「football fukuoka」中倉一志

【無料記事】長谷部茂利/「寝食を共にする中で少しずつフィットしているんじゃないかと感じている」:【アビスパ’s Voice】

内容:練習後の共同囲み取材
日時:2022年1月30日(日)
場所:ZOOMによる

◎長谷部茂利監督;
Q:キャンプも半分が終わりましたけれども、それぞれテーマがあったと思いますが、ここまでどのようにご覧になられていますか?
「テーマの確認はできているんですけれども、なかなかそう簡単に克服はできないなという想いがあります。幸い天気の方は雨も降らず、ピッチの方も良い状態で使わせてもらっているので、少しずつですけども前進していると思います」

Q:新加入選手との融合というのもテーマの一つだと思いますが、この辺りはいかがですか?
「そこも簡単に0から1にならないと思うので、少しずつですけれども、まずは名前とか特徴をお互いが覚えていく、新加入の選手は既存の選手たち、新加入同士もそうですし、戦術とか覚えることがたくさんあると思いますが、ただずっと寝食を共にして、もちろん練習もそうですけれども、そういう中で少しずつフィットしているんじゃないかなと思います」

Q:詳しい状況は分からないのですが、おそらく何試合かトレーニングマッチをされたと思います。その中で見えてきた収穫や課題について、お話できる範囲で結構ですが、どんなところがありましたか?
「これまで通りですけれども、守備のところで簡単に崩されてしまうことが、この時期はよくあるんですけれども、そういう意味では、そこの連携だったり、チームのやりたいこと、こういうふうにしていくんだところはすべてが上手くはくいかず、その綻びから失点してしまったこともありました。攻撃のところでは、こういう時期ですので、ゲームフィーリング、ボールフィーリングというのはまだまだ出来上がっていませんが、それは全選手に言えると思いますし、相手チームもそうだと思います。勘のいい選手はすぐに戻すんですけれども、本番の公式戦が始まる、開幕する頃とはまだまだ程遠いなというような、ボールフィーリング、ゲームフィーリングが見て取れます」

Q:アビスパさんの去年からの課題で、今年も取り組もうとしていることとして、奪った後の繋ぎのところがあると思います。今の段階で、その辺りの手応えなどはいかがでしょうか?
「まず一番変わったことは意識が変わりました。そういうプレーが増えてきていますから、明らかに選手の意識が変わっています。当然、良いプレーもありますし、逆に弊害も少し出ているので、そういうところを修正しながらというところです。手応えという意味では一つクリアですね。意識を持ってトライしているというか、練習をしているので」

Q:今おっしゃった弊害というのは、縦に行く速さがなくなったとかそういう部分ですか?
「そういう部分と、クリアというか、あまり繋がないで違うプレーを選択した方がいい場合も繋ぎにいってしまったりするということです。サッカーではよくあることなんですけど、よく繋ぐチームが自陣のペナルティーエリアの中で繋ぐじゃないですか。そこから失点になったりするじゃないですか。そういうことも時々見られるなということです。デメリットだと思いますけども、弊害ですね」

Q:繋ぐサッカーを目指しているチームでは、「それでも恐れずにやれ」と言い続けることが、まずはチームに意識を植え付ける上では大事という方もいらっしゃいます。長谷部監督はアプローチとしてどんな感じで言っておられるのでしょうか?
「私は可能性の話をします。確実であれば繋ぐことを選ぶのは間違いではないですけれど、ただ失敗する可能性が高いケース、あるいは危ない場面では、それはしない方がいいというふうに話します。自分たちで墓穴を掘ってしまうようなことになってしまうので、そこの線引きは私の場合はどちらかというと厳しいほうです」

Q:開幕まで3週間を切りました。もちろん、ここからそれぞれの精度を上げていくということになると思いますが、特に重点を置いて強化していきたいところはありますか?
「一番大事なのは、チームとしてゲームに入れること、バラバラにならずにゲームができること。自分たちは何をしたいんだ、何をしてるんだということを共有してプレーできるように、あらゆる場面で、攻守、切り替えの場面で、セットプレーも含めてそういうふうになってもらいたいということ。また、課題として掲げている得点、攻撃のところについては、大きくではなくて少しだけ精度、質を上げていくことで得点力が上がると思うので、そこが課題じゃないか、大事じゃないかと思っています」

