【ニュース&レポート】一歩ずつ積み上げて辿り着いたプロの舞台。2人の活躍が福岡の町とアビスパの未来へと繋がっていく
【TV局による代表質問】
◎前田一翔選手
Q:昇格おめでとうございます。この昇格については、いつどのような状況で伝えられたのでしょうか?
「昇格を聞いたのは、先日行われた全国クラブユース選手権の4日前ぐらいでした。率直に嬉しかった気持ちが大きかったですし、ほっとした部分もありました」
Q:家族や周りにどのように報告されたのか、あるいは何か言葉をかけられたとか、教えていただけますか?
「家族からは『おめでとう』とか、プロとしての行動というか『自覚を持って行動してね』と言われました」
Q:特に覚えているような言葉はありますか?
「U-18の久永監督に『おめでとう』と言われた時は、なんか嬉しかったです」
Q:目標にしている選手、目指したいと思う選手を教えてください。
「Jリーグの選手で言えば興梠慎三選手。海外の選手で言えば、ルイス・スアレス選手のような選手になりたいと思っています」
Q:どういったところを磨いて、そういった選手に近づいていきたいと考えていますか?
「自分の特徴でもあるオフザボールの動きというところをもっと磨くことと、技術面はまだまだなので技術面もしっかり磨いて、なっていきたいなと思っています」
Q:昨年はルヴァンカップや天皇杯でトップチームの雰囲気も味わったと思いますが、自分の中でどのように生きたと感じていらっしゃいますか?
「去年はルヴァンカップにも出させていただいたのですが、やはりメンタル面のところで緊張したりすることが多かったんですけれど、最近は緊張もしなくなってメンタル面で成長したと感じますし、プレー面では守備のところだったり、シュートを決め切るところだったりという部分が成長しているかなと思っています」
Q:プリンスリーグでは現在得点王で得点力が期待されていると思いますが、トップリーグ昇格後はどのようなプレーを見せていきたいのか、改めてどのように考えていますか?
「フォワードなので得点というところにはこだわっていきたいなと思っています。それで、アビスパを勝利に導けるような選手になりたいと思っています」
Q:先ほど柳田部長もおっしゃっていましたが、地元出身ということで地元の方々や地元でサッカーをしている方たちからの期待がかかると思います。その辺りはいかがでしょうか?
「地元福岡の出身なので、今の城後選手のようにアビスパを背負っていく選手に自分もなれればいいなと思っています」
Q:最後に改めて来季からの意気込みをお願いします。
「先ほども言ったんですけれど、やはりフォワードなので、プロ1年目から試合に絡んで得点を決める、得点に絡む、そんな選手になりたいと思います」
◎サニブラウン アブデル ハナン選手
Q:昇格については、いつ、どのような状況で聞かれたのでしょうか?
「さっき前田選手が言っていたように、全国(クラブユース選手権)の4日前ぐらいに聞きました」
Q:どういう状況でお聞きになられたのでしょうか?
「面談のような感じでさらっと言われたので、最初はあんまり実感が湧かなかったですね。嬉しかったのもそうなんですけれど、頑張ってきてよかったなと思いました」
Q:昇格したことはご家族や友人・知人には伝えたのでしょうか?
「家族は知っています」
Q:ご家族からはどんな言葉をかけられたのでしょうか?
「『おめでとう』ということと、『これからだよ』と言われました」
Q:何か印象的な言葉はありましたか?
「短いんですけど、お兄ちゃんから『頑張れ』って言われました」
Q:その頑張れという言葉には何が込められていると感じましたか?
「多分、向こうもプロとして長いんで『自覚を持ってやれよ』みたいな感じのことを感じました」
Q:改めて目指す選手像を教えてください。
「やはりウェリントン選手のように身体を張って、自分を犠牲にするというか、全部のボールに戦いにいったりというような感じで、チームのために潰ることができる選手になりたいです」
Q:柳田強化部長から『急激な成長を遂げている』というお話がありましたが、直近の1年間について、ご自身はどのよう感じていますか?
「やはり試合に出るごとに課題が見つかって、それに取り組むことで、それまでに成し遂げられなかったことが次の試合で成し遂げられたり、新たな課題が見つかったりしていて、以前よりも全然成長しているなと思います」
Q:身近なお手本としてウェリントン選手がいますが、トップチームに昇格したからには一緒にプレーする、あるいはいずれは追い抜く目標でもあると思います。その辺りについてはいかがでしょうか?
