川本梅花 フットボールタクティクス

【無料記事】今年も「ヨコハマ フットボール映画祭2022」が開催されるー主催者にイベントの推しの話を聞いたー

6月4日(土)と5日(日)の両日に開催される「ヨコハマ・フットボール映画祭2022」。実行委員長の福島 成人さんに話を聞いた。

福島成人プロフィール
1972年和歌山県生まれ。横浜市立大学卒業後、ギャガ・コミュニケーションズに入社。以降、映画配給業に携わる。2006年から東京国際映画祭の公式サイトなどを担当。 サッカーはアジア大会やアトランタ予選から意識するようになり、Jリーグ開幕後は横浜フリューゲルスが気になるクラブとなり、その後は横浜FCのソシオに。 2003年ごろから居酒屋トークイベント「フットボール道場」を立ち上げ、都内を中心に新潟やドルトムントでも開催。 2011年ヨコハマ・フットボール映画祭を仲間と立ち上げ、以降毎年1回開催。これまでに多くの日本未公開作品を含む100本の映画を上映している。

――ヨコハマ・フットボール映画祭は今年で何回目になりますか?

福島 12回目になります。最初は、気心の知れたサッカー仲間たち10人くらいでスタートしました。12年前の僕は38歳。同じ年齢の人たちと協力し合って映画祭を作っていました。でも時間の経過とともに、それぞれのライフスタイルに変化が出てくる。結婚したり子供ができたり、昇進したりで、時間を合わせることが難しくなっていった。だからメンバーの入れ替わりがあります。特に3年前から、大学生にインターンで参加してもらうようになり、メンバー構成が大きく変化しました。そうした中でコロナ禍があり、ZOOMなどを使って会議するようになる。こうした社会の流れも、若い人たちが参加する契機となりました。

以前は、仕事が終わってから、あるいは学校の授業が終わってから、どこどこで待ち合わせて……と打ち合わせをしていたのが、それぞれ離れていても気軽に会話できるようになった。そうしたこともあり、メンバーの年齢層も幅広くなり、いまでは40人くらいの協力者で映画祭が作られています。

――主催者として「これは注目してほしい!」という今回の“推し”はなんですか?

福島「サロン・ドゥ・トルシエ 言いたいこと全部言いますSP!」ですね。これは6月5日(日)15時10分から16時17分の約1時間、「音楽ルーム」で開催されます。元日本代表監督のフィリップ トルシエさんが会場にいらっしゃるんです。タレントの笹木 かおりさんとサッカーライターの宇都宮 徹壱さんがインタビュアーを務めます。

――トルシエさんは、どんな経緯で映画祭に参加されるようになったのですか?

福島 トルシエさんがワイナリーを経営していて、そこのTwitterで出演依頼をしたら「OK」を出してくれたので、今回のトークイベントが実現しました。トルシエさんへの質問はTwitterの「質問箱」から募集して、いろいろな声が集まりました。「日本代表監督就任の経緯」「アーセン ベンゲル氏との関係」「監督の解任騒動」「W杯のメンバー選出」「現在の日本代表への感想」。こうした質問に答えてもらう予定です。

――トルシエさん以外にも、豪華なメンバーが出演されます。

福島 6月4日(土)13時30分から16時26分に予定している「ONE FOUR KENGO THE MOVIE 憲剛とフロンターレ 偶然を必然に変えた、18年の物語」というドキュメンタリーに中村 憲剛さん本人と前Jリーグチェアマンの村井 満さんが参加されます。

――6月5日(日)18時30分から19時54分に上映されるドキュメンタリー作品「ある試合」の解説者として、元国際審判員の家本 政明さんが登壇されます。

福島 スイスのある1人のレフェリーを取り上げた作品で、家本さんには字幕の監修をお願いしました。事前に作品を送ったところ「5回見ました」との返事が来たんです。17分の短編作品なんですが、審判以外の声も入ってくる。そうすると、このやり取りはなんのために誰が発しているのかが分かりにくい。そこで家本さんに監修してもらったことで、謎が解けたというか、出どころがはっきりしたんです。イベントでは、作品を通していろいろな審判に関する疑問に答えてもらうと考えています。

――筑波大学蹴球部監督の小井土 正亮さんも6月4日(土) 19時05分から20時12分のトークショーに出演されます。どんな内容になりますか。

福島 三笘 薫選手に代表されるように、川崎フロンターレユースから筑波大学で成長して日本代表になる選手が現れた。高校サッカーやクラブユースから直接プロになるのではなく、大学サッカーからプロになる道筋は、日本独特の歩みではないかと思います。サッカーライターの土屋 雅史さんにナビゲートしてもらい、小井土さんから日本サッカーの育成に関してお話を聞けたらと思っています。

――サッカー育成指導者の中野 吉之伴さんが参加されます。ドイツ映画「はなれていても」の解説をするのですか?

福島 映画のプロットを簡単に話すと、炭鉱採掘地の拡大で生まれ育った村を失った11歳の少年が主人公で、転校先になじめずに孤独を感じるのですが、同じく転校してきたシリア難民の少年と共感していく物語です。ドイツサッカーの中の子供たちの風景は、僕たちでは見えない部分があるので、現地で実際に育成年代を指導している中野さんにお話を聞くことで、見えない部分がより鮮明になるのかと思います。この作品は、6月4日(土)17時00分から18時46分になります。

――どうやって映画を探すのですか?

福島 映画を探す役割は6、7人が担っています。彼らは語学に堪能で字幕も担当しています。僕らの映画祭のように、世界では7つくらいのサッカーを取り上げた映画祭があります。そこで上映された作品などから、ある程度の本数をリストアップ。そこから日本人に興味が持てるのかどうかを吟味して選んでいきます。「これがいい」と候補を絞ったら制作会社や権利者に連絡。作品を送ってもらって実際にフルで見て、上映するかどうかを決めて交渉するという段取りです。

――映画祭で上映される作品は日本未公開のものですか?

福島「ONE FOUR KENGO THE MOVIE 憲剛とフロンターレ 偶然を必然に変えた、18年の物語」は川崎Fの協力で公開されました。「ペルーの叫び~36年ぶりW杯出場の表と裏~」は、日本で開催されているペルー映画祭で上映されました。「ある試合」も日本で開催されたショートフィルムフェスティバルで公開されました。この3本は日本ですでに公開されていますが、残りの5本は日本未公開作品になります。作品を自分たちで見つけてきて、なおかつ自分たちで字幕をつけている映画祭、それもサッカーに関する映画を取り上げている映画祭は僕らだけだと思います。作品の選別に関しては、自分たちで楽しめた作品を取り上げています。僕個人的には、「サッカーファンで良かったな」と思えるような作品を上映したいと考えています。そうした意味で言えば、6月4日(土)19時30分から21時24分に上映される「Brothers in Football -100年越しの再試合-」は、まさに「サッカーファンで良かったな」と思えるような作品ですね。クリス ワトニー監督が来日していて、会場にいらっしゃることになりました。映画もそうですが、楽しめるイベントもたくさんあるので、ぜひ多くの人に参加してほしいです。

川本梅花

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