石井紘人のFootball Referee Journal

無料:Jリーグ選手の速さ、ボールスピード、観客の多さや注目度の高さからくるプレッシャー、メンタルがW杯で活きた【山下良美主審、坊薗真琴・手代木直美副審FIFA女子ワールドカップ帰国後会見②】

828日、JFAハウスにて、FIFA女子ワールドカップ(W杯)オーストラリア&ニュージーランド2023で開幕戦などを担当した山下良美レフェリー、坊薗(ぼうぞの)真琴・手代木(てしろぎ)直美アシスタントレフェリーの会見が行われた。まずは大会を振り返り、その後で質疑応答の場が設けられた。

無料:レフェリー目線で見る男子と女子のW杯の違いとは?【山下良美主審、坊薗真琴・手代木直美副審FIFA女子ワールドカップ帰国後会見①】

――坊薗さんと手代木さんにお伺いしたいのですが、二人の副審ぶりをJリーグで見ていて、全くスピードなど問題ないなと思っていて、W杯でも期待できるなと思っていたのですが、Jリーグの経験は役に立ちましたか?

 

坊薗「男子の縦のスピードやボールスピードも含めて、Jリーグのスピードに対応するためのトレーニングを行っていたので、Jリーグに合わせられるのであれば、今回の大会でも対応出来ると思っていました。(今大会を振り返り)適応できたかなと思うので、やはりJリーグという舞台で経験をさせて頂いたことが、自分自身の自信にもつながりました。それは、Jリーグは注目度も高いので、そのプレッシャー、メンタルの部分でも本当に良い経験をさせて貰い、自信を持つことができました。」

 

手代木「私は出発前にJリーグの割り当てを頂いたのですが、オフサイドの判定を間違ってしまって、VARの介入で正しい判定に変えて頂いたことがありました。

その時に自分で分析したのですが、自分のポジションが悪く、ラインを見間違えてしまって、結果ミスに繋がっていました。

一瞬の判断の遅れから、ポジションにリアクションするのが遅れてしまって、それで結果ミスに繋がってしまった。

今回はそういった経験があったので、判断を次々と考えるスピードを速くしようとか、とにかく正しいポジションにいたら見えるという事があったので、そういう経験をすごく活かせたなと思います。

Jリーグはすごく速い。その分、女子は若干スピードが変わってくるので、その部分の余裕をもってラインを正しくキープすることが今回出来たのではと思っています。

日本で皆さんの協力を得ながら、Jリーグの担当をさせて頂いたのは非常に良い経験になったなと思います。」

 

――三人に質問です。審判員の立場からご覧になった本大会の印象・特徴、もしくは、これまでの女子W杯との違いを教えてください。

 

山下「私はチームの差がなくなってきて、どこのチームが優勝するかわからないというのを感じました。特にアジア、アフリカのチーム。南米でもコロンビアがいたり。たとえば、アジアの中でトップになれていないチームも、世界のトップチーム相手に良い試合をしていて、私も凄く興奮しながら見ていました。今まで以上に、それぞれの試合が面白い。どの試合も面白いなというのを感じました。」

 

坊薗「私は、現地の盛り上がりと言うんでしょうか。オーストラリアとニュージーランド、どちらの試合も行かせて頂いたのですが、スタジアムの雰囲気、サッカーそのものを観客が楽しんでいる。レベルも勿論高いんですけれども、フットボールそのものを純粋に楽しんでいる様子。私たちもスタジアムで観戦する時間もあったので、そういうところも感じながら、そういうのが女子サッカーの持つ力なのだなと感じました。

逆にちょっと焦りというか、たとえば女子W杯が日本で開催されていたら(全ての試合が盛り上がっただろうか)と。少し疑問に思った部分もあったので、そういったところで焦りも感じました。

(女子サッカーの)レベルで言えば、なでしこジャパンは優勝候補だったので、レベルが引き離されているとは全く思わなかったです。

女子サッカーの力を、もっと国内でも体感できるように出来ればと。“女子サッカーはこんなに面白いんだぞ”というのをもっと日本の皆さんに知ってもらえたらなと思ったのも事実です。」

 

手代木「やはり観客数が圧倒的に違うなと感じました。初戦(開催国オーストラリアの初戦75,784人)から決勝(75,784人)まで八万人入るスタジアムで七万人以上入ったり(オーストラリアはラウンド16も準決勝も7万超え)、最低でも二万人入ったりする試合が多かった(今大会の平均が30,911人)。

女子サッカーでここまで集客が出来るのだなと感じました。母国の応援だけではなくて、他国のチーム、とにかく女子サッカーを見に来ている観客が多かったので、年齢層も幅広くいらっしゃられていました。

女子サッカーの魅力は、伝え方次第できちんと伝わるのではと、凄く感じました。

あとは、ノミネートされた審判員が、なでしこジャパンを『強いね』『優勝できるんじゃない』と言って頂けていたのも印象に残っています。

(そういった選手がWEリーグにいるのだから)日本でも“みせかた”次第で集客も上がっていくと思います。」

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