無料:ジャッジリプレイは一つの視点なのに信憑性のある答えや拠りどころを追い求め過ぎでは?
「僕の意見は1つの見方でしかないにもかかわらず、信憑性のある答えや拠りどころを追い求めるゆえに、結果的に影響力を持ってしまっているのが少し怖いと思っています」
家本政明氏が『FOOTBALL ZONE』誌の取材で答えたように、『Jリーグジャッジリプレイ』(DAZN)が取り上げる事象は、競技規則に照らし合わせても『白か黒か』だけで議論できない判定が多い。ある意味で当然でもある。そういった判定だから、話題になっているからだ。
だが、今節のシーンは、割と意見が合致すると思う。
■ヴィッセルの選手もファンも視聴者も納得しないが、競技規則上は妥当
【Jリーグジャッジリプレイ批評】家本政明氏の解説は素晴らしい試みなので、番組名を変更し、判定の〇×のみに特化しない構成にしてみては?
湘南ベルマーレ×ヴィッセル神戸戦の事象については、既に取り上げ、自身の見解も記しているので省略するが、
汰木のハンドの反則は脇の下の最も奥の位置?その後の手?タリクは?大﨑玲央や武藤の取り囲み?Jリーグ規律委員会って?【湘南ベルマーレ×ヴィッセル神戸:今村義朗レフェリーチーム批評】
「終了間際や大きな喜びがあった後には必ずとは言いませんが、OFR(オンフィールドレビュー)によって映像をリコメンドすることを推奨している」のだが、
「テクニカル上、マストではない」ため、ベルマーレ×ヴィッセル戦ではVARオンリーレビューによってノーゴール判定となった。
もちろん、問題はないのだが、FC東京×柏レイソル戦は「推奨しているプロトコルに則った。チェックが入れば、スクリーンや中継映像にも出るので、最終的に『手に当たったから得点ではなかったんだ』と共有した方がより納得感が生まれると思う」と家本政明氏が解説したように、試合後のエキサイトを和らげることは出来たかもしれない。
■レフェリーからしても心苦しい谷口彰吾へのDOGSO
サガン鳥栖×川崎フロンターレ戦の79分、当初はSPAだった谷口へのカードが、VAR介入からのOFRでDOGSO一発退場になったシーンは、VARがあるがゆえのカードといえる。
那須大亮氏が、「谷口選手は位置、ボールの方向も考えていた」と守備側競技者としてSPAで収めて欲しいと語ったように、ピッチ上の絵、流れで見ているとSPAに見える。
しかし、リプレイ映像を見てしまうと…
那須氏のいうように【反則とゴールとの距離】はやや落ちて75%当てはまる。
【全体的なプレーの方向】はゴール方向なので90%。
【守備側競技者の位置と数】だがフロンターレ選手はカバーにおらず100%。
【ボールをキープできる、または、コントロールできる可能性】は初見70%前後であり、ゆえに、四要件を完全に満たしていないということで、荒木レフェリーはSPAと見たのだろうが、
VARがリプレイでタッチの瞬間をフォーカスすると80~90%当てはまってしまう。
私もVARが導入されている試合では、8割方、レッドカードが掲出されてしまう可能性が高いと思う。
一方で、セレッソ大阪×ガンバ大阪戦のゴール判定は、VARがあってこそのジャッジで、導入の意味があったシーンといえる。
同様にアビスパ福岡×横浜Fマリノス戦の77分、宮に押されたアンデルソンロペスが唾を吐いて、レッドカードとなったシーンもVARがいなければ見極められなかっただろう。
ちなみにアンデルソンロペスの行為をVARが確認できたことが話題になったらしいが、「対立を起きれば、レフェリーはその元を掴みにいく。そこからVARに『選手たちが唾がって言っているけど、そういう事象ある?』と投げかけたのでは?」ということで、そういったシーンはDVD『レフェリー』にも収録されている。