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【インタビュー】#野瀬龍世(#ヴァンラーレ八戸) を #河端和哉 札幌大サッカー部監督が語る【無料記事】

【インタビュー】野瀬龍世(ヴァンラーレ八戸)を河端和哉 札幌大サッカー部監督が語る

1年生と2年生で紅白戦をやった時、1人だけ目立つ子がいました。「面白いプレーをするな」と思い、トップチームに上げたのですが、それが野瀬 龍世でした。彼を1年生の時から評価していて、実際トップに上げたらすぐに活躍しましたし、全部員の中で一番試合に出ていると思います。ですから大学選抜にも推薦しました。

野瀬は東海大学付属札幌高等学校サッカー部出身で、学校推薦で阪南大学に進むことが決まっていました。しかし、それを辞退して一般入試で札幌大学に入学したようです。ただ北海道での評価は低く、僕も彼のことを知りませんでした。

評価が低かった理由は「ONの選手」、ボールを持っている時は良いプレーをするけど……だと聞きました。いわゆる世間の評価はどういうプレーをするのか、総合的に判断されます。ただ僕は、彼のメンタリティに注目しました。サッカーに対して純粋なんですよ。僕が選手を見るポイントはここです。おそらく大学に入ってからサッカーに対する意欲が高まったのだと思います。

例えば「今日はこのくらいのタイムでいいよ。そんな負荷かけないでいいから」と伝えても、野瀬だけは全速力でランニングして足をつったり、倒れ込んだりしていました。それを見て「この子はすごいな」と思い、僕も全力で彼に接しました。だから苦言を呈したこともあります。「こんなプレーしかできなかったら、チームのためにプレーできないなら、試合には使えねよ」と言ってメンバーから外したこともありました。彼は人間的な成長とともにプレーヤーとしても成長していきました。

プレースタイルは最初からドリブラーで、どのチームと試合をしても1試合1回はドリブルで相手を抜いていました。しかし90分間、そうしたプレーを継続することは無理です。だから2年生、3年生の時は「このままでは厳しい」と思っていました。

彼は世間の評価通り「ONの選手」でした。「ONの選手」とされるドリブラーは、味方の「OFFの選手」がどこにいるかを考えていません。対面にいる相手選手をドリブルで抜くことしか考えていない。しかし味方の「OFFの選手」がどこにいるかを見ていれば、例えばワン・ツーで相手を抜くといった選択肢も生まれます。ボールを持っている状態「ON」のプレーを生かすためには、ボールを持っていない状態「OFF」のプレーが重要となります。OFFのプレーが満足にできない選手は、本当の意味でONのプレーはできない。僕はそう思っています。

ですから僕は野瀬に試合の映像を見せて「これだとダメだよね」と指摘しました。「ドリブルなんかしなくていい。ワンタッチ、ツータッチでプレーしなさい」と言い続けました。それを彼も受け入れた結果、世間の評価はドリブラーからモビリティ(流動性)のある、良い動きをする選手へと変わっていきました。

野瀬が3年生の時(2020年)、天皇杯1回戦でラインメール青森FCと対戦することになりました。その時、僕は4年生だった相田 勇樹のプレーを見てほしいと、ヴァンラーレ八戸の葛野 昌宏監督にリクエストしていました。当時の相田は負傷の影響もあり、卒業後に所属するクラブが決まらない状態でした。そこでクズさん(葛野監督)に相談したのですが、そうしたら社長や強化部長など、八戸の関係者がラインメールとの試合に来てくれた。そこで「野瀬がいいね」と言われました。本人にはすぐに「八戸が評価してくれているよ」と伝えました。※相田は10月に八戸加入が内定

野瀬は今年、4年生になったのですが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で春先のリーグ戦が中止となってしまいました。そこで八戸に練習参加させてもらえるように頼んだのですが、ラインメールとの練習試合で1ゴール1アシスト。その後、来季からの八戸加入が内定、2021年JFA・Jリーグ特別指定選手にも認定されました。彼がボールを持つたびにスタンドからどよめきが起こった。かなり観客が沸いたみたいで。クズさんも「それが答えだよ」と言っていました。

※野瀬は9月12日の明治安田生命J3リーグ第18節、アウェイのカマタマーレ讃岐戦[1〇0]で先発としてJリーグ初出場。続くJ3第21節・アスルクラロ沼津戦[2●7]でも先発出場、ホームデビューを果たした。

ホームデビューした彼のプレーを見ましたが、まだ右も左も分からない大学生なので迷いがありました。ですから僕は「ここはJ3だから、ここで良さがだせなければ先はないよ」と伝えました。個人の思いとしては、Jリーグデビューしたことは、すごくすごくうれしいですよ。でも野瀬はもっと上に行ける選手です。僕は全力で彼に接してきて、彼もそれに応えてくれた。相田にも愛情を注いできましたが、野瀬とは違った絆があります。

川本 梅花

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