「football fukuoka」中倉一志

【フットボールな日々】アビスパ30年目の始まり。これまでも、これからも『何十年にもわたって』想いは紡がれていく

見るとはなしに付けていたTV画面から流れて来た「ソニー損保」という美しいハーモニー。その歌声に惹かれて振り向くと、笑顔いっぱいにCMソングを歌う6人の姿が目に飛び込んできた。「素敵な女の子たちだな」、そう感じたことを今も昨日のことのように覚えている。その美しいハーモニーはもちろん、とにかく歌うことが大好きだということが全身から伝わってくる姿に打たれた。2016年の今頃のことだったように思う。「Little Glee Monster」。それが彼女たちの名前だった。

特別にファンだったということはなかったが、いつも彼女たちのことが気になっていた。「歌うことが楽しい」「歌うことが大好き」それを全身で表現する彼女たちの姿がいつも私の心にあった。私の一番のお気に入りは「世界はあなたに笑いかけている」。彼女たちの素晴らしいハーモニー。軽快なリズム。そして、彼女たちの歌うことへの愛情が最も強く伝わってくる。何度もこの曲には元気付けられた。

そして今年、彼女たちの新曲「For Decades」がJリーグ2025シーズン応援ソングに決まった。大学まで卒業しておきながら英語はからきしダメな私だが、グーグル翻訳によると「何十年にもわたって」という意味だそう。Jリーグが始まって33年目の春。アビスパ福岡が福岡の町にできて30年目の開幕。私のアビスパ取材歴27年目の始まり。だからこそ湧き上がる感情がある。いつもスタジアムで合う仲間。事情によりスタジアムから離れている仲間。そんな一人ひとりの顔が浮かんでくる。

まもなく68回目の誕生日を迎える私に、アビスパの次の30年目を見届けることは難しいだろう。でも私がアビスパと共に生きた『何十年』は、きっとアビスパと共に歩く仲間が次の『何十年』に繋げてくれるはずだ。様々な事情から今はスタジアムから離れている仲間の想いだって同じこと。そして初めてベスト電器スタジアムに足を運んでくれた彼(彼女)の一歩は、新しい『何十年』へと繋がっていく。そうやって私たちの想いは繋がり、受け継がれ、アビスパの歴史の一部として刻まれ、アビスパは私たちにとってかけがいのないものなっていく。そう「何十年にもわたって」。

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ねえ、今感じているんだよ
ともに走る不安を 痛みを
だけどきっと僕らの色がある
一緒だから響くハーモニー

途切れても 遠ざかっても
揺るがない想いが
ほら胸の奥を突いて
僕らが進むべき道を示す
その目も、その耳も、
この手で、この声で連れて行くから
夢の先見ている For Decades

感動も 葛藤も
その両方を分け合おう
今日というこの日を
噛みしめていけますように

一部引用
Little Glee Monster「For Decades」
作詞・作曲/麻尾悠太/尾上榛/とおるす
https://youtu.be/tq9n7W-8Eyc?si=lGrhjWXx8paGCdst
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それぞれの人たちが、それぞれの想い抱えてスタートする2025年。思うようになることばかりじゃない。むしろ、思うようにならないことの方が多いかもしれない。でも、目の前に起こることに対して、自分に正直に、怒り、喜び、一喜一憂しながら過ごせばいい。その一つひとつがアビスパへの大切な想い。その繰り返しの中でアビスパと私たちは『何十年にもわたって』つながっていく。

2025年2月15日14:00。それぞれの人の、それぞれの2025シーズンが、それぞれの場所で幕を開ける。

[中倉一志=取材・構成・写真]

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