「football fukuoka」中倉一志

【記者会見 J1第37節 福岡-浦和】「試合が終わった時の大歓声、点を取った時の大歓声はこれまで以上だった」/長谷部茂利

2024明治安田J1リーグ 第37節
日時:2024年11月30日(土)14:03キックオフ
会場:ベスト電器スタジアム/17,161人
結果:アビスパ福岡 1-0 浦和レッズ
得点:[福岡]紺野和也(40分)

◎長谷部茂利監督(福岡);
Q:試合を振り返って
「内容はいつも通り、『アビスパが勝つにはこういう形』という、そういう試合ができたと思います。試合勘のない選手が両チームに1人、2人ずついたような感じも受けましたが、いい試合ができたと思います。大きな怪我人も出ていないと思いますし、これまでもここでも伝えていますが、攻撃の質のところが高くなれば、もう少しミスが少なくなれば、ゴール前に行くチャンスがもう少し増えれば、20本近くシュートを打つチームがありますが、そういうチームに少しでも近づくんじゃないかなというふうに思います。結果のところはホーム最終戦で勝てたということで、みなさまにも喜んでいただいたし、選手もスタッフも喜んでいるし、事業部も喜んでいるし、良いことづくめだったと思います。やはり勝つということは、勝ちにこだわるということは、こういうことが起きる大事なことなんだなというふうに改めて思いました。今日は勝ててよかったです」

Q:今日は18,000人には少し届きませんでしたけれど、見た感じはほぼ満席の状態でした。そん中で指揮を執られた感想を聞かせてください。
「うれしかったと言いたいんですけれども、周りを見る余裕が少しありませんでした。今日は試合前から少し私自身もこれまでのゲームと違う雰囲気を感じていて、選手よりも私自身の方が緊張していたのかもしれない、そんなふうに思います。なので、うれしかったと言いたいんですが、少し見えていませんでしたね。ただ、ゲームが終わった時の大歓声、点数を取った時の大歓声は、やはりこれまで以上に、これまでも素晴らしい時はありましたが、より今日はそれが伝わってきてうれしかったです」

Q:先ほどもおっしゃいましたが、本当にアビスパらしいというか、得点のシーンも前からプレッシャーに行って、はめて、一気に前に出るという形で、まさにアビスパという形でした。まだ1試合残っていますが、5年間指揮を執ってきて、最後のホームゲームで 自分たちらしいさを表現できたという点についてはどのようにお考えでしょうか?
「自分たちのスタイルを前面に出していこうということで試合に送り出しました。また、これまでもそれが大事だということ、それを自分の中では大切にしてきたつもりです。これまでもメディアのみなさんからそういうコメントを聞いたことがありますが、改めてそう言われたことで、自分が軸ぶれすることなく、選手の顔色を伺ってではなく、コーチの顔色、クラブの顔色ではなくて、自分たちが何をしたいのかということに軸を置いてやりきってきた、J2からJ1への昇格、そこからまた今日のようなゲーム、同じような、似たような戦い方ですが、やりきれたんじゃないかなというふうに思います」

Q:ホームゲームは終わりましたけれど、まだ長谷部アビスパとしては川崎との大事な試合が残っています。確か、川崎相手にあのスタジアムで勝ったことがなかったと記憶していますが、最後に記憶を塗り替えてほしいと願っているファン、サポーターは多いと思います。川崎戦ということに対してはいかがでしょうか?
「その期待はありがたいんですけれども、難しいゲームになるのはもちろんだと思います。また、長谷部アビスパと言っていただいたんですが、今日の最終戦で会長、社長、キャプテンが私をねぎらってくれて、私の名前を出してくれるんですけど、今日は私の会ではないし、アビスパ福岡のホーム最終戦です。ですから、一度そこは訂正をさせてください。私の方から否定というか、今日はアビスパ福岡のホーム最終戦であって、みんなの会なんだと。みんなの試合なんだと。私のことを労っていただくのはありがたいんですが、私ではありません。私はもう12月の9日からファンですから、そういうことです。最終戦のセレモニーで奈良が言っていましたけれど、出会いと別れがある。それが普通です。なので、あまり私を持ち上げすぎないでいただきたい。私の名前なんてほっておいていただいて、選手をもっと持ち上げてもらいたい。選手を、プレーを、いいプレーは少なかったですけど、いいプレーにフォーカスしていただきたい。そこが少し私としては残念なことです。今からでも間に合うと思うので、訂正いただけるようにメディアの方たちにお願いです。よろしくお願いします」

