンに関するJリーグクラブライセンス判定結果発表および説明会(5)~

2020年9月28日、2021シーズンに関するJリーグクラブライセンス判定結果発表および説明会が開催された。

会見にはJリーグ木村正明専務理事とクラブライセンス事務局の村山勉クラブライセンスマネージャーが出席し、村山氏が説明を行った。
前回に引き続き、質疑応答部分についてお届けしています。

(4)はこちら

Q:今回、鳥栖が是正通達の対象クラブと1クラブだけなりましたが2期連続赤字のクラブは他にも6クラブあります。鳥栖に比べると他の6クラブは経営改善の道筋が見えているので、鳥栖だけが是正通達となっているのでしょうか?

※村山氏が回答
「財務に対する特記事項は17クラブございます。コロナの影響で大きな赤字を見込んでいるクラブもこの中にあります。そういった意味では、我々が注視していかなければいけないレベルが高いのが鳥栖、その次のレベルとして特記事項が付いている17クラブとなります。こちらについてもJリーグが予算進捗や編成等について随時ヒアリングを行っていくことになっています。こちらについてもしっかりウォッチしていく必要があると思っていますが、もう一つ上の形でモニタリングしていく必要があるのが鳥栖であるという捉え方をしていただければと思います」

Q:実は去年鳥栖は20億円の赤字でしたが、その前の年にも大きな赤字を出しています。たぶんその頃にも詳しくヒアリングなさっていたと思います。ヒアリングして何とか他のクラブでもそういった事態を防げないかと思うのですが、その点についてどうお考えですか?

※村山氏が回答
「先ほど木村専務理事からも話がありましたが、クラブが収入と支出の見込みを睨みながら、強化費にどれだけお金を入れていけるのかやっています。収入の見通しが思ったようにいかないということで、特にスポンサー収入のところが思ったようにいかない所が、今までの赤字の原因だと思っています。今回のコロナの影響で、さらにそこが難しくなっている現状が各クラブにあるので、来季の予算についてどういうふうに策定していくのかをしっかりコミュニケーションを取りなさいと言うのが、是正通達だと思っています」

Q:5月のブリーフィングの時に伺った際に、Jリーグの村山さんは『赤字自体は悪いことではない。債務超過を回避しているという認識でいた』ということでした。昨年は是正通達が出ていない中で今回是正通達が出たという事は、Jリーグとしてもこれまでの経営手法が問題なのではなく、あくまでもコロナの影響という認識が強いのか、それともJリーグとFIBの認識にズレがあるのか、お答えいただけますでしょうか?

※村山氏が回答

「(5月の)経営情報開示の時に申し上げたのは、赤字=悪い事ではないと申し上げたと思います。では、赤字が全ていいのかとそういうことでもありません。計画的にある程度資本を持ちながら赤字を出したとしても経営が揺るがない赤字もあれば、そうではない赤字もあると思っています。経営情報開示の時に申し上げたのは、20億の赤字ではあるけど、一旦クラブとして増資をしていて、その増資に関しても我々としっかりコミュニケーションを取っていたので、純資産がプラスになって債務超過ではないという状況です。

今年については、鳥栖以外にももしかするといわゆる債務超過になってくるクラブが出てくるかもしれません。こちらはすでに理事会でお認めいただいていますが、決算の時期は各クラブでことなりますが、今シーズンが終わった際の決算で債務超過になったクラブには、この特例措置を持ってクラブライセンスを交付しようとすでにJリーグの理事会で決めています。そういう意味では、今年コロナの影響を大きく受けている可能性があるという事になると思います。
予算の立て方、費用の組み方について少し甘さがあったのか、無かったのかについて、この辺については少し伺わなくてはいけないのかなと思います。

(残り 1674文字/全文: 3280文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