Q:克服というのは簡単にできないなと感じているということですが、その部分というのはどういったところなのでしょうか?
「攻撃力のところですね。カットボールを繋ぐというところだったり、攻撃の出口はゴールですから、フィニッシュを取るところ、そのフィニッシュの質が大事だと思うんですけども、そこが大きな課題だと思いますが簡単にはできません。ある意味、練習でではなくて試合で、練習でゴールが入っても試合で入らなかったら意味はありませんし、試合を重ねていって公式戦でどうなるかということですから、まだ公式戦が始まっていない段階で克服できたという判断は有り得ないと思います。それを克服できたと判断するのはシーズンが始まってからで、公式戦が始まってから10試合、15試合やった時に『そこにちょっと手がかかったね』というようなことになったら一番いいですね。ただ、そう簡単ではないと思います」

Q:チーム状況とは離れますが、オミクロン株が猛威を振るっていて、昨年の暮れぐらいから、いろんな大会で棄権が出たり、あるいは試合が中止になったりしています。十分注意されていても、それだけでは対応できないような状況になってきていて、いつもとは違うリーグ戦になるのかなと思っています。いろんなアクシデントがあることも考えられる中でリーグ戦を進めていくということで、大事になってくるのはどんなところだとお考えですか?
「何点かあると思うんですけれども、まずは徹底して選手スタッフ、内部の人間がかからないようにすること、そういうきっかけを作らないように出歩かないことですね。必要最低限の買い物には行かなくてはいけないかもしれませんが、その手段も大事ですし、人がいないときに行くとか、クラブハウス、ピッチ以外のところで、どういう行動をとるかというのも大事だと思います。今、福岡では5000人近く出ているんですかね。県外に移動しないで下さいということですが、県内でもそうですし、九州の中でも陽性者の最多を悪い方にどんどん更新している状況で、どこに行っても感染する危険があるので、行かないことが一番大事だと思います。
それでもかかってしまうこともあるかと思うんですね。家族内感染が問題になっていますが、常にそこに身を置いているわけなので、誰が悪いということではなく、そういうところからも陽性にならないようにしなくてはいけません。学校他、それぞれに必要なことがありますが、危ないなと感じた時には細心の注意を払うことも必要だと思います。
ただ、もし陽性判定をされた場合、その選手はしばらくは何もできないと思うんですね。その時のことも考えていた方がいいのかなと、今回はそういう気がします。例えばですけれども、1人の選手がふたつ、みっつのポジションをできるようにしておくとか。『えっ?ここのポジションで出るの?」というふうにですね。昨年で言えば、ケネディ(三國ケネディエブス)がFWで出ましたね。ああいうこともできるように準備しておかないといけないかもしれません。各クラブで1人、2人陽性者が出ていますけれども、時期が悪く開幕戦前後に10人くらい陽性者が出てしまう可能性もあります。そういうことにも対応できるように心の準備をしておいた方がいいというか、練習できるかどうか分かりませんが、そういう準備を少しずつしていかないといけないという想いもあります」

Q:今年はW杯もあって、昨年同様にかなりハードスケジュールになっています。そういう意味では、去年と同じように、誰が出ても変わらないチーム状況に仕上げるということがポイントになりそうですか?
「戦力が落ちないという形ですね。それぞれに色があるので、その長所をゲームに出せるように、輝けるようにしておくことが大事だと思います。すべてのゲームで上手くいくとは思っていませんけれども、なるべくそちら側に足を踏み入れられるように、いつもマイナスというか、初めてやったからできないとかではなくて、『来た、チャンスだ』『こういうポジションもできるんだ』というような、個人もそうですし、チームとしてもそういう意思を共有して、そういう気持ちで試合に臨めるようにしていかなくてはいけないなと思います。ただ、1カ月、2カ月プレーができないというか、クラスターが出てしまうとそうとうタイトになってしまうので、昨年のG大阪さんがそうであったようにかなり難しくなると思います」

[中倉一志=取材・構成・写真]

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