石井紘人のFootball Referee Journal

森保一日本代表監督記者会見全文後編「(フォーメーションは)状況次第で、ベースが整っていないのに、オプションだけつけても、結局立ち返るという事が無くなって、選手の良さも、チームの力も発揮できない」

■連載:森保ジャパン勝負の1年

 日本サッカー協会(JFA)は先月20日、オンラインで記者会見を行い、パラグアイ戦、ブラジル戦、ガーナ戦、チリまたはチュニジア戦の4試合に臨む日本代表メンバーを発表した。

森保一監督会見前編「これまでやってきたコンセプトをより徹底して、発揮できるように、ベースの部分をより強固に」「我々が持っている力、それは選手の個の力、そして日本代表としてのチーム力を最大限に発揮すれば、どこと戦っても我々はしっかり戦える」

―昨年も、日本代表は今回と同じような活動期間があったと思います。その中で、合宿に参加した選手の中から「新しいことをやった訳ではない」といった物足りなさを感じているような話もチラホラ出ていたと思うのですが、昨年よりも濃い時間にするために、監督は何をしていきたいと考えていますか。

 

森保一日本代表監督「先ほどもお話ししましたけど、チームのパワーを最大限に発揮できるように、ベースであるコンセプトを浸透させられるようにしたいなと思います。

その先に、先ほどの質問にもありましたが、3バックで戦うとか、4334231にするとか。いうことも考えていきたいと思いますが、それは状況次第で、ベースが整っていないのに、オプションだけつけても、結局立ち返るという事が無くなって、選手の良さも、チームの力も発揮できないということになりかねないと思いますので、そこは軸となるところをしっかりとやりつつ、今回のキリンチャレンジ、キリンカップの四試合、そして先のワールドカップに向かっていけるように、積み上げていきたいと思っています。」

 

―先ほどの質問と少しかぶってしまうのですが、伊藤(洋輝)選手は2018年のU-23ウズベキスタン戦で、中盤で起用されています。今回はディフェンス登録ですが、彼への見方は変わったりするのですか?

 

「よく調べられていますね。東京五輪チームを、私が見させて頂いた時に、彼を招集して起用させてもらいました。彼は(当時の)所属チームで中盤のプレイヤーでした。ですので、(ウズベキスタン戦で)ボランチとして起用しました。その時と今を比べるとなにが良くなったか?という質問だと思いますが、守備力が格段に上がったと思っています。」

 

―鎌田(大地)選手と堂安(律)選手が復帰しました。なにか変化を感じましたか?

 

「彼ら自身に大きな変化があったがどうかはわかりませんが、所属チームでいいプレーをし続けていたと我々は見ています。大きく変わった所でいえば、今度会うのを楽しみにしていますが、二人ともタイトルを取ったという事。

タイトルをとった自信というのは間違いなく彼らの力に上乗せされていくという事もあると思いますので、彼らの雰囲気が変わっているところ、更にどん欲に向上心を見せてくれることを期待しています。」

 

―旗手(怜央)選手が招集されていません。中盤三枚のインサイドハーフの選手は少し少ないのかなと思うのですが、さっき上げた鎌田選手や、堂安選手、久保(建英)選手のインサイドハーフの起用は考えられていますか?

 

「状況的に見て、練習をみて、最終的には決めたいと思いますが、今あげられた選手たちはインサイドハーフでもプレーできる選手ではないかと思っています。形は一つだけではなく、チームのコンセプトの中、システムを変えながら選手たちの良さを発揮してもらえるように、ということもトライしていきたいです。」

 

―通常、メンバー発表はもう少し活動が近い時期だと思いますが、このタイミングに何か意図があるのでしょうか。

 

反町康治JFA技術委員長「おっしゃる通り早いです。このメンバーをみて頂ければわかると思いますが、欧州のリーグ戦が終わっている、もしくは終わりに近づいているという段階で、我々は62日のパラグアイ戦の時点に、100%の試合を考えなくてはいけない。

そうなると、その前の準備段階がとても大事になってくるので、メンバーを早く知ることによって、その準備がより加速して、整いやすくなるということを踏まえて、少し早いのですが発表させて頂いたという感じです。」

 

―今回、30人前後呼びたいというお考えもお話されていました。28人は30人前後ではありますし、あまり呼びすぎても紅白戦で余ってしまうなどあるかもしれませんが、この人数に落ち着いた経緯というものを教えて頂けますでしょうか。

