Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~

「VARを来年度からJ1で導入することを視野に入れた議論をしています(Jリーグ・村井チェアマン)」~2019年第7回理事会後の記者会見より(2)~

7月30日、JFAハウスにて2019年7回目のJリーグの理事会が行われ、理事会後に記者会見が行われた。

今回から数回に分けて、理事会での会見の様子をお届けします。

(1)はこちら

○村井満Jリーグチェアマン
Q:鹿島の件で、詳細は後の会見でということでしたが、これでいくつかのIT企業が参入してきました。ヨーロッパではクラブが売買されて人気の一つのバロメーターになっていると思います。鹿島というトップクラブが―買収という言い方が正しいのかわかりませんが―新しい企業がJクラブを持ちたいと思っている現状について、チェアマンはどう思っているのか教えてください。
「詳細については直接ご確認いただければと思います。私の立場からまず、Jリーグは何も無いところからジーコさんを招聘して、サッカー専用の鹿島スタジアムを建設して、20を超えるタイトルを取ってきました。その礎を支えてくださったのが住友金属様、新日鉄住金様、日本製鉄様です。これまでの感謝の気持ちが大きいです。サッカーを取り巻く環境やコミュニケーション環境がずいぶん変わってきました。ご存じの通り1,000試合を超えるDAZNで配信され、動画はインターネットで瞬く間で拡散され、選手たちもSNSを通じて関与して、チケットのセールスから物販までインターネットを介して行われます。そういう意味では、サッカーやスポーツがテクノロジーのおかげで身近になってきた歴史でもあります。

今後、鹿島アントラーズがより発展していく時に、ある意味で日本製鉄様はBtoBの会社ですが、直接カスタマーと接点を持っているBtoCの会社の知見はクラブの成長にとっても可能性になるなと思っています。BtoCという手法がいわゆるインターネットテクノロジーを介したものであることが、クラブの成長にとっては大きな要素かなと思います。一番大事なのは、地域密着の理念を掲げて成長してきたクラブです。決してホームタウンの人口が多いわけでもない中で、パートナー企業が懸命な努力でここまで成長してきたわけですから、ホームタウンをとても大切にしていく。今回株式譲渡の前提として、ホームタウンを変更することはないということを前提としていて、地域を大切にしていき、そこを足場にしながら世界に飛躍していくようなクラブになっていってほしいなと思っています。おそらくそういった理念も含めて合意できている認識していているので、私としては歓迎している次第です」

Q:リーグ全体の価値についてはどう考えていますか?
「リーグ全体については、FC町田ゼルビアにサイバーエージェント様が、湘南ベルマーレににライザップ様がとか、続々と新興企業様からご縁をいただくようなことになりました。
ある意味で、政府が『スポーツを産業に』という15兆円規模のビジョンを掲げていますが、サッカーもそういった投資の対象になってきていると感じています。ただ所謂転売して売却価値を上げていくというよりは、共にJリーグの理念に共感・共鳴していただき、育てていただく、そういった投資の認識でいますので、Win-Winの関係が築けていると感じている、そういったリーグになりつつあるのかなと思います」

Q:先ほど、東京五輪の中断期間についての言及がありましたが、東京五輪中の中断について。ある程度方針を固めているということでいいのでしょうか?
「東京五輪の全体スケジュールが決まるのは今年度の11月になります。確定するのはその後になります。ただ、J1からJ3まで全ての大会を中断するという意思決定になりますので、11月に向けた協議を開始しているというステータスです。意思としては、JFA田嶋会長とも話していて、主要会場の問題もありますし、いろいろな角度から考えても、最強のチームが作れるようにすることが最善だと考えています」

Q:先日の審判ブリーフィングの中で、処置で続いていますが、審判委員長の小川さんから『VARの前倒しも考えていかないと』という言及もありました。審判委員会で決められることではありませんが、以前の会見で21年から前倒しの可能性はリーグの中であるのか。前倒しについての検討についてリーグの中であるのか、前倒しについての見解について教えてください。
「判定を巡る問題については、多くのサッカーファンやメディア関係者の皆さんの中で今後の対処についてご懸念があるかと思います。
VARが全てを解決する施策だとは認識していませんが、審判のレベルアップや審判間のコミュニケーションにおいて有効である可能性は否定できません。導入時期については前倒しができないか協議しています。この場で(導入は)21年からと申し上げましたが、FIFA定める手順では当初21年想定していましたが、現在VARのトレーニングが進んでいる状況ですので、場合によってはJ1は20年にできる可能性がございます。リーグ戦全てにするのか、カップ戦も含めるのか、比較検討していくのか。様々な詳細については詰めなくてはいけませんが、VARを来年度からJ1で導入することを視野に入れた議論を今日もしています」

【ニュース】一部試合でのVARの導入について「予算措置も含めて、リーグ戦についてはどういう形でやっていくのか見極める一年になる(村井チェアマン)」「(今季導入した試合での)VARの効果検証も同時に必要(Jリーグ・黒田氏)」

VARのトレーニングについて「将来導入する試合数を増やすとすれば、よりトレーニングしなければいけないので、40人以上のトレーニングを計画しています(Jリーグ・黒田氏)」2019年度第1回Jリーグ理事会後の会見より(3)

Q:東京五輪について。スタジアムがオリンピックのベニューとして使われますが、練習場などが会場として重なる可能性があります。組織委員会に要望などはありますか?
※黒田競技運営部長から補足
「特段こちらからの要望というよりは、組織委員会とは密に連絡を取りながら、関係するクラブも一緒に、リーグとクラブとスタジアム様、施設管理者の皆さんと1年以上前から密な連係を取ながらやっています」

(3)へ続く

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