石井紘人のFootball Referee Journal

【無料:ガンバ大阪×ヴィッセル神戸】山本雄大レフェリーチーム審判批評 #天皇杯

ファーストハーフが「早いですね」(中村憲剛氏)と感じる見事なレフェリング

100秒、アドバンテージをとることも出来たが、ボールにプレー出来ていないコンタクトはファウルとする基準を示すためにも笛で止める。

一方で3分のコンタクトは、守備側もボールに触れているようにみえ、不用意なフィジカルアクションもない。ファウルとすると基準が下がる可能性があるため、ノーファウルとした。判定に不満を見せたヴィッセル選手たちにも、流れが切れたタイミングで、中継映像に映っていない場所でもコミュニケーションをとり、受け入れさせた。

この立ち上がりの二つのシーンは似たように見えて、まったく違うコンタクトだ。しっかりと見極めた事が好ゲームに繋がっていく。27分もボールにプレーできる範囲外の不用意な行為をとるなど、基準が貫徹されている。78分も同様だ。

6分のハンドの反則も見落とさない。21分の倉田のファウルは、時間帯や人数バランスからタクティカルファウルとはみず。この辺のカードマネジメントはDVD『レフェリー』でも語られている。23分の井出の腕もアクシデンタル的な要素が強く、懲戒罰までいかない。

山本レフェリーは、16分のようにテレビ画面に入るFIFAが求めるポジショニングをとりながら、ステップワークでプレーエリアに入らないようにかわしていく。かつ44分にはボックスtoボックスとなったカウンターで見事なスプリントをみせたが、28分のガンバのパスワークは予測できなかった。それでも、ガンバ選手がタッチで受け入れたように、状況はもちろん、ゲームの温度にも影響を与えていない。

33分のファウルは、両者が倒れる前、ターンした瞬間の武藤のバランスを崩した山田の腕をロールバックした。チャージ時に山田の肩が武藤の顔に入ってしまったのはアクシデンタル的である。レフェリーとして難しいシーンだが、両選手とコミュニケーションをとり、禍根を除く。

38分と46分のボールアウトは、記者席からも分からなかったが、中継映像を見てもどちらか定かではない。レフェリーに委ねられる部分である。だが、90分のコーナーキック(CK)はヴィッセルのゴールキックにすべきに見えた。

難しいシーンとなった71分はガス抜きで対応。

84分、腕をあげ広げて相手に競る格好になったパトリッキにラフプレーで警告。87分、遅れて少し足裏をみせてタックルしてしまったファン・アラーノにもラフプレーで警告。タフとラフのラインをしっかりと示した。

90分のCK時のファウルは、競り合い前に背中を押す行為をとったか。90+3分のトゥーレルのエキサイトもすぐに間に入り、対立の状況を作らない。さすがのプレゼンスだった。

 

そんな中で90+2分はガンバ選手にフィジカルアクションはなく、ゲーム終盤ということを考えても、ノーファウルでも良かったように思う。山本レフェリーの方が中継映像より良いポジションにはいた。腕をフォーカスしたか?この試合のレフェリングで(90分のボールアウトは映像がないと分からないため除くと)このファウルの判定だけは、エンパシーだとしても疑問だった。

一方で90+4分のシーンは、ディフェンスに不用意なフィジカルアクションはなく、時間帯からもノーファウルは受け入れられる。おそらく、90+2分がノーファウルであれば、全体の整合性がとれた。直後のチャージは、あきらかに不用意であり、ファウルは妥当である。

 

90+2分の判定から、終盤にブレを感じた方もいるかもしれないが、大枠はおさえられていた。試合後のフィールド上はノーサイドの清々しさに溢れており、監督記者会見でもレフェリーチームへの不満があがらなかった。

そんな好ゲーム、皆さんは、採点をいくつとするでしょうか?

「犯罪者みたいな顔」J1のFC町田ゼルビアが選手や監督をSNSで誹謗中傷の投稿者を刑事告発「存在が粗大ごみ」名誉毀損と信用毀損容疑で【石井紘人の目】

~採点基準~

5:レフェリーチームなしに試合はありえなかった

4:普通にゲームを着地させた

3:カード・得点に対する微妙なシーンもあったが試合に影響はなかった

2:カード・得点に対する受け入れられない微妙な判定があり、ピッチに不満を残した

1:ミスから試合に影響を与えてしまった

0:試合を壊してしまった

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