Q:今日は勝ちにこだわるというところで2つのターニングポイントがあったと思っています。ひとつは1点リードしたあとに後半の早い段階で3枚替えです。特に攻撃的な選手を3枚替えしたというのは、やはり複数得点を取りに行くという狙いがあったのかなという印象でしたが、改めてあの交代の意図、狙いを教えてください。
「ふたつあります。元々今日のゲームに対して、前の3人を代えてパワーアップしていくというかギアアップしていくことを狙っていました。それは点数に関係なくです。もうひとつは、先制点は後半の最初に入ったわけではなくて、前半の最後の方に入ったので、そこからはおっしゃる通り、2点目を取りにいくための交代でした。ピンチもありましたが、チャンスもありましたね。そういう展開に持っていって、2-0以上で勝ちたいという想いがありました。この二つです」

Q:もうひとつはアディショナルタイムに入る前くらいに、両コーナーポスト付近にボールを持って行けと言うような仕草をされていたシーンです。2点目を取りにいくのではなく勝ちにこだわった判断が、非常に現実的な選択だなと感じましたが、あそこの判断はどういうものだったのでしょぅか?
「判断は良かったと思います。1人、2人、サインを出した後に点数を取りに行こうとしていた感じがあったので、そこは修正しなくてはならないと思いますが、後半45分が経過した段階で、それまでに2点目を取るチャンスが3回ぐらいあったと思います。これはチャンスだなという。そこで取れないのであれば、試合の流れ的には追いつかれるパターンですね。相手の選手がゴール前でミスキックをして我々からすると失点しなかったんですが、そういうことが起こるのが今日のゲームですし、今日の終盤の1点差のゲームだったと思います。それが自分なりですけれども、私には分かるからそういうふうにしています。分からなければ、おそらく1-1に追いつかれ、その後もう1点取られ、1-2で負けるとか、1-1で終わるというような形になったと思います。自分で考えて、決断して、判断は間違っていなかったと思います。ある選手は2点目が取れたのにという、そういう気持ちがあったと思いますけれども、そこはまた修正していきます」。

Q:得点を決めた紺野選手についてですが、長谷部監督の下で初めてポジションがシャドウになって、ああいう得点を挙げられる、より攻撃的な選手になり、そしてあの場面であそこから決めた。改めて振り返っていただけますか?
「得点の場面は素晴らしかったですね。パスもいいし、受ける場所も、受け方も、振り抜いたキックも良かった。シュートも良かったと思います。彼自身はタッチラインの近いところでのプレーが多かったんですけれども、そこからポジションで言えば、シャドウだったり、サイドハーフだったり、トップ下だったりというような言い方をしますけれども、彼にはもう少し幅の広いプレーをできるようにということで、いろんなことを求めて、要求して、それができる選手ですね。簡単にできるポジションではないので、最初は試行錯誤しながら、コーチと話をしながら、映像を見ながら修正して、練習をして、その練習が非常に実った選手ですね。試合で得点を取るというところまで実っているので、非常に喜ばしいし、彼につきあってずっと練習していた選手同士、コーチも喜びはひとしおというか、非常に良かったんじゃないかなと、喜んでいるんじゃないかなと思います」