「今までよりも近いところで見れるので、そこからいろんなものを盗んだりして、追い抜いたりできるように頑張りたいと思います」
Q:話を聞いてみたいとか、アドバイスを受けたいとか、こういうところを盗んでみたいとか、具体的なものがあれば教えてください。
「ヘディングするときだったりとか、ロングボールに対して身体を入れるところとか、マイボールにするのがうまいので、そこを盗みたいと思います」
Q:改めて、トップチームでどのようなプレーをしていきたいのか意気込みをお願いします。
「ヘディングで勝って、さっきも言ったようなチームの為に潰ることができる選手になりたいと思います」
◎柳田伸明強化部長
Q:フォワード2人の昇格が決まりましたが、フォワードの昇格というところでは、どのようにお考えでしょうか?
「実力主義なので能力の高い選手を上げるということで特にこだわりはありません」
Q:アカデミーからの昇格ということになりますと、やはり冨安選手の名前が真っ先に挙がると思います。アカデミー出身の選手の存在という点では、どのようにお考えでしょうか?
「ぜひ、そうなってもらいたいなというふうにまずは思っています。その中で、やはりクラブが今後ステップアップしていくためには、アカデミーの選手が各カテゴリーの代表に入っていったり、あるいは先ほども触れましたがオリンピックの選手になったり、またはフル代表に入ればもちろんいいんですけれども、最近、若い選手が海外にどんどん行くという意味では、海外に進出する、そういったことが実現できればいいなというふうに思っています。それがクラブのブランド力を上げることに繋がっていくのかなというふうに思いますし、そういったことが、また新しいスカウトの力になるのかなというふうに思っています」
Q:今回の2人の昇格は、アカデミーやトップチームに対して、どのような刺激や影響を与えるとお考えでしょうか?
「既にトップチームにはアカデミー出身の選手もいますが、そういった選手にとっても大いな刺激にもなると思います。併せて、私は2人とも決してエリートではないと思っています。その中で一翔は地元のクラブで努力してここまで力をつけてきたと思いますし、ハナンは高校3年生になってから、最近になってぐっと力をつけてきた選手で、やはり努力してここまで成長してきて昇格を勝ちとった選手です。いま、アカデミーには試合に出てない選手もいると思います。1年生、2年生で全然試合出られない選手がいると思います。そういう選手たちが、将来、トップチームで活躍する2人の姿を見て、今は試合に出られてない、あるいは力を発揮できていない、そういう選手たちの希望になれるような、そんな選手になってもらいたいなと思ってます。それを私は一番期待しています」
◎結城耕造代表取締役社長
Q:改めてクラブの発展に向けてのアカデミーの選手にかかる期待、来季に向けての期待について一言お願いします。
「まず、今回昇格する2人に関しては、アカデミーだからというわけではなくて、トップチームをさらに強くしていく戦力として見て昇格させております。その上で、アカデミーの選手がトップチームで活躍するということは、我々がさらに発展していくためには非常に重要だというふうに考えております。それは彼らがトップチームで活躍することによってトップチームがさらに強くなる、発展するということもそうですし、アカデミーにより優秀な人材が入ってくる、また福岡で、もっと言えば九州でこういう人材がどんどん育ってくるということによって、非常に大きな相乗効果というものが出てきますので、彼らに期待するとかものすごく大きいです。私自身もプロのサッカー選手としてやっていましたので、それなりの目は持っていますけれど、彼らは必ず成功できるというふうに思っております」
【質疑応答】
Q:お二人にお聞きします。
アカデミーからトップチームに昇格して活躍している冨安選手のように、いずれは日本代表や海外のビッグクラブなどで活躍するというような想いはいかがですか?
前田:「自分はまずアビスパ福岡で活躍して、海外に行って、A代表に入ってワールドカップに出場するというのが目標です」
ハナン:「自分もトップチームでまず試合に出て、そこから海外に行って、ワールドカップで得点を取ることができるような選手になりたいと思っています」
Q:先日パリ五輪がありましたが、何か刺激を受けたようなことはありましたか?
ハナン:「前よりも目指すところが少し近くなったなと思うので、結構、刺激を受けています」
前田:「テレビなどでパリ五輪のサッカーを見ていましたが、その時にはトップ昇格が決まっていたので、自分も4年後のロス五輪に出たいなというように刺激を受けました」
Q:ハナン選手にお聞きします。足の速さというところで、100m、50mは何秒くらいで走るのでしょうか?
