Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~

「ハイブリッド芝は97%が天然芝。天然芝の育成環境が悪いスタジアムでは育たない(Jリーグ・佐藤氏)」~2017年のスタジアム動向より~(5)

一昨年オープンした吹田スタジアムや今年オープンしたミクニワールドスタジアム北九州、最近では今年7月にヴァンフォーレ甲府の新スタジアム建設地が決定し()、今月10日にはFC今治が使用する「ありがとうサービス. 夢スタジアム」がオープンするなど、現在日本各地でスタジアム建設をめぐる動きが活発となっている。
そこで今回は、今年2月に行われたJリーグキックオフカンファレンス第3部での、Jリーグ経営管理本部・クラブ経営戦略部スタジアム推進グループ・佐藤仁司マネージャーの話を振り返りながら、2017年のスタジアム動向について掘り下げていきたい。

(4)ハイブリッド芝について「ピッチの稼働を増やすことができる、これが非常に大きなポイント(Jリーグ・佐藤氏)」


○佐藤仁司マネージャー

■ハイブリッド芝は97%が天然芝。天然芝の育成環境が悪いスタジアムでは育たない

最初にも説明させていただきましたが、ハイブリッド芝は97%が天然芝です。ですから天然芝の育成環境が悪いスタジアムでは育ちません。日常のメンテナンスも天然芝と変わりません。

それからヨーロッパのスタジアムではハイブリッド芝が非常に多く導入されているのですが、気候上ヨーロッパは冬に緑色になる寒地型芝、いわゆる冬芝と言われる芝を使っています。これを一年中通して使っています。日本ではほとんどのピッチが夏緑色になる暖地型芝、いわるゆる夏芝と冬芝をウィンターオーバーシーディング(※)しながら常緑に保っています。ですから日本のようなピッチの芝生の品種を切り替えてハイブリッド芝を成功させた例が実はまだございません。もちろん暖地型芝でハイブリッドした例がございます。

※冬に休眠して枯れてしまう暖地型芝の上から冬も緑を保つように寒地型芝の種をまいて1年中芝生を緑にすること(バロネスのめざせ!となりの芝生より引用http://www.baroness-direct.com/blog/winter-over-seed/

メディアの皆さんはご記憶にあると思いますが、2014年にシンガポールで日本代表とブラジル代表が試合をやった時にハイブリッド芝がめちゃくちゃになった試合がありました。試合開始と同時に畑のようになったあんな失敗例もあります。ハイブリッド芝になったからと言ってすべてが解決するわけではありません。

■『Jリーグが認めたハイブリッド芝』4つの条件とは?

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