「football fukuoka」中倉一志

【無料記事】【レポート 天皇杯2回戦 福岡-福山】全員サッカーで福山を圧倒。中国リーグ首位の強豪を8-0で下して3回戦へ

天皇杯 JFA 第104回全日本サッカー選手権大会 2回戦
2024年6月12日(水)19:00キックオフ
会場:ベスト電器スタジアム/2,643人
結果:アビスパ福岡 82-0 福山シティFC
得点:[福岡]ウェリントン(30分)、金森健志(43分)、北島祐二(51分)、シャハブ ザヘディ(65分)、松岡大起(72分)、鶴野怜樹(77分)、シャハブ ザヘディ(81分)、松岡大起(88分)

立ち上がりは決して簡単な戦いではなかった。負ければ終わる一発勝負の初戦。勝って当たり前のプロチームと、結果に拘わらず何も失うものがないチームとの対戦。そして、いつもとは違う天皇杯独特の空気に包まれるスタジアム。当然のようにボール試合率ではアビスパ福岡が上回ったが、それは試合の主導権を握っていることを意味していなかった。そんな時間を北島祐二は次のように振り返る。

「相手はいいリズムで思うようなイメージでやれていたと思うし、それをやらせてしまったのでなかなか苦しい時間が続いた」
ボールを握っても前線への楔のボールを入れられず、裏を取ることもできないアビスパに対し、ゴールへの意欲を強くするのは福山シティFC。ボールを持つと必ずと言っていいほど縦への楔のボールを入れ、そしてアビスパの背後を狙ってくる。中国リーグで開幕から6戦を戦って26得点6失点で6連勝中の実力が窺い知れる。だが、そんな展開を一つのプレーが変えた。

30分、北島がボールを要求しながら相手の左WBの裏にできたスペースへと走り出す。そこへドウグラス グローリから抜群のタイミングでボールが届いたところで勝負あり。北島が右足ダイレクトで上げたクロスにウェリントンが頭で合わせた。そしてここからは攻守ともに内容で圧倒するアビスパの試合。43分には金森健志のヘディングシュートがゴールネットを揺らした。

アビスパの守備力、そして互いのカテゴリーの違いを考えれば事実上の勝負はついたかに思えたが、アビスパは決して手を緩めず、それが後半のゴールラッシュへと繋がっていく。3点目は北島祐二。51分、金森のクロスに頭から飛び込む。4点目はシャハブ ザヘディ。65分、ペナルティエリア内で左足を一閃。次の瞬間、ボールがゴールネットに突き刺さった。そして72分。福山のクリアボールがこぼれた来たところに右足ボレーで合わせたのは松岡大起。ゴールまでは約25メートル。ドライブのかかったビューティフルゴールに会場からどよめきが起こった。

アビスパの猛攻は止まらない。77分、鶴野怜樹が蹴ったPKはGK菊地大輝(福山)に止められたものの、そのこぼれ球を鶴野が押し込んで6点目。81分にはシャハブが再び理不尽なゴールを叩き込んで7-0。そして88分にはペナルティエリア内にできたスペースを見逃さずに飛び込んだ松岡大起が亀川諒史の低くて早いクロスボールに頭で合わせて8-0。アビスパはこれ以上ない内容と結果で3回戦進出を決めた。

8-0という結果もさることながら、6人がゴールを決めたこと、そしてアシスト、攻撃の起点等々を合わせれば、ほぼ全員がゴールに絡んだことが何よりの収穫。まさにアビスパらしさの象徴と言ってもいいゲームだった。そしてもう一つレベルアップするためにゴールが欲しいと常々語っている北島、鶴野、松岡らのゴールは、本人はもちろんチームにとっても意味のあるゴール。これから先のリーグ戦、天皇杯に向けて大きな力になることは間違いないだろう。

そして福山シティFC。森亮太監督は次のように試合を振り返る。
「現実を見させていただいたゲームだったと思う。カテゴリーの違い云々は関係なく、ピッチ上での違いを教えていただいた良い教訓になるゲームだった。選手たちは非常に傷ついているし、全ての責任は私にある」

その言葉通り、この日の内容、結果は福山にとっては想像以上に厳しいものだっただろう。だが、ゴールに向かってダイレクトにプレーするスタイルや、終盤は2人の退場者を出しながらも、最後までゴールを求めて戦い続けた姿は、さすがに中国リーグで圧倒的な攻撃力を見せて首位に立っているチームだった。「絶対にJFLに上がるということは揺るぎない目標」と森監督は話したが、これからのリーグ戦での活躍に期待したい。

[中倉一志=取材・文・写真]

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