無料:頻発するセットプレー時のポジション争いは「審判にとってナイトメア」(プレミアリーグ主審ダレン・イングランド)【プロフェッショナルレフェリー(PR)トレーニングキャンプ6/19座学⑦】
6月19日、日本サッカー協会(JFA)審判委員会が高円宮記念JFA夢フィールドにて行われたPRキャンプの座学とトレーニングをメディアに公開した。
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フィールドで行われたフィジカルトレーニングについては既に記しているので、
今回は13時から休憩を挟んで三時間近く行われた侃侃諤諤の座学について意訳になるが、レポートしたい。
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パリ五輪でも、セットプレー前にレフェリーがポジション争いに介入するシーンが多かったのは記憶に新しい。
PRキャンプでも、佐藤隆治JFA審判マネジャーJリーグ統括が、ポジション争いをどのように見極めるか、PRたちとディスカッションした。
取り上げられた事象では、攻撃側がゴールネットを揺らしたと同時に、守備側競技者がブロッキングをレフェリーにアピールしていた。
笠原寛貴PRは「結果としてブロックになってしまった。で、そのブロックした選手がフリーになって利益をえたと判断する。プレーが別のエリアにいっていれば、VARも介入しなかったと思う」とジャッジ。
セットプレー時にポジション争いは、色々な所で起きている。
では、その両選手のやりあい全てに〇×をつけるのか?もちろん、行為自体はファウルかもしれない。ただし、プレーにまったく関係のないエリアでの接触をファウルとすると、VAR時代、セットプレー時のほとんどをファウルとしなければいけなくなる。もちろん、程度が酷ければ、プレー外でもファウルとする。
ダレン・イングランドは「意図がないかどうかを他人が判断するのは難しいが、おそらく、このシーンでは、この選手が動く方向を分かっていて、体を入れている。このようなコーチがデザインしたプレーはプレミアリーグでも捉え方が難しく、レフェリーにとってはナイトメア(絶望)だ」と現代サッカーのレフェリーの難しさを口にした。
ボールやプレーとは無関係な所での選手のファウル行為を見極めるためには、起こった瞬間の選手のリアクションもピース(情報)として拾える。レフェリーが見えていないのであれば、VARに「選手が〇〇って言っているけど、接触あった?」と情報を伝える事が出来る。ヴィッセル神戸×柏レイソル戦のタックル後にも、そのようなピースがあれば、ベストだった。
一方で、フィールド上でレフェリーが決断しなければいけないBlack&Whiteの事象も多い。一例として、京都サンガ×コンサドーレ札幌戦の79分、ボールに触れた後にDFの選手が足を踏んでしまったシーン。これは50-50、どちらとも言えないシーンとして取り上げられた。