石井紘人のFootball Referee Journal

【無料記事/ルール解説vol.6】なぜ石川直樹は二枚目の警告を出されたのか?

2016J1 1st第9節となったベガルタ仙台×サガン鳥栖戦後、インタビューにて渡邉晋監督は池内明彦主審のレフェリングに疑問を呈した。特に「あのシーン」と語った43分のシーンは、生で試合を観戦していたベガルタ仙台のサポーターからすれば、受け入れられない判定だろう。「PKもそうだけど、二枚目の警告は出さなくてもいいじゃん」と。

 

43分、左サイドからのクロスに反応した豊田陽平を、石川直樹がホールディングしたということでファウル、PKに。さらに、二枚目の警告で退場となる。石川は、あきらかに遅れてプレーしていた訳ではないため、分かりやすいファウルではなかったが、どのようなプレーがファウルとなったのか。

スローリプレイで繰り返してみると、クロスへのプレーイングディスタンスにあったのは豊田だった。41分58秒のシーンで、池内主審も良いポジショニングから監視しているのが分かる。そして、ジャンプした豊田と競るために、石川も飛ぶがボールには触れず。この時に、右腕を肩にかけ、左腕で体を掴んで豊田とのポジションを変えた【相手競技者を押さえる】ファウルとした。

【相手競技者を押さえる】は、【手、腕、または体を用いて相手競技者の進行や動きを妨げること】。

そして、【相手競技者を押さえて、相手競技者がボールを保持すること、または有利な位置を得ようとすることを妨げる競技者は、反スポーツ的行為で警告されなければならない】ため、石川には二枚目の警告が出された。

つまり、池内主審は決して不可思議なルールを適用したわけではなく、見えた事象をLaws of the gameに当てはめてジャッジした。もちろん、その“見え方”がどうだったかという議論、基準やポジショニングや頭の動かしたなどはFBRJ内で行うのだが。

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