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【ニュース】第4回新型コロナウイルス対策連絡会議を開催。「現段階では早期に開催することは非常に難しいんじゃないかと申し上げました。できるだけ開催を遅らせていただきたいとご意見を申し上げました(賀来座長)」

3月23日、都内にて第4回「新型コロナウイルス対策連絡会議」が行われた。その後記者会見が行われ、3人の感染症専門家とNPB(日本プロ野球組織)斉藤惇コミッショナー、村井満Jリーグ チェアマンが出席した。再開に向けて、Jリーグでは今回の会議の内容を受けて25日に行われる実行委員会で意思決定を行うとしています。

本日の会議の議長を務めた村井満Jリーグチェアマンと3人の専門家の会議終了後のコメントをお届けしています。
※重複箇所や表現等など、わかりやく修正している部分などがあります。


○村井満Jリーグチェアマン
「19日に政府の専門家会議があり、新型コロナウイルスの現状と提言が出され、翌日安倍首相からもコメントが出されていました。『全国規模のイベントについては引き続き慎重に』というコメントもありましたが、今回は3人の専門家の先生から各論でご助言やアドバイスをいただきました。予断を許さない状況が続いているわけですけど、新たに海外からの帰国者や来日者が一つのリスクになっている一方で、地域によってはある程度小康状態を保っている。リスクと改善両面あることを話としていただきました。いずれにしても今後、野球界とサッカー界が個々で検討していかないといけないという気持ちを新たにしています」


○賀来満夫 座長(東北医科薬科大学医学部感染症学教室特任教授、東北大学名誉教授)

「あとで2人の先生からもコメントをいただきますが、専門家として現状をどのように考えているのかご説明させていただきました。
前回の会議では、新型コロナウイルス対策の提言を出させていただきましたが、3月19日に国の専門家会議の中から新型コロナウイルスの状況分析・提言がまとめられました。

新型コロナウイルス感染症対策専門家会議「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(2020年3月19日)

その中にもありますように、現在ヨーロッパを中心にパンデミックしているとWHOが宣言をしましたが、ヨーロッパ―を中心にオーバーシュートしている現状です。これはアメリカや中東を含めてで、現実にロックダウンと呼ばれる『封じ込め』と呼ばれる措置が取られる状況となっています。

日本は幸いなことに、どうにか抑え込んでいる状況は間違いありませんが、第1波から現在は第2波が来ていて、海外の帰国者の方々から新型コロナウイルスの患者さんが出てきています。またクラスター以外にも、リンクを追えない感染者が出てきている現状があります。国の専門家会議でも言っていますが、クラスターが続いて各地へ感染が波及しますとメガクラスターとなっていく恐れがあります。それは絶対避けなくてはいけない。これが一つのポイントだと説明させていただきました。政府の専門家会議の提言の16ページにも出ていますが、多くの人が一同に集まること自体が感染リスクのあることで、それが地域の医療体制に大きな影響を与える可能性がある。屋外であっても屋内であってもイベントの前後でも非常にリスクが高い可能性があります。ですからプロ野球もJリーグも全国から人々が集まりますから、非常にリスクが高いんじゃないかと申し上げました。そういったことから、現段階では早期に開催することは非常に難しいんじゃないかと申し上げました。できるだけ開催を遅らせていただきたいとご意見を申し上げました。もちろんこれは感染症対策のリスク管理も合わせてですけど、全ての社会でゼロリスクはないわけです。今後開催にあたってこれまで以上の十分な注意そして対応、そういったものをしっかりとっていただいた上で、ご判断をいただきたいと申し上げました」


○三鴨廣繁 氏(愛知医科大学大学院医学研究科臨床感染症学教授)
「大筋は賀来先生がおっしゃったとおりです。今回は各論の部分でいろいろとご質問をいただきました。そんな中で前回出させていただいた我々の提言の中でもし第2版を出すのであれば、その中に観客のリスクとして、いわゆる海外渡航者とか、高齢者とか、基礎疾患を複数持つ方はリスクが高い。それから喫煙者はリスクが高い。こういったリスクについて明記させていただいて、各チーム野球団で参考にしていただき、考慮していくこともリスクに減らすことにつながらないかと提言させていただきました。

基本的に現状については、今持ちこたえている段階ですけど、これが大規模イベントの再開によって、またピークが来るかもしれない、そういったリスクや可能性は捨てきれません。

こういった話をするとおそらく皆さんは『医学の専門家に相談すれば、そんなの延期と言うに決まっているだろう』という意見や風潮があることもあることも承知しています。我々は決して延期ありきという事を考えているわけではありません。どうすればより安全にできるのか、どうしたらリスクを極端に減らすことができるのか、そういった立場で提言させていただいています。なんでも延期という事を申し上げているのではなくて、Jリーグの再開やプロ野球の開幕を前提として我々は意見を申し上げています。

各論の中では、実際にチーム内で新型コロナウイルスの陽性や感染者が出た場合の対応はどうするのかという質問をいただきました。各チームが所属する行政や自治体の首長に報告をしていかないと、なかなかコンセンサスが得られないだろうと、先ほど意見させていただきました。

再開については、政府の専門家会議会議の提言の17ページにある①~③

①人が集まる場の前後も含めた適切な感染予防対策の実施
②閉空間・密集場所・密接場面などクラスター(集団)感染発生リスクが高い状況の回避
③感染が発生した場合の参加者への確実な連絡と行政機関による調査への協力

こういったことを前提にして、Jリーグの再開やプロ野球の開幕をぜひしていただきたい。そのために、我々も努力を惜しまないという話をさせていただきました」


○舘田一博 氏(東邦大学医学部微生物・感染症学講座教授)※政府の専門家会議の委員も務める

「3月12日にこの会に置いて提言を出させていただきました、感染のリスクは密集・密閉・密接、この3つのリスクが重なった場合起きやすい。これをいかに減らしていくために提言を出させていただきました。いくつかの点で変化が出ています。それは日本国内からの感染の持ち込み例が増えています。ここはプロ野球やJリーグでも海外旅行へ行っていた人には少し注意していただく教育・啓蒙をしていかなくてはいかないです。

もう一つは、試合をスタート(再開)する際に、地域の行政との連携が大事になります。今までも行っていたと思いますが、運営が上手くいくように行政との連携を進めていくことが確認されました。

最後、最も基本的で最も大切なことは、一般の市民の方たち、観客の皆さんとの連携です。行動変容。一人一人がリスクを減らすような努力を行うことが重要です。熱が出ていたり体調が悪い時には観戦を避けることはもちろんですが、観戦に来た時には咳エチケットや手指衛生―だいぶ広がってきているとは思いますが―それが当たり前にみんなが行って感染を広げないという工夫をしていくこと。しかもそれは試合を見に来ている時だけでなくて、試合の前後の時間に集まった時にも同じように感染を広げないようにやる。そういった行動変容が必要だと確認されています。

これからどうなるかわからない中、我々が見ている感染状況は2週間前に感染した人の数を見ているとよく言われます。そういう意味では2週間後に今の状況がわかることとなります。

その中で一つ大事な要素として、天気、気温、湿度の状況も関わってきます。4月になって気温が高くなってくると、コロナウイルスの伝播力が少し下がると知られています。ゼロにはならないけれど、感染のリスクは少し下がってくる。そんな中でプロ野球やJリーグがどのような形でスタートできるのか考えていかないといけない」

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