石井紘人のFootball Referee Journal

無料:第四の審判員(4th)中は左の腰にある主審副審VARとコミュニケーションをとれるボタンを常に押せる準備をしていた【山下良美レフェリーFIFAワールドカップ2022カタール大会帰国後会見①】

本日、女性として初めてFIFAワールドカップ(W杯)のレフェリーにノミネートされ、2022カタール大会で六試合の4th(第四の審判員)を務めた山下良美レフェリーがオンラインにて日本サッカー協会(JFA)のメディアブリーフィングに登壇した。

6試合を担当しましたが、試合以外の面でも大会前、大会中と私自身としてはやるべきことを精一杯やったと思います。大会を通してやはり一番はサッカーのすごさを感じて、よりサッカーに魅了されて帰って参りました。画面の上からでも見えますけど、見ている人たちの感情の変化、嬉しさを爆発させていたり、悔しくて涙を流したりとか、サッカーというスポーツがどれだけ心を動かせるスポーツなんだ。そういう凄さを感じました。」と挨拶を行い、質疑応答となった。

 

―割り当てを伝えられた時の感想はありますか?

 

「カタールW杯のアポイントを聞いた時と同じ感覚でした。やはり身が引き締まる思い、カタールW杯の試合をレフェリー団の一人として良いゲームにするという責任を感じました。」

 

―(ステファニー)フラパールさんが(4thにとどまらず)女性初の主審をつとめたことに関してどう思いましたか?

 

「とても嬉しく思いました。割り当てを聞いたのは私が試合中の時なので、その時は喜べなかったんですけど、その試合が終わって次の日に会えたので、心からおめでとうと伝えました。」

 

―いずれ自身も主審をという気持ちになりましたか?

 

「そうですね。大会に参加する以上、主審として笛を吹くっていうのを目指して大会に参加していたので、(今後も)その目指していたものに変わりはないです。」

 

4thは如何でしたか?

 

「フィールドの中のことに、より集中できたと思っています。交代の手続きであったりとか、ベンチのことであったりとか、第5の審判員と協力しながら行えたので、今までよりもフィールドの中の関係やサポートに集中して臨むことができたかなと思います。」

 

―よく左の腰に左手を当てていたと思うのですが、何をしていたのでしょうか?刀を持っているような。

 

「刀を準備していたわけではないのですが()左の腰にあるボタンを押すことでコミュニケーションを取れる、私の声が主審副審VARに伝わるボタンが腰のところにあるので、それを常に押せる準備をしていました。」

 

6試合も割り当てられたのは驚きました。ご本人としては如何ですか?

 

「特に多いとは考えていませんでした。来た割り当てに対して頑張ろうという気持ちでやっていました。今でも6試合が多いのか少ないのか分からないような感じです。」

 

―主審として笛を吹くことは叶いませんでしたが、如何でしょうか?

 

「そうですね。もちろん、笛を吹くことを目指して主審として参加しているので、目指してはいました。また、主審として(カタールW杯に)参加する以上は、第4の審判員としても、いつ(試合中に4thから主審に)交代してもいいようにという準備はしていたので、そういう気持ちはどの試合もどの大会でも持っています。」

 

―主審として笛を吹けなかったことへの、悔しさや別の感情はありますか?

 

「ステファニーが笛を吹いたことは心から嬉しかったですし、それによって可能性が広がっていったって事を目の当たりにしたので、それに関しては嬉しかったというのがあります。自分自身も、もちろんそれを目指していましたけど、第四の審判員としての割り当てが来るたびに、とにかくその試合に向けて、という事しか考えていませんでした。特に悔しいというよりも自分の役割に集中していました。」

 

―カタールW杯期間中の過ごし方を教えてください。

 

「常に同じ流れで過ごしていました。試合があれば、その試合に向けての準備をして、試合がなければトレーニングをして過ごして。その流れは変わりなく、最後の試合を終えても、帰国が知らされてすぐに帰ってくるので、帰国を知らされるまではいつ割り当てが来てもいいように準備をして過ごしていました。」

女性初のワールドカップレフェリー山下良美氏が帰国後会見、FIFA審判委員会が主審や4thに求めるものは?「日本の指導と変わらず、Jリーグ同様に自信を持って臨める」 #カタールW杯

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