Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~

「シャレン(社会連携)が多くのNPO団体やボランティア、ソーシャルセクターと言われる方々と競合するものではなく、そういう方々にこそ使っていただきたい(Jリーグ・村井チェアマン)」~2019年第4回のJリーグの理事会より(4)~

Q:「Jリーグをつかおう!」というのは言葉としてもとても魅力があると思います。これはJリーグが進めていく事業の中の収益事業ですか。それとも収益を還元する事業なんでしょうか?
※米田理事が説明
「基本的には、社会連携の領域は地域のための活動と主眼を置いています。一番の目的はブランディングであり、社会貢献をしっかりとしていく理念の体現をする組織です。ただ、今これだけの価値があるのに、価値に気づいていなかったという企業のCSR部門の方にたくさんお会いしていて、何らかの形で一緒にやれないかというお声掛けをいただいています。目的ではないのですが、結果として収入がJリーグやJクラブに還元されるということは、狙っているというよりは、結果としてそうなるように価値を出していくということです」

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Q:ということは、(事業と還元どちらかというと)地元や社会への還元がメインになるということでしょうか?
※米田理事が説明
「リソースを持ち寄るというイメージだと思っています。Jリーグが持っているリソースを出します、他の方々が持っているリソースも出します。それによって地域に貢献します、ということが原則のスタイルです。ただ、その価値がどこから出てくるのか、我々の活動資金がどこから出てくるのかとか、その活動の価値がある中でいろいろな形で還元していく、集客も含めてですよね。還元のされ方がしっかりと全員がWinになるような設計していきます。何も犠牲的精神で我々が全部出し続けるという活動にならない予定です。ですので、活動のフォーマットをある程度決めさせていただいていて、それぞれがハッピーになる状態を作ろうとしています」

Q:「Jリーグを使おう」というネーミングは誰が付けたかわかりませんが、すごく良いネーミングだと思います。実際ちょっともったいないなと思います。あんまり広まっていないと思うので、もっと宣伝した方がいいと思います。今後、企業や各地域から話をいただいているということですが、僕はイメージ的にあまりJリーグで使おうで何かをやりましたというのがよくわかりません。僕だけかもしれませんが、これがこれなんだというのが少しわかりにくいのですが。
※米田理事が説明
「たくさん(そういった意見は)いただいています。今回行われるイベントで、実は事例集も含めてプレイブックという形で皆さんにお配りしようと思っています。私が外へ講演へ行くときにはそれこそ健康文脈、地方創生で呼ばれることが多くて、スポーツの切り口で呼ばれることが多かったことが、完全にスポーツの切り口でないところに向けて発信するようにしています。それまでタッチしていない媒体の方々やタッチしていなかった企業の方々から、そういうことかとJリーグのことをちょっと見誤っていたみたいな反応が返ってきています。その方々とJoinして活動して、本当にインパクトを出していくフェーズの途中段階ですので、しっかりとした成果が出ているところまでは、まだまだJリーグを使おうで出ているかというとまだ途中です。、2合目くらいだと理解しています。

ただ、今事例集のドラフト(草案)を作っている最中なんですが、去年のイベントで言った横浜FMの社長さんがウォーキングサッカーをやりたいと言っていたことが、今全国に広がっています。

 

※Jリーグホームタウン活動報告2018年版44ページより

あのイベントに来た明治大学の学生さんが、ヴァンフォーレ甲府と観戦の同窓会をやりました。実はそれはヴァンフォーレ甲府の周りにいる企業群とのマッチングの場にもなっています。自治体としては若者が帰ってくることは嬉しいことですし、企業さんにとっても若者の採用は死活問題なので、企業さんにとってもハッピーな状態になります。甲府がハブになったことで、みんなのハッピーを作れるということで地域の信頼を獲得したりエンゲージメントを獲得できる。学生さんも本当は地元に戻りたかったりして、東京に出てしまうと地縁がなくなって地元の企業のことを知らないので、ヴァンフォーレ甲府を通じて企業のことを知れたりします。こういったことが去年のイベント以降の発案で出てきています。ただここまでの成果が出ましたというほどのニュース性があるかというと言われるとまだまだなので、そういったことを少しずつ広めていこうと思っています。

Q:まず「Jリーグを使おう」というこの言葉を広めた方がいいかなと思います。
※米田理事が説明
「そうですね。アドバイスいただきありがとうございます」

※村井チェアマンが補足
「今回のイベントに合わせて、この社会連携(シャレン)のホームページを開設する予定です。そこで概念や取り組み事例を出して、その時に初めて皆さんにご理解いただく第一歩になると思います。
まだ構想段階ですが、まず一年やってみて、色々な取り組み活動の中で『これこそ『Jリーグをつかおう!』というようなシャレンのアウォーズのようなことをやっても良いのではないかと思います。
そういう意味では、しっかり固めながらこの活動を大事に育てていき、コミュニケーションしていければと思っています。

先ほどご質問いただいた「これは収益なのか、世の中に対する還元なのか?」というのも、クラブがいろいろなサービスを提供して、その対価としてお金をいただくという、2社間の価値の交換のモデルというよりは、今回は米田が言った通り、色々な人が集まってきていろいろなものを持ち寄って、何かを作っていく『共創』という新たなモデルです。そういった概念についてももう少しコミュニケーションをとって伝えていく努力も必要かなと思っています。

Q:「Jリーグをつかおう!」に関して。以前にもホームタウン活動においてお話しを聞いた際にうかがいましたが、例えば川崎フロンターレの障がい者の就労支援の事例などは、NPOや川崎市も絡んでいて、社会連携に近い動きだと思います。学校にサッカー教室に行くといったホームタウン活動は別だと思いますが、NPOなどが絡んできた場合は、社会連携との親和性が強くて似たような動きになると思いますが、そのへんの住み分けはどうなるのでしょうか。

※米田理事が説明
「まさに川崎フロンターレの就労体験は シャレンですという話をしています。ホームタウン活動は地域に根差した活動全般を言っています。
その中で『3者以上の人が組んでください』『活動の共通テーマを掲げてください』この2つを満たしたものを『社会連携活動、シャレン』と定義としています。
川崎フロンターレの就労活動は、ホームタウン活動の中でシャレンに当たりますね、とクラブに伝えています。すでに、シャレンをやっているクラブもありますし、(ホームタウン活動に)何か一つ加えれば、変わるねが起きると、地域や自治体さんにインパクトがあって、企業さんからお金が出ることもあると思います」

Q:そういった「シャレン」を見える化しようということでよいのでしょうか。
「その実装に向けた仲間を見つけるワークショップになる予定です。

※村井チェアマンが補足
「シャレンが多くのNPO団体やボランティア、ソーシャルセクターと言われる方々と競合するものではなく、そういう方々にこそ使っていただきたいという、そんな座組を多く作っていくこととなります」

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