「100mは測っていないんで分からないですけど、50mが大体6秒0いくつかとか、そこら辺です」
Q:お兄さんと比べて恐縮なんですけど、お兄さんはサッカーをやられいた時期もあったとお聞きしていますが、自分としてお兄さん比べて、身体能力でこういうところはお兄さんに勝っているというようなことがあれば教えてください。
「陸上であまり使わなかったりするジャンプ力だったりとか、コンタクトするところとかですかね」
Q:お2人にお聞きします。それぞれご自身の特徴を言っていただきましたけれど、それが、いつ、どのような時期に身に付いたのか、どういうふうな練習、どういうふうなことを教えてもらって身に付いたと感じているのかという点について、教えていただけますか?
ハナン:「自分は中学ぐらいから、ジャンプ力だったりとか、スピードとかは付いていたんですけれど、フィジカル面ということで言えば、高校入ってから筋トレなどを始めたことでつきました。ジャンプ力に関しては測ったことはないですけれども、もともと結構飛べる方でした」
前田:「自分も中学校のときから他の選手に比べたら、スピード、フィジカルの強さというものは元々あったんですけれども、やはり高校に入ってスピードの使い方、フィジカルの使い方というのを学んで、それで自分のストロングになったと思っています」
Q:今の話に関連して、アビスパのU-18に入ったことで、より成長できたと実感するようにことがあれば教えてください。
前田:「さっきも言ったんですけど、スピードの使い方とか裏への抜け出すときの駆け引きのところは、高校入ったときの監督から教えてもらいました」
ハナン:「自分も高校に入ってから、アナリストだった土野コーチが裏への抜け出し方だったり、動き出しの部分などを教えてくれれました」
Q:プロとして成功するためには技術的なことはもちろんですが、メンタルのところで必要なものというのは何だと思いますか?
ハナン:「相手と戦って負けた時に、悔しいという想いを次に繋げられるのがトップの選手なのかなと思います。力の差というか、この人には勝てないなと思ったとき、自分のやりたいことができなかったときに、そうしなければいけないと感じました」
前田:「自分はフォワードなので、得点が取れなかったときとか、調子が悪かったときに、いちいち落ち込んでいたんですけど、プロの選手は切り替えがとても早くて、調子が悪くても、もう次の試合に向けて調整とかしているので、そこがプロとユースのメンタルの差かなと思いました」
Q:お2人に昨年1年間のことについてお聞きします。前田選手は去年と比べると体つきが非常に引き締まったように感じます。それは何か意識の変化があったからなのかということについて、そしてハナン選手に関しては、急成長できたきっかけというか、試合に出られない中で何をどのように考えて取り組んでいたのかについてお願いします。
前田:「去年のルヴァンカップの鹿島アントラーズ戦で代表クラスのセンターバックと対峙した時にフィジカルの差をすごく感じたので、筋トレを考えてやってきました」
ハナン:「最初はなかなか試合に出られなかったんですけれども、3年生になって、たまたまフォワードの選手が怪我をしていたので自分が出ることになったので、改善しなければいけないところは改善してというふうに取り組んだことで、それがきっかけになって成長したと思っています」。
Q:ハナン選手にお聞きします。出身は東京、そして中学校までは関東のクラブに所属していましたが、アビスパ福岡という関東からは離れたチームでのプレーを決断されました。どのような想いでやってこられたのでしょうか?
ハナン:「関東の中でやるのも良かったんですけれども、地方から挑戦したいと思っていました。今まであったものとは全然違う環境や、これまでと変わるということが少し怖かったんですけれども、心の中ではちょっと楽しみでした。福岡の人たちはみんな明るくて、結構、気軽な感じで遊びに行ったり、東京とは少し違っていて、結構近くにいるのですぐに会えたりするところがいいですね」
Q:高校3年生になって試合に出られるようになって急成長したとのことですが、辛かったこと、頑張ってきたこと、どういったことが成長につながったと感じていますか?
ハナン:「最初はなかなか試合に出られなくて試合を経験することができなかったり、全然足下の技術がなくて試合に使ってもらえないなかったり、そういったことがあって試合勘というところで差が付いてしまっていたので、練習試合とか練習とかで、とにかくどれだけ動けるかというところに力を入れてやってきました」
Q:会見の最初に支えてくれた方たちに感謝したいとおっしゃっていましたが、一番支えてくれた方、一番感謝したい方というのはどなたでしょうか?
ハナン:「やはり親ですかね。自分がなかなか試合に出られなくて落ち込んでるときや、全然うまくいかないときに親が支えてくれました」
[中倉一志=取材・構成・写真]