奈良竜樹/「自分にどういうことができるのかをクラブと一緒に話し合いながら提案させてもらった」:【アビスパ’s Voice】
内容:学校訪問練習後の共同囲み取材
日時:2024年10月23日(水)
場所:照葉はばたき小学校にて
◎奈良竜樹選手;
Q:子どもたちとの触れ合いを終えて、今の率直な感想をお願いします。
「僕自身はすごく楽しかったし、生徒のみんながスポーツを純粋に楽しんでいる姿を見て、これからもこういったことを継続してやっていきたいなと思ったし、僕自身にとっても、サッカー選手としてしっかりピッチに戻ることに向けての活力になったなと思います」
Q:今日が1回目になりましたが、この「ROOT PROJECT」を通して、子供たちに何を伝えたいとお考えでしょうか?
「今回は子どもたちをスタジアムに招待するんですけれども、僕はスタジアムという場所は、目や耳などの五感や、いろんな感覚を通して感動を与えられる場所だと思っていて、スタジアムに足を運んでもらうことで、テレビなどでは伝えきれない感動を体験してもらいたいという想いがあります。それを体感することでサッカーをやりたいと思ってもらえる人がいればそれは最高ですし、そうじゃなくても、スポーツ観戦を通して、家族やいろんなコミュニティの中で一緒に過ごす時間というものが、子どもたちがやりたいと思っていることとか、日々やっていることを頑張れるエネルギーになってくれれば良いなと思っています。
また、アビスパ福岡にとっても、たくさんのサポーターや観客のみなさんがスタジアムに足を運んでくれれば選手も頑張れると思うし、いつも以上に素晴らしい雰囲気がスタジアムに作れるのではないかなとも思っています。今回は、そういう想いを持って招待しようということです」
Q:この「ROOT PROJECT」は奈良選手ご自身のご発案で、福岡に社会貢献したいということで始まったと思います。今後は具体的にどのような取り組みになるのでしょうか?
「僕一人でやったということではなく、自分にどういうことができるのかというところでクラブの人と一緒に話し合いながら、その中で僕が提案させてもらったという形です。今後も、こうやって小学校に訪問して子どもたちとの触れ合いというものもやりたいですし、アスリートの価値を社会に還元するチャンスやニーズというものが、多分、いろんな形でたくさんあると思うので、そういうものにアビスパ福岡の選手として関わって活動の根を広げていくことで、クラブと地域のより良い関係を築いていきたいなと思っています。具体的な活動内容に関しては、地域の人たちがやってもらいたいことをクラブが募集したり、僕自身もSNSなどを使って広くごみなさんの意見を集めたいと思っているので、『こういうことをしてほしい』という想いをお持ちの方がいれば、なんでも結構なので、ぜひ、ご意見をいただければと思っています」
Q:奈良選手自身が子どもたちとの触れ合いのの中で大切にしていることは、どんなことでしょうか?
「実は、子どもたちとの触れ合いというのはあんまり得意じゃないんですけれど、ただ、子どもたちはすごく純粋なので、思っていることを素直に言葉にしたり行動に移すので、そういったところは敏感に察知しようというふうには思っています。そうすることで、自分が気づけなかったことに気づけたり、見えていないものが見えたりというように新しい発見があって何かの原動力のようなものを僕も得られると思うし、僕自身も子どもたちに働きかけることで、いい経験というものを少しでも提供できればなというふうに思っています。僕からの一方通行ではなく相互に提供し合うというところは、子どもたちとの触れ合いの中で意識していることですね」
Q:そういう意味では、今日も大きなパワーをもらったのではないでしょうか?
「多分、全員が全員、ボールを使って触れ合うことだったり、サッカーをすることに対して前向きじゃない子もいたと思うんですけど、今日の授業を見ていたら、本当にみんな楽しんでくれていたし、ああやってボール一つでみんなが楽しめるというのもスポーツの良さだと思うし、その同じ空間に一緒にいれたということですごくパワーをもらえました。そして、今日のこの経験を、みんなの中の原点にして、それぞれが楽しいことや情熱を注げるものを見つけてほしいなと思います。面と向かって全員と話す時間はなかったんですけれど、僕が質問したことにみんなが真摯にというか、受け答えしてくれて、なんだかとても嬉しかったです。今日が初めての活動なんですけれど、やって良かったなと思うし、これからも続けていきたいなと思いました」
Q:今日は子どもたちと一緒に給食も食べられましたが、久しぶりに味わう給食はいかがでしたか?
「本当に久々でしたね。『こんなに量が少なかったっけ?』と思いましたけれど(笑)、ああやってみんなで一緒に食べる時間というのはとても楽しいし、ご飯自体もすごく美味しくて良かったなと思いました」
Q:体育館では子どもたちに交じって動かれるようなこともありましたが、手術をされた膝の具合はいかがでしょうか?
「今はリハビリ期間中で、それもまだまだ続くというか、先は長いんですけれど、少しずつですけれども、やれる動作やトレーニングの強度というところは上げられていますし、今のところ、ドクターの方も順調だとおっしゃってくれているので、今は復帰に向けて着実にステップを踏んでいるという段階です。でも相手が小学校5年生ということになると、僕の今の膝だと対応しきれなくて、復帰はまだまだ先だなというふうに、今日また思い知らされました」
Q:今は外から客観的にチームをご覧になっている状況だと思いますが、復帰後、どのようなプレーをしたいとイメージされていますか?
「自分のプレーのイメージはもちろんありますけれど、自分がチームにどういうふうに良い影響を与えられるのかとか、チームがより良くなるために自分はどういう行動ができるのかというところは自分にも問いかけているし、チームの雰囲気だったり、そういうのを見ながら、少しでもみんなの力になりたいなと思っています。今回始めたROOTプロジェクトの活動も、チームのために、クラブのためになればいいなと思いますし、ピッチ上のことだけじゃなくて、こういう形で地域のみなさんや子どもたちと触れ合うことで、アビスパ福岡というクラブがより強く、大きく、地域に愛されていくようなクラブになれればいいなと思っています。ですから、今は自分のプレーイメージというよりも、こういった活動にみんなと一緒になって取り組みたいなという想いの方が強いです。もう少し復帰の時期が近付けば選手モードにスイッチが入るのかもしれませんが、今は今の自分にできることを精一杯やっていきたいなというふうに思っています」
Q:早くピッチで活躍している姿を見たいというファン、サポーターの方はたくさんいらっしゃいます。そんなみなさんに一言いただけますか?
「手術をするというのはとても苦しい決断だったし、最初はいろんな方が声をかけてくれて励ましてもらいましたし、そういうところから少しずつ自分との戦いになってきて、まだ復帰までには時間がかかりますけれど、怪我をする前よりもパワーアップしてピッチに戻りたいと思います。
そしてチームが、もっともっと良い戦い、良い成績を目指して戦っていけるように、僕自身もそうだし、アビスパ福岡というクラブに関わるみんなで一緒に強くなっていきたいなと思います。僕のことはまず置いておいて、チームは残り4試合をサポーターのみなさんと一緒に、もちろん全勝目指して頑張っていきますので、よろしくお願いします」
[中倉一志=取材・構成・写真]