「football fukuoka」中倉一志

【中倉’Voice】子どもたちの笑顔があふれた1日。「根を張り、共に育む」をテーマに「ROOT PROJECT by 奈良竜樹」が始動

少し緊張気味だった子どもたちの顔に、身体を動かすたびに少しずつ笑顔が見えるようになる。そして4組に分かれて得点を競い合う最後のゲームになると、誰もが夢中になってボールを追い、自分たちの陣地を守り、得点が入ると思い思いのポーズで喜びを爆発させる。そこには一つのボールを追う楽しさを身体ごと楽しんでいる子どもたちの姿があった。10月23日に行われた「照葉はばたき小学校」5年生を対象に行われた体育の授業の様子だ。

「多分、全員が全員、ボールを使って触れ合うことだったり、サッカーをすることに対して前向きじゃない子もいたと思うんですけど、今日の授業を見ていたら、本当にみんな楽しんでくれていたし、ああやってボール一つでみんなが楽しめるというのもスポーツの良さだと思うし、その同じ空間に一緒にいれたということですごくパワーをもらえました」(奈良竜樹)

そう話すのは、この授業を企画・提案した奈良竜樹選手。6月に左膝複合靱帯損傷の再建手術を受け、そのリハビリ中のため子どもたちと一緒にボールを追うことはできなかったが、アビスパ福岡の吉光直志スクールコーチと浅野航兵スクールダイレクターが指導に当たる中、その輪の中で子どもたちに話しかけながら一緒に時間を過ごした。授業終了後には教室に移動して、子どもたちと一緒に給食を取りながらのコミュニケーション。限られた時間ではあったが、子どもたちにとって、そして奈良選手にとって貴重な時間になった。

今回の学校訪問は、奈良選手がクラブに提案をして始まった「ROOT PROJECT」の一環として行われたもの。「ROOT PROJECT」とは、アビスパ福岡のホームタウンである福岡のさらなる発展のために、「根を張り、共に育む」をテーマに、福岡に新しく、強靭な「根」を張るための社会貢献活動を行うことを目的としたもの。「アスリートの価値を社会に還元するチャンスやニーズというものが、多分、いろんな形でたくさんあると思う。そういうものにアビスパ福岡の選手として関わって活動の根を広げていくことで、クラブと地域のより良い関係を築いていきたいなと思っている」(奈良)と話すように、自分にどのようなことができるのかという観点から奈良選手がクラブと話し合いを重ねる中で奈良選手を中心にクラブとして活動していこうということで始まった取り組みだ。

その想いは以下の通りだ。
・アビスパ福岡が福岡の町に根付いてほしい。
・アビスパ福岡が福岡のみなさんから愛されるクラブになってほしい。
・アビスパ福岡がプロサッカークラブとしての価値を地域社会に還元し貢献していきたい。

記念すべき第1回目(10/23)となったこの日は「照葉はばたき小学校」の5年生全員(54人)の参加のもと、ボールを使って身体を動かすことの楽しさを子どもたちに知ってもらおうというもの。授業の最後には奈良選手のサイン入りのノート、アビスパのタオルマフラーが全員にプレゼントされた。

併せて、「スタジアムという場所は、目や耳などの五感や、いろんな感覚を通して感動を与えられる場所。スタジアムに足を運んでもらうことで、それを体験してもらいたい」という想いから、「照葉はばたき小学校」の5年生全員と、その兄弟を第35節柏レイソル戦(11/3 15:00キックオフ ベスト電器スタジアム)に招待するというサプライズプレゼントも発表された。試合当日は奈良選手のアテンドにより、ピッチサイドでの試合前練習の見学や試合観戦等が予定されている。

「テレビなどでは伝えきれない感動を体感することでサッカーをやりたいと思ってもらえる人がいればそれは最高だし、そうでなくても、スポーツ観戦を通して、家族やいろんなコミュニティの中で一緒に過ごす時間というものが、子どもたちがやりたいと思っていることや、日々やっていることを頑張れるエネルギーになってくれればいい」(奈良)

なお今後の活動については、「根を張り、共に育む」のテーマにのっとり、アビスパファミリーの輪を広げて、地域にしっかり根付くクラブをみんなで一緒に育てていくという観点から、ファン、サポーターのみなさんから、奈良選手と一緒にやりたいことを以下のフォームから募集中。奈良選手自身もSNS等で情報を発信する予定なので、そちらも要チェックだ。

[応募フォーム]https://forms.gle/STPaJY1zR8cUxQ2K8
[Instagram]https://www.instagram.com/tnmn1020/

「老若男女、スポーツが得意な人も、そうでない人も、誰もがスポーツを楽し無ことができる環境作り」とは、初代Jリーグチェアマン川淵三郎氏がJリーグを発足させるにあたって語った言葉の一つで、日本サッカーが世界のトップレベルに成長することと、スポーツ文化を日本中に浸透させることはJリーグを支える二大理念。その両方があってこそJリーグとしての存在意義がある。今後の活動の広がりに期待するとともに、我々も当事者の一人として積極的に関わりたいという想いを強くした1日だった。

※奈良選手コメントはこちら

[中倉一志=取材・文・写真]

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