Q:ナッシム選手について、ファン、サポーターのみなさんが待ち望んでいる中での投入でしたが、あの展開の中で、どういったことを期待されて送り出されたのか、そして評価について教えてください。
「彼の特徴は攻撃力です。右45度からの得点。それは本当に期待していました。実際シュートを打ちましたね。相手に当たってしまたのか、キーパーだったか、ちょっと正確に覚えてないんですけれども、あそこで左隅に入れる。どんなキーパーであっても取れないようなシュートを持ってるので、それを期待したんですけども、惜しかったですね。それ以外のところでは、まだまだチームと一緒に練習している時間が短い分、プレーモデルというか、チームの目指しているプレーに対する精度はまだまだ低いですけれども、攻守にわたって彼個人が持っている能力を出してくれたらなということで出しました。それは本人にも話しましたけれど、実際にそういうことになっていましたし、得点を取ったら100点満点というか、評価は高いんですけれども、今日のところは得点は次節に持ち越しということで、また次の試合に出て活躍してくれたらと、そういう思いです」

Q:紺野選手が得点した後のことをお伺いします。紺野選手がベンチに駆け寄ってきて、監督さんも受け止めるというか、受け入れるというか、ああいう形になりましたが、ああやって紺野選手がベンチに向かってきた時の監督さんのお気持ちというか、どういうふうに感じられたかというところを教えてください。
「いや、嬉しかったです。ベンチに行こうと決めていたんじゃないかなというぐらい、真っ先に走ってきてくれて。私は構えて、でも私じゃなかったらどうしようと思ったんですけど(笑)、これまでも恋愛も含めてそういう想いをしてきたので、実は私の後ろにいる人だったっていうね。手を振ってる時に私が手振ったら後ろの人だったというのがよくあるじゃないですか。それになったら恥ずかしいなという想いが少しありました。でも、私のところに飛び込んでくれたのでよかったです」

Q:試合の中のことでいうと、最初は結構押し込まれる感じだったと思うんですけれど、少しマンツーマン気味にというか、守備が”かちん”とはまったのかなという見方もしました。レッズの選手も、話していたら少しそんな感じで受けていましたが、試合の中での切り替えとかそういうものが、4年、5年とシーズンを重ねてくるとできてくるのかなとは思うんですが、チームを作り上げてこれたなという感触が、ご自身の中にどれだけあるのかというところと、それを今後の指導者人生と言ったらあれですけれども、どういうふうにという想いがありますか?
「まず4年、5年で作り上げたのではなくて1ヶ月で作っています。福岡に来て、キャンプも含めて、いわゆる切り替えとかベースのところですね。そこのところはプロサッカーの試合をする上で必ず必要なので、そこのところはもっともっと早く作ったつもりです。ただ、選手が変わったり、ピッチが変わったり、相手が変わったりする中で、自分たちは何をしたいのか、どうしたら対等に戦えるチームになれるのかというところを選手たちと合わせてやっています。それが今日は、今おっしゃった守備面で言うとはまらなかったんですけれども、話をしながら、選手同士で今までやってきたことの引き出しから、『じゃあこれを出そう』『このカードを切ろう』『このカードでこのやり方をしよう』というように、少し変化を加えながらうまくできたんじゃないかなと思います。ベースがあれば、臨機応変さや、そういう柔軟なことをできると思うので。アビスパ福岡が、私が1ヶ月で作ると言った、その最初のベースは作りましたが、そこから柔軟に対応できるようになったのが、今年でいうとこの終盤。5年でいうと2年目、3年目ぐらいから、いろんなことが少しずつできるようになってきたかなと思います」

Q:今後についてはいかがでしょう?
「今後ですか?」

Q:いつ、どこに行くとかいうことをお尋ねしたいのではなく、指導者としての人生は続くでしょうから、それをどのように続けていくかという…。
「私がということですか?どこかで仕事をしたいですね。他に何もできないですし、歌ったり踊ったりはできないので監督を続けたいですし、またみなさんにお会いすることができると思います。その時はまたよろしくお願いします」

[中倉一志=取材・構成・写真]

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