石井紘人のFootball Referee Journal

50-50のBLACK&WHITEグレーな判定の多いサッカーは全員の納得は無理でも最適解を磨き、ポジショニング、笛のタイミング、立ち振る舞いで納得感を高める【山本雄大レフェリーブリーフィング取材記②】

619日、日本サッカー協会(JFA)審判委員会が今年第三回目となる『レフェリーブリーフィング』を高円宮記念JFA夢フィールドにて開催した。Jリーグで物議を醸した事象については各誌が報じているので、FBRJでは先にPRJFAと契約するプロ審判)キャンプ後の囲み取材の模様から更新したい。

FIFAワールドカップトーナメント主審、イングランドプレミアリーグ、UEFAヨーロッパリーグ(EL)審判から学んだこと【山本雄大レフェリーブリーフィング取材記①】

――副審の方とのコミュニケーションが研修での議題になっていたと思うのですが、山本さんは「こういう言葉で副審から情報が来ると分かり辛い」などありますか?

 

「私の大失敗ですけど、浦和×湘南戦の得点を認められなかったのは、コミュニケーションシステムが巧くいかなかった。副審からの「入っていない」という声を完全に信じ切って、最終的に決定した私のミスです。

今であれば雰囲気、選手のリアクションなど(エンパシー)をみれるかなと思います。研修会でもあったように、副審の方は主審を助けてあげようという気持ちから(サポート)メッセージが強くなりがちです。先ほどのレフェリーの話の正しい判定プラスの(部分で)そこに入り込みすぎると、そこしか見えなくなってしまう。レフェリーも情報だけを鵜呑みにするのではなく、選手のリアクションだったり、(Jリーグのフットボールアンダースタンド)求められているものは何か。一歩引いた目で見られるようになれば、良いのかなと思います。」

 

――副審からの言葉だけでなくて、自分が俯瞰して見るという。

 

「正しい判定と皆思ってジャッジします。でも、自分が見た映像とテレビで見る映像が違う事もあります。それと同じで、この見え方は違うのかな?と思える余裕というか」

石井紘人の目【ヴィッセル神戸×柏レイソル戦の事象について扇谷健司JFA審判委員会委員長レフェリーブリーフィング前編】

「それを主審も副審ももてるように、ディスカッションや研修を行っています。失敗した場合は、それをシェアする。失敗を皆の前で伝えるのは恥ずかしいことかもしれませんが、それを隠さずシェア出来ているのが、今のチームです。」

 

――VARの難しさ、スローで見るとファウルに見えてしまうというか。

 

VORの真っ暗な中で、モニターがいっぱいあって、色々なシーンが色々な角度から、それがスローモーションで見えると、より悪く見えてしまう。それは佐藤(隆治)さんや廣瀬(格)さんから言われている「最後はノーマルスピードで見るように」。先ほどのセレッソさんと浦和さんのダレンがジャッジしたシーンも、ゆっくり見るとより悪く見える。ノーマルスピードで見ると、当たってはいるけれども、そこまで(serious foul playほど)強くない。

VORの中にいると、より入り込んでしまう。だからこそ最後は一歩引いて、ノーマルスピードで見るのを心掛けるのが共通しています。」

 

石井紘人:30代の若い時から、こういうキャンプに参加されていたと思うんですけど、審判界の変化は感じますか?

 

「私、プロとして10年目になるんですけど、今までだと、ちょっと強めのお兄さん方たちが(笑)」

 

石井:(笑)

 

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