 

森保監督「いま答えを言って頂いたような質問でしたけど()もちろん、招集だけを考えれば、もっと多くの選手を招集したいという思いはあります。しかしながら、この活動期間で、トレーニングして、そして4試合という試合が限られている中、どういう形で選手を見ていく、チームとしても戦いに望むか考えた時に、この人数が適切ではないかとことで、スタッフで議論を重ねて、招集メンバーを決めました。」

 

―東京五輪の正GK谷(晃生)選手に代わって、大迫(敬介)選手が選出されました。今シーズンの大迫選手のパフォーマンスと、東京五輪で選外となった菅原(由勢)選手の選出についてもお伺いできればと思います。

 

2人とも理由は同じですけども、GK大迫に関してですが、我々がスカウティングを重ねている中で、パフォーマンスが良いという事で招集させてもらいました。今、『谷とかわって入ってきた』とおっしゃっていましたが、1人だけの入れ替え等で、実はスカウティングしている段階ではないです。

色んな選手が力を見せてくれている中で、今回は大迫が代表の招集として妥当ではないかという事で選んだ次第であります。

今後も競争であったり、序列という所ではスカウティングを重ねて、選手たちを評価して、招集に繋げていきたいと思っています。

菅原に関しても、まずはパフォーマンスがいいということ。直近の試合は後半の終了間際の所でのプレーになりましたが、シーズンを通して、チームも好調の中、そこでレギュラーのポジションをつかみ取って出続けているということ。そこを評価して招集しましたし、彼が成長しているところも見させてもらいながら。というのも評価して、招集という事になっています。」

 

W杯予選は権田選手の起用が多かったですが、出場機会の経験という意味で、四試合で4人のキーパーを均等に使う予定なのか、完全に競争なのか教えて頂きたいです。

 

「最終的な起用という部分では方針は決まっていません。なので、すいません。今は答えられない()ような質問ですね。ただ、練習は4人とも見ていきたいと思いますし、起用に関しては、平等でないところが出てくるかもしれません。そこは練習次第で平等になるのか、そうでないのかが変わってくると思います。」

 

―柴崎(岳)選手についてです。先日、欧州視察行かれていましたが、柴崎選手のプレーも御覧になられたのか?御覧になっていたら評価と、W杯に向けて、たいへん厳しいポジションですが、チームの中で彼に期待することはありますか?

 

「まずは欧州視察で、岳のプレーは直接見られていません。横内コーチがスペインに渡ってくれています。

岳に期待することは、彼は攻守に絡める選手ですので、チームの攻から守、守から攻に繋げてくれるように、色々な部分で、多くの局面でプレーに絡んでほしいなと思っています。

そしてワールドカップ出場の経験も持っていますし、世界で勝っていく基準を知っている選手だと思いますので、プレーをもって発揮してくれる選手だと思っています。」

 

―直近のプレーに関してはどのように感じていますでしょうか

 

「攻守にわたり、代表でも期待しているようなプレーをしてくれていると思います。ここの所、怪我で体調等々あったり、万全な状態ではないことも多いと思いますが、その痛みを抱えながらも、気持ちをしっかり持ちながら、チームの中で自分がどういう役割を果たしたら良いかという事で、チームに欠かせないプレーを見せてくれていると思います。」

 

―堂安選手についてですが、日本では「堂安選手に態度の問題があり、(森保監督が)戦力外通告を出した」という事実無根かどうか分からない噂が流れました。そういうことがあったけど和解して招集したのか、まったくの事実無根なのか?教えて下さい。

 

「あの~事実ではないので、どう答えていいのか(苦笑)」

 

―まったくないことがはっきりできれば。

 

「はい。事実ではありません。これは言えますけど、皆さん、自分が見ている中で、なんていうんですかね。色々な選手を招集してほしいという基準を持っていると思いますけど、毎回、選手を選ぶ枠というものは決まっているので、必ず誰かを選んであげられるということは、全ての選手に保証できません。良い選手が日本の中には沢山いますので、その時のコンディションであったり、戦い方で、選手は変わっていくこと。そこは、この最終予選でも、日本が選手層が厚いということは皆様に見て頂けたかと思いますし、そこは共有させていただきたいです。」

 

E-1選手権の招集のプランは今どのように考えていらっしゃいますか。

 

E-1は国内組で日本代表を作って戦いに臨みます。」(了)

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